「完全なキャステイングミス」アムステルダム デンズモアさんの映画レビュー(感想・評価)
完全なキャステイングミス
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若い頃、過酷な戦場で友情を誓った男女3人が、恩人の謎の死を解決していく推理劇、という比較的カンタンな構造にもかかわらず、誰が、何を考えているのか? 何を目指しているのか? 全然伝わってこない迷作。おそらくセリフですべて語ろうとする脚本の悪さと、なによりキャスティングのまずさからだと思う。
正義感あふれる黒人弁護士、自由奔放なアーティスト、傷痍軍人の社会復帰に奔走する隻眼の町医者。それぞれをジョン・デヴィッド・ワシントン、マーゴット・ロビー、クリスチャン・ベイルが熱演しているが、スター3人のオーラが強すぎる。この3人、社会弱者である。設定的には。巨悪に殺されそうになりながら謎を解いていくけれど、なにせ存在感が強く、だれにだって勝てる感がはんぱない。その時点で「名もなき弱き若者」の巨悪への挑戦、という主題がぶれている。
やっと辿り着く最強の黒幕をアニャ・テイラー・ジョイとラミ・マレックが演じているが、どう考えてもこっちが弱者なのだ。アメリカを揺るがした闇の大物とは思えない。たとえばアニャ・テイラー・ジョイとM・ロビーを、 ラミ・マレックとC・ベイルをチェンジするだけでも、役割が正しく見えていたはず。
スター揃いの大作で、広告も多かったし資本もすごく投下されているので、多分キャスティングにも外野から横やりも入ってやりづらかったんだろうとは理解するけど、スターの無駄遣い感は否めない、残念な作品である。
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