福田村事件のレビュー・感想・評価
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震災100年後に公開された事自体に大きな価値があると思います。
「東京附近の震災を利用し、朝鮮人は各地に放火し、不逞の目的を遂行せんとし、現に東京市内に於て爆弾を所持し、石油を注ぎて放火するものあり。」この作品でも描かれていましたが、当時の内務省から地方警察長官に打電された通信文が導火線になって各地で自警団が結成され多くの韓国人(韓国人と間違えられた内地人)および社会主義者が殺害されたそうです。(日本の官報記載で528人。実際はさまざまな推定数値あり数千人規模になっていたとの説もあります。《WIKI》より。)
背景としては、韓国を併合したばかりで、当時強権的だった日本人の統治者も一部殺されていて、騒然とした世相があったのだと思いますし、自警団に殺害される可能性のあった300人の韓国人・中国人を守った神奈川県の警察署長もいたとの話も伝わっており、「日本人は残虐なのだ」と一概に短絡するのはこの作品をみた後でも、私はまずいと思っています。しかし、日本人の被差別部落民9人(妊婦・子どもを含む)を韓国人と誤認して殺害したという事実そのものを、容赦なく描くことで、逆に差別の無意味さや、群衆心理の暴走の恐ろしさを、見事に浮き彫りにしていると思いました。
顔や言葉を観ても、ゲノムの主成分分析を観ても、韓国人と我々は一番似ているわけ(本州・四国の日本人のDNAは10%が縄文人・90%が渡来人だそうです。)で、多分共通の祖先だったのではと考えています。しかし、祖先が共通でも、戦争や虐殺がおこるのは、中国4千年の歴史を観ても、現代の北朝鮮と韓国、ロシアとウクライナを観ても明らかであって、あまり意味はないのかもしれません。大事なことは、①こうした事件を確実に起こった「事実」として認識すること、②それはどのような条件で起こりうるのかを把握すること、③人間である以上、条件が整えば、同じ事はどの国でもいつでもおこりうることをしっかりと認識し、未然予防に努めること、なのだと思いました。
「なかったことにする」というのは一番安易な道で、一番避けねばならならないと思います。条件が整えばまた再発するのかもしれないのですから。この映画を観て思ったそのはその一点につきます。そして映画にしにくい素材をよくぞ映像化し、関東大震災100年後に公開してくれた。そのこと自体にこの作品の最大の価値があるのではと思いました。
今も脈々と続く集団リンチ
100年前の関東大震災のたった5日後に、当時の福田村(現在の千葉県野田市)において、流言飛語を元に本当に起きた地元の自警団員による香川県から薬を売りに来ていた日本人の虐殺事件。被害者には妊婦や子供たちもいたという。
その事件に至るまでの地元の村人たちのそれぞれの日常の変化や、被害者である行商人のストーリーが淡々と描かれ、ラスト20分に彼らが交錯し、酷すぎて直視することを避けたくなるような狂気の沙汰を見せつけられる。
映画で描かれた福田村事件以外にも、千葉県の検見川や埼玉県の妻沼町、群馬県の藤岡などでも同様の事件が起きており、この映画では日本人というよりも「人間」の負の側面、残虐性が浮き彫りにされている。
これらの事件は決して過去に起きた「昔の人」が起こした事件というだけではなく、学校でのいじめや、SNSでの言動による集団リンチなど、現在においても形を変えて脈々と受け継がれている。
この映画をただ心に留めておくだけでなく、テーマのひとつでもある流言飛語によって評判が広まり、多くの人にこの映画を見てもらいたいと、心の底からそう思った★
台風に煽られ🌀福田村まで
マジで凄いの出来たな!🥹
友達に誘われたので今日まで我慢してた
100年前の事件ゆえに映像資料はほとんど無く、森監督は初めて劇映画(フィクション)に稀代の名脚本家 荒井晴彦氏と共にクラファンで映画化に挑戦、大手映画会社には全て断られ自主制作となりました😑
ドキュメンタリー映画だって製作者のフィルターを透過するから完全なノンフィクションなんてものはそもそも存在しない
しかし、30年前なら右翼にコ⭕️サレルかもしらんね😑
今も本質はちっとも変わらない上に、更に民度も地に落ちそうな愛しの我が祖国で製作した、真の勇気を先ずもって称賛だ🫶
エンドロールに我が名も見つけて、本当に応援してよかった、この映画に関わった全ての人たちを私はココロから誇りに思います😾
とんでもない
恐ろしい。
朝鮮を併合して一方的に朝鮮人を虐げてきたのに関東大震災では数千人の朝鮮人が虐殺され、今作の福田村では日本人まで惨殺してしまった事実。
この史実が恐ろしいし、そう書いてる自分も誰かがイジメられているのを見て見ぬふりをした事もあればフェイクニュースや一部のみ切り取られた動画をSNSで拡散した事もあり、本質では同じでないかと身体の芯が冷えた。
本当の事かも分からず流れてきた情報を信じて拡散し、無差別に加害に加担しているという意味では今でも同じような行為が繰り返されている。
福田村事件からもう100年経つのに、まだこんな事をしている絶望感。
猜疑心や差別意識、村社会の集団心理など人が抱きやすい要素が複合的に絡んでいるとは言え、それでも、何の確証もない中で一方的にリンチ殺人を犯してしまえる人間が怖い。ごく普通の人たちが変貌してしまう姿が怖い。その辺のホラー映画よりよっぽど怖い。
このおぞましさを直視していかないといけない。
問題の本質は、日本人が殺されたことではない
「日頃から酷いことしているので、どんな仕返しをされるか分からない。やられる前にやってしまおう。」という、理屈にもならない自分勝手な言い分がまかり通ってしまったことに暗澹たる気分になる。
過剰な防衛意識が攻撃的な残虐行為に転嫁していく様には戦慄を覚えるし、過激な群集心理に同調していく人々の姿を見て、自分だったらどうするだろうかと考えさせられる。
事件が起きる前、薬売りの集団を巡り「日本人か朝鮮人か」という押し問答が繰り返されるが、本当の論点はそこじゃないだろうとモヤモヤしていると、瑛太演じる薬売りのリーダーが叫ぶ「朝鮮人なら殺してもいいのか?」という問いかけに、「その通り!」と膝を打ちたくなった。
これは、部落民として苦汁をなめてきた者だからこそ発することのできる「差別」に対する問題提起であろうが、後から考えれば、「福田村事件」そのものに対する問題提起にもなっているのではないかと思えるのである。
朝鮮人に間違えられた日本人が虐殺されてしまったことが、この事件を「事件」たらしめているのだろうが、問題の本質は、日本人が殺されたことではなく、何の罪もない多くの朝鮮人が、差別や偏見によって殺されてしまったというところにこそあるのだろう。
そういう意味で、虐殺の引き金にもなったこの問いかけが、ことさら強く心に響くのである。
その一方で、虐殺に至る被害者側と加害者側の日常が丹念に描かれている割には、特に、加害者側が、どうしてあのような暴挙に走ったのかがよく分からないのは気になる。
仮に、村民たちが、日頃の鬱憤を晴らすために虐殺行為に及んだのであれば、彼らが溜め込んでいた不平や不満を、もっと明確に描くべきだったのではないだろうか?
逆に、夫が出征中に他の男や義理の父親と姦通したり、セックスレスに悩む妻が不貞を働いたりといったエピソードは、それはそれでインパクトはあるものの、本当に必要だったのだろうかという疑問が残る。
威張りくさった在郷軍人が虐殺を煽り立てたり、過去に朝鮮人の虐殺に加担したことを悔やむ元教師がそれを止めに入ったりという構図も、いかにも類型的で、ありきたりだと言わざるを得ない。
ここは、むしろ、普段は何の悪意も持たない善良な人々が、デマや流言飛語に踊らされて殺戮者に豹変する様を描いた方が、集団ヒステリーの異常さや恐ろしさを強調できたのではないだろうか?
いずれにしても、100年前の事件でありながら、今の時代でも十分に起こり得る出来事を描いているという点において、大きな教訓を与えてくれる映画であるということは間違いない。
上映館が少なめなのが勿体ない佳作
当方、恥ずかしながら最近までこの福田村事件のことを知らなかった。
本作の公開や関東大震災から100年という節目にあたって、報道番組などで採り上げられたりしたのを見て初めて知った。
もしかしたら、千葉県民や野田市民であっても、そういう人が多いのでは?
ただ、歴史の片隅に葬り去っていい事件ではないはず。それくらい、衝撃的な事件だと思う。
内容的にも、事件に至る過程を描く中で澤田夫妻や井草貞次(柄本明)のエピソードを絡めることで、当時の庶民が朝鮮人に対して抱いていた感情を上手く演出している。
また、女性新聞記者・恩田(木竜麻生)をキーパーソンとして登場させるのはドキュメンタリー作品を主戦場とする森監督の矜持かな?
情報の限られた時代に新聞という媒体の世論操作に与えた影響の大きさを実感させられた。
情報網が発達した現代でも東日本大震災や熊本地震などで流言飛語が飛び交い、パニックが起きるなど人の心がいかに流され易いものかを改めて考えるのに非常に効果的だったと思う。
カトウシンスケ演じる社会主義思想家・平澤の件も当時の時代背景を知るのにサイドストーリーとして、上手く機能している。
また、全編を通してカメラアングルも寄り過ぎず、離れ過ぎず、適度な距離感が観客の物語への入り込み方を程よく誘導している。
いずれにしろ、歴史の一片の事件としてだけではなく、集団心理が間違った方向へ流された際の危うさを丹念に描いた良作だと思う。
それにしても、四六時中、軍服を着た在郷軍人会というのも、何か怖いな。
当地特有のものだったのか、日本中にそういう人達がいたのか、ちょっと知りたくなった。
井浦新の渋みも良かった。若い頃のクールなイメージから、年齢を重ねて、人情味を感じさせる役者さんへとシフトチェンジがスムーズにいった印象。
この高い評価こそ同調圧力では?
森監督が劇映画を撮ると聞いて、
絶対観ないとと思い鑑賞。
日本人の異常なまでの同調圧力、ヒステリックな民族性を正面から、全てを見せていく若松プロの心意気は感じるが、映画としてはとても褒められたものではないと思う。
映画の流れがとても雑な上に、とにかく説明セリフが多すぎ、人種差別に被差別部落など日本の差別の歴史も詰め込んだのは判るんだけど、とにかく分かりにくい。
神は細部に宿るというけど、腰が入ってないと言いながら、とんでもなく頼りなく鍬を振るう水道橋博士を観て、こりゃダメかもと感じたまま終わってしまった。
(そういう役だと言ってしまえばそれまでだけど、、、)
パンフレットや解説を見ないと意図が伝わらない映画は好きではありません。
暫定評価3.5 or 全て事実なら評価4
まず、とても見応えありました。
関東大震災後に朝鮮人が井戸に毒を入れたとデマが流れ虐殺が起きた事、は知っていたしホントだと思ってました。
日本人としては認めたくない事でしょうが、たぶんホントでしょ。
この映画で描かれている事は概ね事実だと思うけど、全てホントなのかな?という疑念があります。
なので暫定で3.5
全て事実なら4
昔の日本人には選民意識があったと読んだ事あるけど、それが事件を起こした理由の1つでしょう。
そして、その選民意識は今も存在するのでは?
日本人なら観ましょう。
皆さん演技よかったです。
個人的には、水道橋博士が1番よかった(笑)
心に残る良作(みんなに見て欲しい)
福田村事件とは、1923年9月6日、関東大震災の未曾有の混乱の中で朝鮮人や無政府主義者などを対象として生まれた流言蜚語、大規模な虐殺が行われた中、震災の6日後、香川県からの薬の行商団15名が千葉県福田村で「朝鮮人を殺せ」と地元民に暴行され、9名が殺害された事件である。
事件後100年を経て事実を元に作られたこの映画は当社でも観れたのである。
通常このような事件はただただ異常な普通あり得ない印象であったり関東大震災と言う全く非日常
な中での「仕方のない」事案であると思われがち(思ってしまおうとする)なのであるが、この映画では震災前の福田村や行商団の日常を丹念に映す事でこの事件の普遍性を描き、世相や震災を経て人々がどんどんおかしくなっていくプロセスを丹念に映すことでこの事件の必然性を描いている。
そして俳優達の素晴らしい演技やカメラワークがこの映画をただただ異常な暗いものにするのではなく、気持ちの動きのみずみずしさや鮮やかな色合いを与えてくれる。
今はこの事件から100年経ったが、人はここからどれくらい賢くなれたのかな、寧ろ人は偏見や悪意の増大、学ぶことに対する意欲の低下など悪化する一方なのではとつい思ってしまう。
そうした意味でこのような事件を映画化してくれた関係者の方には感謝しかないし本当にこの映画を沢山の人に観て頂きたいと思う。
日本人特有の愚かさを思い知る作品
YouTubの【一月万冊】から情報を得て、興味が湧き鑑賞しました。
紹介下さり感謝しております。
日本人でありながら、日本人特有の【人格】に嫌気を感じましたが、作品はとても良かった。
よく外国人からは【日本人は優しい】と言われますが、それは【偽りの姿】であり、日本人は【外国人に弱いだけ】なのだ。
本当は、自分のことしか考えない卑劣で卑怯な人格の人種が日本人だ。
戦争の爪痕
暴力的なシーンでは思わず何度も舌打ちをしてしまった。
戦争自体も問題だけど…文献で習った事がある。
1番怖いのは戦争が終わった後に残った人達の心の中での終わらない問題。
これは戦後100年近く続くと書かれていた。
偏見〉差別〉虐殺と言う流れも分かりやすく表現されていた。
心理描写も同じ事象でも男女でストレスに対する受け止め方が違う事、
たった100年で生活文化レベルが変わる事。
でも。決して忘れてはいけない、、人間の本質、集団心理、、いつもこういう作品を見ると自分が加害者にならない為、もちろん被害者にならない為にも、どういった行動が出来るのかと考えさせられる。
やりきれない
事件は事実としてなのですが、前置きというか、
それぞれの人物像や村の風土、社会情勢などの描かれ方が
あまりにも事件に向かって行き過ぎているため
あんなに血の気が多かったら、条件が揃わなくても起こっていておかしくないのが
流石にちょっととは思ったけど、とにかく壮絶で絶句でした。
100年前の出来事で、こんな事が、たった100年前と疑ってしまうのは
人も社会も変われたからだろうか?
清廉潔白にそう言いきれない事が本当に申し訳ないと肩をすくめて映画館を出ても
やりきれなかった
満席!関心が高い方が多いということだろう 日本人全員がみて、衝撃を...
満席!関心が高い方が多いということだろう
日本人全員がみて、衝撃を受ければよい
千葉県に慰霊碑があるようだ
終盤のキャラクターの交差が良かった。 森達也監督は"多声性"と仰っ...
終盤のキャラクターの交差が良かった。
森達也監督は"多声性"と仰っていたけど、
本当にその側面が強くて、おもしろかった。
ラストでそれがぶつかって、弾ける。
各人へのリスペクトも感じて、
感情が震える瞬間もあった。
いわゆる異物と呼ばれた者たちが立ち上がる、
その瞬間のためにこの映画はあった。
ただ、
映画自体の膨らませ方が、余りにも痴話過ぎないか?
とは思わなくもなかった……。
純粋な森達也エッセンスだけで作られた映画が見たい。
虐殺は続く
「福田村事件」を観る。あまり好きではない「映画はプラカードではない、映画の出来としてどうかだ」という言説があるが、この映画は群像劇として非常に素晴らしくて、そこは軽々とクリアした上で戦争が差別を生み、その差別を温存し増幅させる今だにこの国に存在する社会構造を告発する映画でした。
「菊とギロチン」の桐生麻生さん演じる新聞記者がその差別を増幅させるシステムを担う機関に成り下がった新聞社を糾弾するシーン、これは朝鮮人虐殺を無かったことにしようとする権力に抗うことのできない今のこの国のマスコミへの糾弾でもあるよね。
あと、題材に朝鮮人ではなく朝鮮人と間違えられた日本人が虐殺された福田村事件を取り上げたことに対する疑問も出ていましたが、あの時に日本人が朝鮮人に何をしたのか、朝鮮半島で何が起こったのかということは重要なシーンでしっかりと描かれています。
ピエール瀧さん、豊原功補さん、水道橋博士さんらが、それぞれ「かつて理想を持っていたのにファシズムに屈した記者」「デモクラシーを唱えるが全く体現できない村長」「愚直に国体に身を捧げる男」を演じていて素晴らしかったです。博士、この役は大変だったろうな。
日本人として見ておくべき作品
公開前から気になっていたので鑑賞。
関東大震災直後の朝鮮人の流言飛語が飛び交う混乱した状況で福田村で起きた行商団15名が虐殺事件に巻き込まれた実際の出来事を描いています。
関東大震災が起きて100年という節目にこういう作品が公開される意義は大きいし、多くの人に見てもらいたいと感じました。
ただ上映時間が137分とやや長めなのが気になりました。前半の様々な人間関係を丁寧に描きたい気持ちは理解できますが、実際の衝撃的な出来事との乖離が大きく前半の地味なドラマ部分の回収も微妙な気がしました。
しかし今見ておく価値のある映画というのは変わりないので興味が少しでもあれば映画館でご覧ください。
出演者はもちろん作品完成に協力した関係者の苦労が少しでも報われることを心より願います。
永山瑛太、豊原功補が個人的には良かったです。
ちなみにテアトル新宿は昼の回から満員御礼でした。
日本人必見
関東大震災直後に流言があったことは知っていたが、実際にこのような事実があったのは知らなかった。グロなシーンもあることはあるが、グロ苦手な自分でも観られる範囲。
「これだけ、の情報社会で、今どき、このような事は起きないだろう」と思いきや、実際には2018年の胆振沖地震ではツイッターにとんでもない流言が流れてきていた。
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