「【自然豊かな場所に住む行政から見ると問題多き家族が、直ぐ隣の大都会に強制移住させられて苦悩する様を描いたドキュメンタリー作品。イロイロと考えさせられる映画でありました。】」アカーサ 僕たちの家 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【自然豊かな場所に住む行政から見ると問題多き家族が、直ぐ隣の大都会に強制移住させられて苦悩する様を描いたドキュメンタリー作品。イロイロと考えさせられる映画でありました。】
ー エナケ一家は、家族の長であるジカの”文明社会の中では住みたくない”と言う思想の下、20年来、ルーマニアのブカレストに隣接するバカレシュティ湖畔で暮らして来た。
一家が住む家は、ボロッチイ掘っ立て小屋だが、大家族で湖の魚を取りながら慎ましやかに暮らしていた。
だが、ある日行政がバカレシュティ湖畔を都市型自然公園にすると決め、エナケ一家はブカレストの一角で暮らし始めるが・・。
◆感想
・冒頭の、エナケ一家のボロッチイ家を上空から俯瞰して映した画が印象的である。家のすぐそばにはバカレシュティ湖があり、直ぐ近くには高層ビル群が聳え立つブカレストがある。
凄いロケーションである。
・エナケ一家の多数の子供達は、学校にも行っていないため、行政が乗り込んで来るが拒否するジカ。
ー 大自然の中で暮らすのは構わないが、教育は受けさせようよ、お父さん。-
・そして、大都会に強制移住された一家。子供達は綺麗に髪を切って貰い、学校にも通い最初は嬉しそうだが、生活は徐々に破綻して行く。
ー 長年、自由に生活して来た彼らは、車行き交う道路の真ん中を歩いているし、遊泳禁止の川でも文字が読めないので、楽しそうに泳いでいる。
だが、禁漁区で釣りをしていたために、警察に勾留・・。-
・長男のヴァリと、父ジカとの対立も深刻になり、更に貸し与えられた家の使い方も酷く、一家は追い立てられてしまう・・。
<今作は、大自然の中で生きる素晴らしさを描いている訳ではない。
価値観の違いの中で、苦悩するエナケ一家の姿をリアルに描くことで、文明の中で暮らす事が本当に良いのか、大自然の中で生きる事が良いのかどうかを、観る側に問いかけるドキュメンタリー作品なのである。
個人的には、自分の思想で子供を学校に通わせなかったジカ(彼は、働いてもいない。魚を取って、売っていたのはヴァリである。)の姿勢は、子を持つ親としてどうかなあ、と思ったな。
イロイロと考えさせられる面白きドキュメンタリー映画であった。>