「名作「ベルばら」を2時間弱で駆け抜ける」ベルサイユのばら 猿田猿太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
名作「ベルばら」を2時間弱で駆け抜ける
歴史と少女漫画のロマンチシズムを如何に見せて頂けるかと期待したいところですが、様々なエピソードを手短に紹介する、そんな歴史ドキュメンタリーなダイジェストを印象にもってしまったことは否めません。
ですが、それでもバラは咲くことを止めない。「ベルばら」はやはり「ベルばら」であったと十分に納得できたと思うのですが如何でしょうか。正直、ベルばら原作もヅカの舞台も触れたこと無いので自信を持っていうことが出来ません。フランス革命もマリー・アントワネットのこともよく知らなかったし。
でも、画面に乱舞する美しい薔薇は、これぞ少女漫画なのだな、と思う。上映時間をおしてもドラマ部分を削っても、挿入歌とそれを演出する映像は素晴らしい。踊るモーションは実に華麗。それらの演出は歌劇である宝塚版を意識されているのでしょうか。特にマリーとフェルゼンの逢瀬で、夕焼けに染まった薔薇の浮かぶ水辺の光景には身震いしました。ただ、「恐ろしい子!」で有名な白目ショック顔はクスッときたけど、笑って良かったのでしょうか。
歴史は詳しくないし、本当にこんなにドラマティックであったのか。私には判らないけど、これをきっかけに史実を紐解くのも良いかもしれません。ベルばら原作や宝塚の舞台にも触れてみたい。ああ、そういえば、歌舞伎の俳優祭でベルばらを演じられていましたね。まだニコニコとかに動画残ってるかな。男性が男装の女性を演じるという、よく判らないことになってましたが。
改めて、画面を乱舞する薔薇が実に美しい。少女漫画を余り知らない私ですが、「エロイカ」ぐらいなら読んだことがあって、その外伝「ツェット」の1話で多くの薔薇が描かれていたけど、描くのが難しいので他の先生に頼んだんだったか。描くのも折り紙で折るのも難しい薔薇。最後に誰も居ない「薔薇園」で締めるというのは素晴らしいエンディングでした。映画でも舞台同様に「カーテンコール」で締める作品が好きなのですが、誰も出さずに登場人物を象徴する薔薇でご挨拶というもの意味が深く、実に感慨深いものがあります。何はともあれ、スタッフの薔薇職人様(って、いるのかな?)お疲れ様でした。
でも、あえて要望するならば、エンドロールで傑作OPの「薔薇は美しく散る」を流してほしかった。そしたら一緒に歌いながら劇場を後に出来たのに。私は原作を知らないくせに歌だけは覚えていて、普段から折を見て口ずさんでいますから。