劇場公開日 2023年9月1日

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「多様な人物は善悪に色分けされず配されて、「悪人を作らない」という演出が、かえって現代の誰にも起こり得るかもと提起してくるのです。」福田村事件 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0多様な人物は善悪に色分けされず配されて、「悪人を作らない」という演出が、かえって現代の誰にも起こり得るかもと提起してくるのです。

2023年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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流山の小地蔵
流山の小地蔵さんのコメント
2023年9月16日

『福田村事件』大ヒットの裏にあるメディアの変化

 本日の毎日新聞夕刊「シネマの週末・チャートの裏側」によれば、「福田村事件」の大ヒットの要因として、今回この作品を多くのメディアが伝えていることをあげています。 記事によれば…
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 うれしい光景だった。公開2週目の日曜日午前の回、東京都内のメイン館はほぼ満席。午後の2回目も同様だった。関東大震災下の虐殺を描いた「福田村事件」だ。チャートからは見えてこないが、この大ヒットは今年の映画的「事件」だと言える。一つの鍵はメディアである。
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 …と報じられていました。

 虐殺は、朝鮮人に関する悪質なデマから起こりました。その悲劇が、行商のために千葉県にやって来た被差別部落出身の人たちに及んだのです。その過程を克明に描いたのが本作です。この過程で、地元紙の女性新聞記者は事実に即した記事を発信しようとしますが、上司が握りつぶすのです。メディアがデマに加担してしまうのです。しかし記者は諦めませんでした。

 時代は変わり、本作公開と共に今回、多くのメディアが映画の情報を伝えました。政治、社会問題を取り上げることも多いあるテレビ番組は、監督インタビューを交えた紹介を、約30分間にわたって行った番組もあったほどです。これが主要な客層になった年配者に効果的だったようなのです。この番組含め、メディア側の変化を感じました。

 いま報道の姿勢が問われています。「福田村事件」は昔の話ではありません。先の問題意識が、メディア報道の多さの理由の一つになった感があります。取材に即した伝え方、タブー視からの脱却、さまざまな忖度への挑戦。
 「福田村事件」は、これらをメディアに突きつけたものといえます。その果敢な製作姿勢こそがメディアを動かし、多くの人に響いたのだと思います。

流山の小地蔵