劇場公開日 2025年1月31日

「主要キャラに共感できないのが残念」メイクアガール おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0主要キャラに共感できないのが残念

2025年2月2日
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鑑賞方法:映画館

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長編アニメは大好きなので、本作も予告からけっこう期待していて、公開2日目に鑑賞してきました。客入りも悪くない感じでしたが、率直な感想としては、期待にはちょっと届かなかったかなという印象です。

ストーリーは、近未来、生活支援ロボット「ソルト」を開発した天才科学者の高校生・水溜明が、新たな製品開発に行き詰まる中、「彼女ができてパワーアップした」という級友の話にヒントを得て、人造人間の彼女「0号」を創り上げるが、日常生活の中で経験を通して感情を成長させていく0号に対して、明はいっこうに研究開発が進展せず、二人の間にしだいに溝が生まれていくというもの。

科学の力で彼女を作った天才少年と少女とのラブストーリーかと思って期待していたのですが、ちょっと違いました。そんなほんわかしたり、切なくなったりという類のものではなく、人造人間開発の裏にある親子の物語の方が印象的です。

後半になって明かされる、明を思う母の心情がよかったし、それを受け取る明の思い、さらにはそこに0号の思いが絡んでくるのもよかったです。家族の温かさに収束していく明に対して、それとはやや異なる0号の思いが、物語に奥行を与えていると感じます。

ただ、そこからの展開と落としどころが、イマイチよくわからないです。女性研究者・絵里の嫉妬心は、序盤からのわかりやすい伏線もあり、十分に共感できるのですが、肝心の明と0号の心情に共感しかねます。というより、よくわかりません。年頃の少年の感情を持ち合わせていない明と生まれて間もない0号とはいえ、私のような理解力の乏しいものでもわかるように、もう少し二人の考えや感情がわかるように描いてほしかったです。

というわけで、設定は興味深く、展開もなかなかおもしろいのですが、主要キャラに共感しにくいため、感動に結びつかないのが残念です。とはいえ、映像は劇場クオリティで申し分なく、クライマックスでのソルトの有能ぶりは素晴らしく、動きもとても好みです。過度な期待を捨て、深く考えなければ、それなりに楽しめるのではないでしょうか。

キャストは、種﨑敦美さん、堀江瞬さん、増田俊樹さん、雨宮天さん、花澤香菜さん、上田耀司さん、日向未南さんら。

おじゃる