「真実にどこまで迫ってるのか疑問?未曾有の災害と1世紀前の凄惨な出来事の関連性が今ひとつ伝わって来ない」福田村事件 菊千代さんの映画レビュー(感想・評価)
真実にどこまで迫ってるのか疑問?未曾有の災害と1世紀前の凄惨な出来事の関連性が今ひとつ伝わって来ない
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真実にどこまで迫ってるのか疑問だ、実際に起こった凄惨な事件はこんなに軽いものでは無いかと思う。
約1世紀前に起こった凄惨な出来事、あまり語られて来なかった悲惨な歴史を紐解いた作品という事で当時どんな経緯で民衆が狂気の沙汰を行ったのか、その深層を知りたかった。
しかし、映画の中で表現された関東大震災からは民衆が狂気に走るほどの緊迫感は感じられず、なぜ人々が部落出身の者を襲うに至ったか伝わって来なかった。
日本統治時代の朝鮮では独立運動が勃興しており、本事件の4年前の1919年(大正8年)に起きた三・一運動では、デモが朝鮮全土に広がり朝鮮人は日本の言うことを聞かない「不逞の輩」として扱われていた事や部落民への差別などの背景があまり描かれていない、また行商人一行の方言と福田村の訛りの違いから朝鮮人と決めつけるに至った言葉使いなども考証に則しているのか不明瞭でこの作品がどこまで真実の事件に迫った内容なのかもわからない。
実際殺害を行う演技も迫真とは言えず全体的に芝居がかった演技な印象。朝鮮人と間違えて殺害を行ってしまった福田村住民への情状酌量感、その実は関東大震災の流言飛語で実際に殺害された朝鮮人・中国人・社会主義者などが大勢いたという事実はラストに流れる文章のみで、被差別部落民への根深い偏見なども合わせ当時の狂気の状況とは程遠いのでは無いかと思わざるを得ない作品かと思った。
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