「見応えがあった」ペルシャン・レッスン 戦場の教室 ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)
見応えがあった
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ナチスにユダヤ人ではなくペルシャ人だと嘘をついたために、戦争後にレバノンでレストランを開きたいと考えていたナチスの大尉にペルシャ語を教える羽目になり、出鱈目の言葉を教える。
大尉が真剣に勉強すればするほど、バレた時は何て恐ろしいことかとゾッとする。
大尉は部下に「彼はどう見てもユダヤ人だ」と説得されるのに信じなかったのはレバノンに行って夢を実現させたかったからで、父親はお湯を売っていたというくらい幼少期は極貧という過去がある。そういう打ち明け話をしてしまうほど、彼を信頼していたわけだが、その信頼はもちろん一方的なものである。権力者側がマヌケなのは嘲笑ものだが、この作品ではドイツ軍の人間関係も描いていて、ナチスの中にも当然ながら色んな人がいたんだなと思う。
アメリカ軍が来て収容所は撤収となり、夢を実現するためにいち早くレバノンに飛ぶ大尉は、訳の分からない言葉を話したために入管で捕まってしまう。彼の気持ちを考えると、何とも可哀想。
一方、大尉の配慮で収容所から脱出できた彼は無事に保護され、収容されていたユダヤ人について聞かれると、収容者の名前を元に偽の単語を作り出していたため2800人の名前を記憶していた。元々、記憶力のいい人物だったのか、死と隣り合わせの恐怖が彼をそうしたのか。
ナチスの残酷さを描きつつも、それだけでない、人間の深く複雑な関係を描いていて面白かった。
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