エンパイア・オブ・ライトのレビュー・感想・評価
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1981年のイギリス
といえば
パンクロック、ネオモッズあたりが全盛な頃でしょうか?
海辺の映画館と曇り空が
とてもイギリスぽくて
それだけでも
イギリス好きなら
観る価値はあるかなと
そして、フーリガン全盛時代の怖さや
まだ残る差別の辛さ
も味わえます
小粒な作品 共感度も低い
出演者も豪華でレビュー評価も良さそうなので見てきました。
思った以上に小粒な人間ドラマでした。1980年代初頭の社会情勢が不安で厳しいさに揺れるイギリスの海辺の町マーゲイトの海岸沿いのある古い映画館が舞台の
心に傷を持つ中年女性と黒人青年との微妙な人間関係を中心に描いています。
正直なところ演技には定評のある顔ぶれが揃っていて見応えはありますが共感できるドラマかと言われるとかなり微妙。
特に主人公の中年女性の狂気の言動は心の病という理由にしても見てて苦痛でした。
黒人青年の旅立ちを応援するだけの作品。おススメ度は低いです。
映画好きならどハマり確約です。
1981年、イギリスの海辺の町、マーゲイトにある劇場エンパイアで働くおばさんヒラリー。ふーん入院してたって事はどっか悪いのかなって思っていると、これ病気じゃないな。
自分の気持ちをストレートに伝えると精神病扱いされちゃうのね。ある意味社会性が希薄なおばさんではあるんだけど、自分の正義を貫くメンタルがカッコいい。
上司とは不倫なのかセクハラなのか、最初は2人の関係分からず。だけど、社内でそんな事やる?バレてるし。
そこへ就職してしてきた黒人の若者スティーヴン。なぜかヒラリーと仲良くなっていく。歳の差10以上ある感じなのに、お互いが惹かれあっていく。人の魅力は肌の色や年齢などでは計り知れないのさってね。
あの時代、不景気のイギリスでは黒人嫌われていたんだね。このところイギリス人の感じ悪い映画多いな。
80年代の音楽や映画が懐かしくて胸に刺さりまくり。チャンスって映画知らなかったのが惜しかった。ヒラリーとスティーヴンの関係も楽しかったし、同僚達もとても良かった。映画は人を幸せにするんだよ。オススメ〜。
五感が心地よい、ガラス一枚で隔てられたパラダイス
ヒラリーの「正体」が初めは良くわからなかったが、途中で劇的に判明する。そして、職場仲間の心遣いも分かる。
押し付けがましくなく適度な距離感で見守れるのは、彼らもそれぞれ傷や闇を抱えており人の気持ちが分かるからでしょうが、自分が辛いとその分他人の不幸は蜜になりがちなのに、ここの人たちは温かく優しい。
スティーブンのお母さんの優しさと視野の広さも心地よい。
普通なら年若い息子をたぶらかした中年(メンヘラ)オンナ、と攻撃しそうなのに。
サッチャー政権下、失業者が溢れストライキや暴動が多発した時代のイギリスの庶民が主役の映画は、「ブラス」とか「フル・モンティー」とかいい映画があったがこれもそう。
映像が美しい。
音楽も良い。
五感が安心する心地よさがある。
映画館の中は特に心地よい。
外部とガラス一枚で隔てられた空間は、物理的にも精神的にも、中で働く人々を守っている安全な場所。
優しい人達しかいないささやかなコミュニティ。
映画館は「職場」なので、失業の脅威からも守られている。
この映画館はパラダイスです。
こんな職場で死ぬまで働けたらいいなあ。
弱い立場の女性にセクハラし続けてきたゲス支配人が晴れ舞台で成敗されるのも心地よいです。
さすがサム•メンデス
地味な話ながら、描写のバランス、ロケーション、キャスティングも絶妙な作品でした。
オリヴィア・コールマン起用が絶妙で、性描写までも描くことでヒラリーの存在が親近感や同情だけではなく嫌悪感までもがリアルに感じ取れた。個人的にコールマンは苦手な女優ですが実力は凄いし良い作品を選んで出演していると感じる。
スティーブンをはじめ劇場スタッフがいい人過ぎて、そこはリアルを感じなかった。反面、暴徒の行動は非常に恐ろしく無縁の日本にいて現実を教えられた。
最近サーチライトは佳作が多くすごく勢いを感じる。
以前映画館でアルバイトをしていたので、その時映写室をもっと見せてもらえばよかった。映写技師の方も映画業界に携わっていた事を誇りに思っていたような気がする。
思い出の映画の映画の音に溢れている
少し時間が出来たので日比谷の映画館に行くと、ちょうどこの映画が始まるところだったので、内容も知らずに入った。太陽の帝国というスピルバーグが映画化したバラードの小説のことを想像して入ったら、サッチャーによる保守回帰が進むイギリスでの映画館の話で、英国版ニューシネマパラダイス?かと思ったら、そうでもあるし、そうでもなかった。
主人公は少し精神的に病んでいるおばさんと黒人の青年。キャラクターは本当によく出来ていた。そして各所に引用される映画の数々。このストーリー自体が1980年代前半の私が高校生の多感な時期なので、色々記憶にある。引用と言ってもそのほとんどが、ある理由で、聞こえてくる「セリフや音楽」だけなのだ。それもネタバレになるので書かない。ただ、一つだけ実際に「見る」映画もあって、それが私の父と一緒に観た映画だったので、そういう意味では個人的には英国版のCinema Paradiso!になっていきました。これはお勧めの大人の映画です。
地味だけど前向きになれる映画です
実績のあるサム・メンデス監督ということと映画館を舞台にした人間ドラマということに興味を惹かれ早速観てきました。
過去の出来事から心の闇を抱え孤独に生きる統合失調症の中年女性ヒラリーと、人種差別に苦しみ建築家の夢を諦めた黒人の若者スティーブンが、映画館エンパイア劇場という職場で出会い交流する中で、お互いの苦しみを理解しお互いが自分の殻を破って新たな人生を歩んでいくというヒューマンストーリー。
1980年代が舞台ということで炎のランナーなど懐かしい映画がでてきます。チャンスという映画は未見ですが、この映画をきっかけに見てみたいと思いました。なんといっても映写技師が選んだオススメの映画ですからね。エンパイア劇場は支配人以外みんな個性的ないい人たちで温かいのもいい。
人種や年齢の違いを超えてお互いを理解しようとする二人の愛にサム・メンデス監督の人間讃歌が感じられました。きれいごとだけではなくしっかりと人間の醜い部分や性描写も描かれ、そういう部分もあるけど、やっぱり人間には愛があれば希望を持てる、人生を変えられる、というメッセージが伝わりました。観て良かったです。
名作!
最近観た「映画って素晴らしい」系作品の中で一番良かったです!80年代の映画館、海辺の街、音楽etc、先ず世界観が美しい!全体を包む寂しげな雰囲気や、名優達による繊細な演技も素晴らしかったです。エンパイア劇場の描写が良すぎて、自分もそこにいる様な没入感。ストーリーを知った上で、もう一度最初から映像だけ楽しむため観たくなります!
タイトルなし
素晴らしかった。メンデスのアメリカンビューティーが好きだったし、ロストドーターのコールマンが素晴らしいと思っていた。
実際、コールマンは素晴らしかった。知的で自分を大事にする勇気ある女性を描きつつも、精神不安定と情緒の激しさも演じられる。中年の女性が若い男の子に恋する切なさも、見てて切ない。ロストドーターも、片思いのような気持ちが叶わなくなる話だった。
映画に想いを寄せたメンデスのストーリーは素晴らしく、映写技師を演じたトビー・ジョーンズが素晴らしかった。逃げちゃ駄目だ、自分は息子とあってない、逃げたからとぽつんと話すセリフは素晴らしい。
若さが持つ力が彼女を変え、彼女に支えられて彼は勇気をもつ。
大学進学を前の日にしか言えなかった下りは、ちょっと難しさを感じるけど。
廃墟からの眺めが素晴らしいというのも素敵。
メンデスのお母さんが精神疾患を抱えていたから、レボリューショナリー・ロードにしても、日常とそこの裂け目をあんなに繋いで描けるんだと思う。画面からこぼれ落ちるそのリアリティ。
どの瞬間を切り取っても美しいカメラワーク
イギリスの小さな街の映画館を舞台とした物語。
どの瞬間を切り取ってもそこに映る絵は美しく、最小限のカメラワークに留めていることが、その美しさをより強調していたと思った。
それは冒頭のスタッフロールのシーンだけでも十分に感じられた。
ガラスという壁の外側と内側という構図が印象的で、その演出により主人公の心のうちと外を上手く演出しているのではと感じた。
美しい景色と登場人物のやさしさから、観た後に心が洗われた気分になれる作品だった。
「チャンス」は名作だけど
名演技か否かは別にして、何か納得出来ないキャスティングに話が入り込めない。
さらに映画館で勤務中にあるまじき行為をする輩にはとても好意を持てない。
身勝手な想いで有るのは分かっているが、
映画館で働く方々は、
何よりも
映画が好きでいてほしい。
気がついたらオリヴィア・コールマンの演技に引き込まれていた。
多くの情報を得ず
映画館の椅子座った。
それが功を成したのか
次第に美しい映像と演技、
そして物語に入っていった。
最初から引かれていた付箋。
それがだんだんと広がりを持ち
空虚な主人公の心につながった。
ボロボロでギリギリな日々
色彩に溢れ温かく幸せな瞬間
本当の彼女の光は?
本当の救いは何か?
遠くを見つめる彼女
彼女を見つめる同僚
そして映写技師の台詞
美しく落ち着いた映像が
客席とスクリーンを結ぶ。
最後は映画ファンならわかる。
劇場の椅子に座りながら
ニコリとした自分がいた。
※
オリヴィア・コールマンの演技と
ロジャー・ディーキンスの映像は必見
※
とても良かった
主人公が美魔女ではないところが現代的だと思った。
サム・メンデス監督は精神疾患を持つ人を「真実が見えすぎている人」として描いていると思った。『レボリューショナリーロード』でもそんな登場人物がいたなあと。
“偏見”
偏見を持つがわも持たれるがわも、共通しているのは恐れているということ。
それを取り除いてくれるのは、共通の娯楽である映画、音楽、水切りだっていい。
どう見られたっていい、恐れるな。
そんなメッセージに勇気づけられる、少ないロケーションながら天候や季節、とりわけオリヴィア・コールマンの笑顔に彩られた、良い作品でした。
オリヴィアコールマンの使い捨て映画
彼女の演技のいいとこだけ物語に利用したような映画でした。
開始十分くらいは良かったんだけど
本当に途中ひどかった
てか最後まで酷いんだけど。
何ていうかヒラリーが統合失調症じゃないなら分かる話なんだよ。
ある少年が映画館で過ごした青春、みたいな。
でもこれってヒラリーの話なんでしょ?
彼女の心の内に入り込まずに、
どうしてスティーブのことばかりなわけ?
彼にとって都合のいい存在だっただけでは?
結局、彼女はまた男に愛を持ってかれた訳だよね?
統合失調症にすることで、オリヴィアコールマンの
演技の見せ所だけ持ってって、
他の部分の穴埋めは全然できてないように思えた。
もちろん彼女の演技はもうそれはそれは素晴らしく、
ステージに上がっちゃうシーンも、
舞台ばりに声を張り上げるシーンも、
大きな音に心臓を縮ませるシーンもどれも凄かったし、
彼女の笑顔に何度も恋をしているような気分になる
とにかくもっとオリヴィアコールマンの演技が見たい。。
マギーギレンホールの『ロスト・ドーター』は彼女を
大切に描いているような印象があったんだけど、
今作にはそれが全くなかった。
だからという訳じゃないが、女性の映像作家が描く彼女が見たいよ。
映画技師の使い方も雑だったし、
映画へのリスペクトに欠ける気さえした。
2月も残すところ『アラビアンナイト』と
『逆転のトライアングル』のみ。
こちらに期待!!
メインテーマはどれだ
2023年劇場鑑賞43本目。
中年女性と若い黒人の恋って一本前にも観たな・・・あっちは見た目だけでしたが。
映画館を舞台に「炎のランナー」とか「レイジング・ブル」が公開された頃の時代を描いた作品。
とはいえ「バビロン」ほど映画事情に特化したわけでもなく、黒人差別がメインというわけでもなく、恋の話かと思ったらヒロインがああいう状態になってしまってそれどころでもなく、色んな要素てんこもりと言えば聞こえはいいですが、どれも中途半端になってしまったな、という印象でした。
スクリーンに映る光のその先へ
ため息が出るほどの映画的な映像美とはこのことか。映画館に、劇場に灯りが点る冒頭のシーンで私はすっかり本作の世界に魅了されてしまった。
「理想と現実」これこそがサム·メンデスが一貫して描いているテーマではないだろうか。映画館で映画を観るという行為は暗闇に照らされた光を見つめるというということであり、その光に観客は希望を見出だすことができる。しかし、本作では光を放つ映写機の後ろにも焦点を当てる。
本作で映し出される乾いた世界は理想とは異なる厳しいものがある。差別や偏見、理不尽な世界に身を置きながらも自分が壊れないように擦り合わせていかなければならない。しかし、そんな現実だからこそ、私たちは暗闇に光を求めるのではないだろうか。映画を観る2時間、3時間という限られた時間でも私たちは別の世界に入り込み、現実を見つめ直す。ヒラリーがスクリーンに身を委ねる後半のワンシーンは正に本作のハイライトであろう。
1つの作品に複数のテーマを詰めすぎた印象もあるが、映画が私たちの人生を豊かにするのにいかに大きな役割を担っているのかを本作は静かに物語る。ある人にとっては凡作と思える映画でも、ある人にとっては人生を変えることもある。暗闇に映る光に満足するか、スクリーンの先に光を見出だすか?
美しいラストシーンも見事だが、映写技師を演じるトビー·ジョーンズの存在感が実に素晴らしい。理想と現実を否定も肯定もせず、それでいて、物語を前に進めるサム·メンデスの手腕は本作でも健在だ。
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