「あたしの名前は!!!」福田村事件 ゆきさんの映画レビュー(感想・評価)
あたしの名前は!!!
恥ずかしながらこの事件の事を知りませんでした。
無料パンフをゲットした際、珍しくちゃんと全部読みまして。。
わずかなその序説だけで、ゾクッとしたんです。
え。何で。こんな事件があった事を知らずにいたなんて。。
すぐに関連書籍を調べて、唯一ヒットした、辻野弥生先生の「福田村事件」を購入し読みました。
先生が千葉県で関東大震災の取材中に野田市のある住民から、福田村事件について書いて欲しいと依頼されたそう。
地元ではこの事件はタブーで、
「野田の人間ではあと50年は書けない」と。。
映画のEDでも説明されていたように、事件の事は活字で残された物はほぼなく、皆、口を塞いでいたそう。
「これ以上事件を蒸し返さないでほしい」
「せっかく忘れかけていた事なのに」
などの声も多く、取材中はかなりの葛藤とご苦労があったそうです。
そんな中、わずかに残る当時の新聞を頼りに取材を重ね、2013年に書籍化!
(しかし、出版元の廃業で絶版に。。)
そんな過程を経て、関東大震災から100年目にあたる今年の6月に再販が決まり私も手にする事が出来ました。
当事件の映画化で注目されたのもありますね。
福田村事件について記された貴重な本なので、機会があれば是非読んでみて欲しいです。
さて、本作なのですが、あらすじが全てなので敢えて書きません。
災害などの非常時に流言が発生し広がる理由として「急な不安」が大きな要因だと思います。
そして、その不安の蓄積や流言の広がりが、弱い立場の人々への攻撃に変わっていく様は、悲しいかな100年前の人事ではありません。
それこそコロナが感染拡大した時は世界中が一気に不安になったし、感染してしまった方々への暴言も聞かれました。
不安を抑える為なのか、誰かを攻撃する事へと向かう心理状態は現代人も同じだ。
そして権力のある側に加担し、情報操作したり、真実を報道しない新聞社。
(マスコミ)
これだって今のJ問題に通じる所があると思う。
歴史って。。
人間の過ちの過程を知る事ができる教科書だ。
よく「悲惨な歴史は繰り返すな」みたいな文句を耳にしますが、きっちりしっかり過ちを繰り返し続けて今に至っていると思います。
しかし、今の日本でこの題材をとりあげ、映画化したことは、大変意味のある事だし、製作陣の勇気を感じます。
現に私も知る事ができました。
映画として考えると。。
主人公(新ちゃん)の役割?が薄い。。ん?違うな何だろ?必要性かな?
PTSDについても、例えば、フラッシュバックに苦しむ様子や悪夢でうなされるシーンなどがあれば、説得力が増した?
4年間も妻(麗奈ちゃん)にさえ告白できなかったのに、その過去のトラウマを語るシーンも若干物足りない。
瑛太はそのイケメンがやや邪魔になったか。。
コムアイちゃんはすっかり女優さん。
良い味出してました。
そしてまさかの!
東出君が色気ムンムンでビックリしたw
お久しぶり。こちらも色っぽい麗奈ちゃんを何の躊躇もなく頂いちゃうのは好きでしたw
登場人物が多いですが、それぞれの背景や立場による考え方の違いなども丁寧に描かれていました。
集団心理による普通の人々が鬼畜になっていく様子もリアルでした。
自分も、あの時代の福田村の住人だったらと考えた時。。
ヤらないとヤられる。。
当時の人々が襲われたであろう恐怖が想像できてしまいます。
よく、この手の作品は、
若い人に観て欲しい!と言われると思うのですが、イヤイヤ、今の若い子の方がよっぽど柔軟だし、グローバルだから!
私のような40代〜の頭の固い世代こそ思考のアップデートをすべきですわ。
出どころ不明なデマに踊らされパニックになり、とり返しのつかない事をしでかすのって。。
この世代じゃん。。と思ってしまうのも偏見でしょうか。。^_^
しかししかし!
レイトショーで鑑賞しましたが、先輩方で大入りでした。
上映後、若干思想強め?の方2名ほどの力強い拍手におののき軽い尿漏れw
(ウソです笑)
いや、でもやっぱり!
こんな事実があったという事を知るだけでも価値がありますので、全ての年代に観て欲しい作品です。
コメントありがとうございます。
自分も恐怖は感じたんですが、尺と余計な描写で薄まってしまったなぁ、と。
震災以前の内容の大半が「止めに入った人の言葉が聞き入れられない理由」にも見えてしまいます。
そこに根拠を与えない方が、狂気も悲劇も浮き彫りになったように思うのです。
あそこで朝鮮人の扇子を(それまで使ってる描写もないのに)出すのも不自然に感じました。
意義のある題材に否定的な意見は書きたくないのですが、あくまで作品として評価してしまうのです。
ありがとうございます😊
早速、近所の本屋さんに行って探してみましたが、取り扱っていないとの事でした。本作が上映されている近くの書店なのに、勿体ない。考えて、悩み、もがいた末のレビューです。そう言っていただけると、時間を掛けた甲斐があります。レビューの貴重な情報、ありがとうございました。
私はもっとエンターテイメントに近づけて、若い人たちに知ってほしいと思いました。
たぶん、この作品を進んで見に行かれるのは団塊の世代の学生運動などに関わられた方々が多いような気もします。
自分の興味のあることについて、さらに知りたいというのはとても自然なことです。
それに加えて、このような事件に全く興味も関心もなかった人々が、例えば俳優さん目当てであっても、その映画を見て、その事実を知りたいと思うことが大切なのではないかと思いました。
「この映画、おもしろい!」と評判になって、見た人が、「そうか、こんなこともあったのか」と興味をもってもらい、自分でその事件について調べてみた、とかいうのが理想なのかな、と思います。
共感ありがとうございます。
藤井監督好きな方ですよ。いつも賛否分かれるようですが、「余命1年」も割と好きでした。事件系の映画化問題は興味深いです。胸糞系か昇天系か、ドキュメント寄りか脚色寄りか、メッセージを鮮明にうち出すのか、等々。今作は双方向から製作が進んだ、変わったケースの産物な気がします。
共感ありがとうございます。
どんどん観てもらって、異例のヒット!となってほしいのには大共感。
「映画として」ご不満は、私にとっては逆の評価で、ある程度描写と説明を抑制、削減していたからこそ、クライマックスの虐殺に目を反らさず観られたのだと思ってます。ディレクターズカットとか出ると、又違う意図が見えるかもしれませんが・・・