福田村事件のレビュー・感想・評価
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それが何か問題ですか?
欧米に踊らされて中国の土地を自国の領土にしようとした時「虐げられ無知で無能で貧乏な朝鮮人を中国から救う」というのが日本の大義名分だった。だから今も続く朝鮮の人への差別や蔑視は教育とメディアの犯した大罪。この頃から壮大なデマは始まっていたんですよね。
出自による差別も明治政府が創った嘘の歴史とそれを教えた教育、今も続く天皇崇拝、敬語乱発のメディアの罪
相手より上から物を言いたくて、相手を黙らせたい時、差別や蔑視は多用される。
「お前センジンか?アカか?兵隊逃れが!マオトコが言うな!エタの薬は何が入ってるか分からんぞ!女のくせに!非国民が!天皇陛下万歳と言ってみろ!」
SNSでも人を自死に追いやる言葉やデマはあるけれど、一旦軍事体制になってしまえば差別や蔑視に抗って自分が正しいと思うことを貫くには物理的な命の危険を覚悟しなければならない。
「それでも地球は回っている」と言って死刑になった人々に似ている。
映画の中で一番印象深いのは
「朝鮮人なら殺してもええんか?」
という言葉
戦前が既に始まってるとは言われるが、まだまだ命の保障があるうちに差別や蔑視と闘う言葉を持たなければならない。
「いいえ私は共産党員ではありませんがそれが何か問題ですか?」
「いいえ私は朝鮮人ではありませんがそれが何か問題ですか?」
「はい私は女ですがそれが何か問題ですか?」
「ぞうさんぞうさん、お鼻が長いのね?」
「そうよ、母さんも長いのよ。それが何か問題ですか?」
日本人の弱さを噛み締める
アメリカの人種問題を扱った舞台作品を見たので
日本の差別問題もちゃんと見ておこうと思い鑑賞。
逆差別の意識を持った人たちが作ったのではと勘繰っていたところはあるが、誰かを一方的に責めるのではなくきちんと集団心理の恐ろしさを描いたものだった。
なぜこのような事件が葬り去られていたのか。たまたま被害者に日本人が混ざっていたからこれだって後に明るみに出ただけで、迫害は日常的に横行してたのだと思う。部落民のことすら私たちはほとんど知らない。
多数派に流されやすく、反対意見を述べることもできず、みんながやってるならうちもやる、今も昔も日本人のありのままの姿。戦争が人をさらに狂わせたとは思うものの、今の世代だって本質は何も変わらない。今SNSで起きてる言葉の暴力がいつか同じように恥ずかしいと皆が当たり前に思う日は来るんだろうか?
終わって気づいた水道橋博士、演じる自己陶酔感と、井浦新の臆病心、そして豊原功輔の自己弁護、どれもとても人間くさくてリアルだった。
ここのところ現実逃避のように見たくもない流行り映画をたくさん見てたけど、もっと色々考えることに繋がるものこそ映画として見る意味があるのではと思えた。まあ結局現実逃避の軽い映画も必要なんだけど。
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鑑賞後久々夜の渋谷を通って帰ったが、ただ酔っ払って騒ぎたい若者の町と思ってたのにそれ以上に奥は荒んでた。街は汚いし警察があちこちで尋問してるし、それでも堂々とラリってる人たちが暴れてる国よりはマシなんだと思うが日本も大概だなと思うにはピッタリすぎる締めくくりだった。
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しかし朝日新聞のクラファンで資金集めしたと聞くとどうしても捏造問題があたまをよぎりモヤモヤする。。
私もあなたも誰もが持つ人間の根源的怖さが描けたと思う。
命の使い方とタイミングは、自分で選ぶ。
100年前の、逃げ場も娯楽もない閉塞的な村社会の息苦しさは、想像以上だった。
お互いに見張り合うようなコミュニティの中では、プライバシーの概念もない。
事の是非を自分以外に委ね、ただロボットのように思考停止で生きる世界。
心底怖いなと感じた。
20歳の頃から、ひとりで海外に行く前に、武道の先生から護身術の手ほどきを受ける習慣がある。
先生は、どんな屈強な男性でも鍛えられないいくつかの急所を、実践を交えて教えてくれる。
幸い、今までその技を海外でも国内でも使ったことはないけれど、見えない武器を持っていると随分心強い。
そして、危険に対して敏感になる。
この映画を観て、護身術の先生の言葉を思い返した。
「私が教える技は、あなたの心、身体、命が絶体絶命の時だけに使いなさい。
但し、相手が一人で、武器を持っていない時だけ。
武器を持っていたり、複数人の時は、中途半端な抵抗はかえって最悪の事態を招く。
その時は、命を守ることだけ考えなさい。」
自分の信念を貫くこと。
矜持を守ること。
それは、人間としてとても大切なことだ。
けれど、そこにこだわるあまり、判断ミスをしてはいけない。
私は、命を守ることは、何より大切だと思う。
自分に使命があると知っているなら、なおさら。
大学生の息子たちは、この映画を観たらどう感じるだろう。
きっと、私よりももっと遠い世界の話だと思うのは間違いない(^-^;
加害と被害
犠牲になってしまう、永山瑛太演じる香川の行商人の言葉
この映画のテーゼでもあろうかと思う
朝鮮人なら、殺してもええんか
多くのレビューで
評価されるのも、むべなるかなというところか。
長らく、ドキュメンタリーで傑作を撮ってきた森達也監督。初の劇映画というところで、一抹の不安がないわけではなかったが杞憂に終わった。
この題材をよく映像化された。製作陣スタッフ、強力なキャスト陣に敬意を表したい
企画やシナリオに、荒井晴彦氏が名を連ねているのも大きい。
100年もの間、闇に葬られていた歴史事実
映画の下敷きになった原作も読んだが、埋もれていた史実を丹念に取材した辻野弥生氏にも感服。
いまだ、関東大震災時の流言蜚語による虐殺を正視しない、この国の為政者たち。
震災時の虐殺はなかった、とする説などが流布する現代日本
俗な言葉になるが加害にも向き合わず、日本黒歴史ともいえる事実に目をそむけつづけるならば、歴史は繰り返されるだろう。違う形で。との言葉を残したのはどの歴史家であったか。
自分に問いかける。あの場、時代に生きていたなら自分はどう行動しただろう。殺す側?殺される側?傍観している?
煽っている?…
この作品は重層的かつ多層的に作られている。
つまり、視座がひとつではないというところ。
差別が構造的かつ複雑にあり、朝鮮人と間違われ殺害された日本人。彼らは被差別部落出身者たち。その彼らも大陸の人々に対する差別、ハンセン氏病の人々に対する差別心があり、それらをも描いている。
多くの方が見られることをお勧めする
真っ当なメッセージ
戦争中の不穏な空気感や、村社会の閉塞感などが淡々と丁寧に描かれ、事件が起こる流れが分かりやすくなっていたと思います。
人種差別だけでなく様々な差別意識についても触れられ、差別感情を煽る新聞等の存在も考えさせられます。
村の男女関係の描写は予想外に生々しく描かれて、抑圧された女性の立場も意識させられ、これはこれで印象的でした。
男女関係は複雑な心情を描いているように感じたためか、軍人や村長など他の人物描写はちょっと単純にも感じました。
とは言え、当時は実際にこういった雰囲気だったのかもしれませんし、これで人物たちのスタンスや事件への流れが分かりやすくなっており、差別意識の愚かさや集団心理の恐ろしさなども強くはっきりと伝わるようになっていたと思います。
行商の沼田のセリフも、至極真っ当な意見で大いに共感できます。
事件が起こったのは当時はそういう時代だったからとも言い切れず、やはり現代の日本においても重ねられる部分があり、改めてどこへ向かうのか考えるべき、という強いメッセージが伝わる作品でした。
23-110
今まで観てきた映画の中で最も濃厚でした
事実を元にしたフィクションではあるものの、人間の原罪を深く浮き彫りにした、大変示唆深い映画でした。
今まで観てきた映画の中で最も濃厚な内容でしたので、見終わったあとの余韻が深く、現実の世界への順応するのに時間がかかります。
「人間って何なのか」に関心がある方は、必見です。
日本映画の金字塔
日本映画の新たな金字塔が生まれた。差別を正面から捉えたテーマ、村の暮らしを赤裸々に描写し、その後の虐殺に絡めたストーリー、どれも良く練られている。
社会の頂点としての天皇、最下層の部落民、朝鮮人の図式、言わば日本社会のタブーに触れている。
この事件の中には社会の同調圧力を操り世論を操作し、国民を戦争に駆り出し、取返しのつかない事態を招いた戦前の政治、軍事状況の原型がある。
冒頭、主人公は川を渡り福田村に帰る。ラストに霞のかかった川面をゆっくりと走る小舟に乗り、何事もなかったかのように、村から出ていく。その間に讃岐の薬売り達は川を渡り虐殺の被害者になった。主人公は朝鮮半島の虐殺事件に意図せず加担したことを言い出せず苦しんだように、村での出来事を喋らないだろう。村人たちは、村長も在郷軍人達も、人知れず沈黙する。虐殺を取材した新聞記者の記事は、決して新聞に掲載されることはない。虐殺を止めるヒーローはどこにもいなかった。
この事件から100年経過し、それを未だに検証せずに見て見ぬふりをする政府は何を恐れているのだろうか。
近年で最高の秀作です!
映画「福田村事件」、とても秀逸な映画でした。
関東大震災云々をテーマにした方が一般的には発信しやすいし、記事としても取り上げやすかったんでしょうが、いやいや、それどころではない内容の深さに驚きました。
100年前の未成熟な民主主義での大災害時という状況だからでなく、日々の生活での悩み・辛さがおかしな形で吹き出すことがある怖さや、群集心理、異質なものの排除意識、朝鮮人・部落差別と、日本人の誰もが今でも充分に起こす可能性のあることをわかりやすく表現した映画だと感じました。
加えて、一流の俳優陣による素晴らしい演技や、男女の駆け引きといった人間模様もあり、映画としての面白さもふんだんにあることも特筆すべきと思います。個人的には博士のハマり役には驚きました!
1人でも多くの日本人、特に、「にっぽん大好き❤日本人」にはぜひ見て欲しいですね。
単に「見るべし」ではなかなか見てくれないだろうから、文部省推薦とか、なんとか賞とかがあればそういう人に見てもらえそうな気がします。
ぜひ多くの賞🏆をとることを期待します。
日本の縮図のような村。
千葉県福田村。武器を握りしめた村人達に取り囲まれる香川から来た15人の行商人。ちょうど100年前の日本で実際に起きた悲惨な事件を描く重厚な1本。
集団心理による狂気。その果ての蛮行。抗えない異様な空気感。「朝鮮人ならええんか」なんて重い一言だろう。愛国心、そして戦争。不安定な世の中に追い打ちをかける関東大震災。
そんな中、短時間だけど民主化を望む思想家の姿が描かれていて、当時の価値観を象徴する重要なシーンとなっている。
混乱に乗じて大日本帝国の障害になり得る危険因子は根こそぎ排除する。これが日本という国の本質なのだろうか。そんなはずはないと思いながらも、もし自分があの村の一員だったらと想像すると途端に気が滅入る。
実に見事な配役で、特に水道橋博士が不思議な説得力があって良かった。残酷な映画だけど日本人として観て感じることは多いと思う。
今に警鐘を鳴らす怪作
人は正義にも悪にもなりえるし更にいえば正義という甘美な言葉のもとなら人をも殺してしまう。
それは100年前であれ現在であれ人間の本質は変わらない。
在郷軍人の水道橋博士は悪役を演じていましたが、事件後の慟哭のシーンで自分はも泣いてしまった。「村を守る為だったんだ」と。
この映画には多くの登場人物が居るけど、例えば行商団には朝鮮人差別意識を持ってるいる者もいます。
行商団の親方(永山瑛太)は自分達が部落出身で差別されていることと照らして朝鮮人に対して寛容な意識を持っている。ただそのことが悲劇の引き金を引いてしまうなど、人物ごとに細かな描写があり見事な群像劇に仕上がってると思う。
今の日本人が見るべき必見の映画かと。
空気感と同調圧力に弱い日本人を象徴するような事件
実際に起きた事件をもとに作られたとのことから若干の内容を調べてから観に行きました。※ポスターから何故か八つ墓村のような内容を想像してしまったが、勿論ホラーではない。
事件が起こるまで、長い時間をかけて登場人物を丁寧に描けているので、それぞれのキャラクターに感情移入できました。事件は突然起きるわけではないが緊張感がどんどん加速していきました。
こんな酷い事件が実際にあったのか、という感情と、空気感と同調圧力に弱い日本人を象徴するような事件であると感じました。今日の日常でさえも大なり小なりこのような「日本人の怖さ」を感じた事は誰にでもあると思う。
加害者側、被害者側、双方の立場に立って、もし自分がその場にいたらどのような行動をとればよいか、凄く考えさせられました。
え?!演じてるの?
突き付けられる事実が心を抉る
世の中で一番恐ろしいのは
今まで4000本近く観てきたと思うが記憶にある限りこんな恐ろしい映画は初めて観た。
「シャイニング」も「ポゼッション」も「女優霊」も確かに怖い。しかし「福田村事件」は、何と言うかその刺さる深度が全く違う。
「黒い雨」がまあ近いのかもしれないが、しかし原爆は我々がほぼお目にかかる事がないのに対して、「人間」は周りにいくらでもいる。なんなら我々は彼らの中に身を投じることでしか生きられない。
そこに「福田村事件」の怖さの逃れられない切迫感がある。
詳しくは言わないが後半30分観たあとは放心状態になった。30分経っだが今も携帯が上手く叩けない。
今年のベストテン、というか映画史上に残る衝撃作だと思う。
しかしこの映画をいわゆる日本の映画界はスルーするだろう。日本アカデミー賞でも単なるキワモノ扱いされて終わると思われる。悲しいかなそれが今の日本の正義感や矜持を象徴している。
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