「釘付けでした」福田村事件 ゆーれいさんの映画レビュー(感想・評価)
釘付けでした
ラスト20分はスクリーンに釘付けでした。映画ファンとして今までたくさんの映画を観てきましたが、釘付けなんて相当久しぶりかもしれません。外的要因で節度・モラル・良識などが通じなかった時代がたった100年前にあったということを改めて感じる映画です。久しぶりに書き込みをさせてもらいます。
監督の森達也さんの作品である新興宗教を題材にした映画が話題になったころ、監督がテレビ討論会にたくさん出演していて、「(思想が)右や左やではなく、もはやどっちでもいい」のような発言を始めとした監督の考え・理屈にとても共感したことを覚えています。現在も監督の名前が出てくれば自然と身体が反応してしまうので、今回この映画に遭遇することが出来ました。
この映画の根底にある「差別・集団心理」というテーマにとても関心があります。第二次大戦下でナチスのゲッペルスが「嘘も百回言えば真実となる」と発言したそうですが、ITの普及で「嘘か真か」が早急かつ簡単にわかる現代とは違い、当時の思想下で大震災後という強烈なストレス・心労下だと誰かが大きい声で同じことを延々と繰り返せば、容易に嘘が真実化してしまう・・そんなことを考えながら観賞し、特にラスト20分に釘付けになったのだと考えます。またこの映画のテーマの一つである「非差別部落と在日朝鮮人」について、これらを身近に感じながら齢を重ねてきた私にとってこの映画を観ないという選択肢はなく、またこれらが映画のなかで繋がったストーリー展開になっていることが新鮮で衝撃でした。
フォローありがとうございます。
今作に込めたテーマは色々と有って盛り込み過ぎを指摘される向きもありますが、知らなかった事実のショックを与え、ある程度客を呼べている事は、成功と言えると思っています。