「少し辛口です。すみません。」メイクアガール クックーさんの映画レビュー(感想・評価)
少し辛口です。すみません。
作品に点をつけるからには基準を明確にしておきたいので言っておくと、
私の採点基準は
映画館に見に行って損したなという感情が湧かなければ★3
個人的な好みが加わって★4
人にも勧められれば★5くらいの基準で付けてます。
本作は★2かなと思います。正直長編映画作品として成り立ってないと感じました。
見に行った理由としては、昔からSF、中でもAI(人工生命)と人との対話、シンギュラリティを題材にした作品が映画、小説、漫画…媒体問わず大好物でたまたま映画館でこちらの作品の宣伝を目にして興味を持ったからです。
安田現象さんという方は存じ上げなかったです。すみません。元はショート動画作家さんなのですね。
この手の題材の焦点は往々にして、AI(人工生命)の成長とそれに関わる人々や社会の成長が物語の核となります。「ロボット」という言葉が世界で初めて生まれた古典戯曲の頃から一貫したそのテーマにもはや目新しさはなく、どのように見る人に届けるか、が作家性の問われるところと思います。
本作品は焦点がばらけすぎていること、人工生命とその開発者の感情がまったく共感できない(できるように描けていない)ことがこの作品のちぐはぐ感だと思いました。
作品内の人物が、脚本の思い描いたストーリーをなぞる様に行動しているようにしか見えず、感情移入を大きく阻害しています。
初めから決まったプロットに向かってキャラに行動を起こさせている状態です。
もちろん傑出した人物(そのように造形したキャラ)は他者の共感を得られない、というのも主張としてあるとは思いますが、それはエンターテイメント作劇としては成り立っていないと思います。お金を払って見にくる人々の大半は私も含め平凡な一市民なわけですから。
見ている人々に対してこのキャラはこれでいいんだという説得力を作品単体で持たせるべきです。少なくともこの作品ではそれに失敗していると感じました。
見る人に補完させる余地を残すのは作劇の手法ではありますが、多くを語らないことと、語るべきことを語らないは別の話です、時間的余裕のある長編であればなおさら。
必要な部分を入れきれないならもっと焦点を絞るべきだったと思います。
ただ、アニメーション作品としてはクオリティ高く出来上がっていたと思います。
0号ちゃんや茜ちゃんはかわいかったですし。
初の長編監督作品がこのレベルで出来上がってくるのは称賛に値すると思います。
これからのステップアップに期待します。