「八つ墓村的 エンタメ要素強くて観客飽きさせない」福田村事件 okaachanさんの映画レビュー(感想・評価)
八つ墓村的 エンタメ要素強くて観客飽きさせない
重いテーマに対して申し訳ないけれどこれはエンタメとして十分楽しい。社会問題として真剣なものを期待して観に来た人は肩透かしだろう。自分はもう少し淡々と悲しさとかとか芸術性を期待してやってきたが、そこがなかったのでマイナス★1つ。主要登場人物のひととなりはよく書かれていたと思う。変な音楽が入ってこないのがまた良かった。
まずセリフが多く特に無名役者ほど演技が劇団みたいに大袈裟。田中麗奈の冒頭と遺骨を前に大袈裟に泣く女優さんに映画の方向性が期待してたものと違うがっかり感。気持ちをリセットして見ていけば慣れてくる。一番良かったのは東出。セクシーこの上なかった。恵まれた体格。未亡人が豆腐持ってきたときの笑顔の自然さ。これは今の日本で一番カッコイイ男だと思った。柄本明と嫁さんの関係も昔はよくあった話だと聞いていた。特に戦争で留守の奥さんは不義が多かったようだ。旦那さんがその自分のやりきれなさを人殺しでストレス発散というのも納得できる。水道橋博士も背が低いし優秀な村長と井浦新に比べ色々なコンプレックスがあって優越感にひたりたかったのだとう。希望はないような話でも井浦新が奥さんと一緒にみんなに呼びかけたところ、未亡人が恋人を寝取った奥さんを恨みで貶めなかったところ、東出くんも女にだらしないが人間としては良い人であったのが救われた。瑛太のハンセン病患者に詐欺まがいなことして、ブラシーボ効果になるから良いんだ 、そうでもしないと自分たちは生きてけないといった直後にお遍路さんに寄付してるところが全く今の世に生きる自分に通じてるようで良かった。いらないものを売りつける営業をやっていると身につまされるから。クライマックスは瑛太がチョウセンジンだと殺していいのかと言ったセリフが一番の見せ場だったろう。友人は話が散らばり過ぎと言ってたが自分はこのくらいカオスのほうが逆に臨場感あって生々しくて良いと思った。部落差別についても考えさせられる。SNSでスシローペロペロを過剰に叩いたり自殺に追い込んだり、集団で弱っているもの攻撃し過ぎるのは魔女狩りの時代から変わらない。実際の人を標的にしないで芸術や運動で気持ちを発散しないといけないね
追記 インタビューを見てわかったこと。制作陣は今調達できる人、モノ、カネで最高のモノを作ったと感じた。演技が大袈裟で芸術性にかけるのもしょうがない。お金が無い中で頼るものは人。溢れ出る演者の熱量を監督もあえて止めなかったのだろう。芸術作品は監督の細部のこだわりが求められるがそういったものはあまり感じられない。逆に
何度もとりなおしできない状況での監督の演者に対する期待と信頼感、それに応える演者達の意気込みと皆の熱い想いと勢いで作ったものでその勢いが飽きさせない。荒いとこが多くても所々とても良いシーンがあった。芸術的でも退屈な映画よりよっぽど良い。興業的にもっともっと成功して新しい戦前を作ろうとしている若い世代に波紋を投げかけて欲しい。
共感ありがとうございます。
映画として楽しませようという意図がはっきり見える所が気に入ってます。評判の悪い濡れ場の多さもある意味、サービスなんでしょう 、自分なんか嬉しかったです。