「今を生きる私達が観るべき、識るべき重厚な一本」福田村事件 キッドマンさんの映画レビュー(感想・評価)
今を生きる私達が観るべき、識るべき重厚な一本
1923年9月6日
100年前の今日
福田村事件が起きた
公開中の森達也監督の映画で初めてこの凄惨な事件を知った。
関東大震災の騒擾の中で香川県の薬行商人の集団15人のうち幼児や妊婦を含む9人が、福田村(及び田村村)の村民により虐殺された事件だ。
大杉栄などの社会主義者や多くの朝鮮人がデマによって殺害されたことは有名だが、この事件も朝鮮人と疑いをかけられ、暴走する集団心理の狂気によって発生した。
朝鮮人差別だけではなく、部落差別、職業差別と重層的な差別構造が招いた事件だと思う。
100年立って日本人が理性的に進化を遂げた訳ではなく、人間である以上他者をラベリングし、異質なものを排除する性質は変わりはない。
今でも十分に起こり得るだろうし、自分が集団の中で加害者になることもあり得るだろうと思う。
そしてパンフレットが分厚い。
(映画とパンフレットはセット!)
そこには事件を25年に渡り追い続けた研究者がなんと映画の創りを批判する内容も載っている。曰く、史実とは異なる。
確かに、この映画は切り取り方によって功罪両面があるかもしれない。
しかし、今を生きる私達が観るべき、識るべき重厚な一本であることは間違いない。
柄本明、井浦新、田中麗奈、豊原功補、永山瑛太、東出昌大、カトウシンスケなど、名だたる俳優が集結しているのも頷ける。
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