エンパイア・オブ・ライトのレビュー・感想・評価
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「『恥』って心を蝕む」
大なり小なり、人には言えない思いがある 大体はその感情を噛み殺して生きている 平静を装いながら、その感情を飼い慣らす事に始終して、人生は終わる
そしてその蓋が開いてしまった人に対して、人は冷たい 集団で生きる上で、それは嫉妬であり不都合なのである
だから排斥が起きる
それが自然の摂理だと思う人の精神構造は、果たして蓋が閉じているのだろうか? 蓋が開いてしまった人をキチンと表現する それが映画の存在意義なのだと思う そんな映画に賛否両論など無い あるのは理性的、且つ冷静な批評だけだ
今作について苦言を呈している文章が散見されるのは、清廉潔白を身上としている人達 沢山の問題点を詰め込み過ぎだと揶揄していること多数・・・だから一つ一つに深みがないと・・・
引くのも足すのもその作品の重要な要素だ そこに他人が意見する必要は無い 料理ならば卓上に塩があるが、生憎映画は料理ではない 人は本当に観たいモノなどは本来無い 但し観たくないモノは無数にある それは謂わば自分が崩壊される危険性に黄色信号を点滅させているからだ 自分が理解出来ないから、危険危険危険・・・・ 本来『危険』とは自分の生命を脅かす事象についての警報であろう 生憎映画はそこまで危険ではない
1981年のイギリス
といえば
パンクロック、ネオモッズあたりが全盛な頃でしょうか?
海辺の映画館と曇り空が
とてもイギリスぽくて
それだけでも
イギリス好きなら
観る価値はあるかなと
そして、フーリガン全盛時代の怖さや
まだ残る差別の辛さ
も味わえます
小粒な作品 共感度も低い
出演者も豪華でレビュー評価も良さそうなので見てきました。
思った以上に小粒な人間ドラマでした。1980年代初頭の社会情勢が不安で厳しいさに揺れるイギリスの海辺の町マーゲイトの海岸沿いのある古い映画館が舞台の
心に傷を持つ中年女性と黒人青年との微妙な人間関係を中心に描いています。
正直なところ演技には定評のある顔ぶれが揃っていて見応えはありますが共感できるドラマかと言われるとかなり微妙。
特に主人公の中年女性の狂気の言動は心の病という理由にしても見てて苦痛でした。
黒人青年の旅立ちを応援するだけの作品。おススメ度は低いです。
映画好きならどハマり確約です。
1981年、イギリスの海辺の町、マーゲイトにある劇場エンパイアで働くおばさんヒラリー。ふーん入院してたって事はどっか悪いのかなって思っていると、これ病気じゃないな。
自分の気持ちをストレートに伝えると精神病扱いされちゃうのね。ある意味社会性が希薄なおばさんではあるんだけど、自分の正義を貫くメンタルがカッコいい。
上司とは不倫なのかセクハラなのか、最初は2人の関係分からず。だけど、社内でそんな事やる?バレてるし。
そこへ就職してしてきた黒人の若者スティーヴン。なぜかヒラリーと仲良くなっていく。歳の差10以上ある感じなのに、お互いが惹かれあっていく。人の魅力は肌の色や年齢などでは計り知れないのさってね。
あの時代、不景気のイギリスでは黒人嫌われていたんだね。このところイギリス人の感じ悪い映画多いな。
80年代の音楽や映画が懐かしくて胸に刺さりまくり。チャンスって映画知らなかったのが惜しかった。ヒラリーとスティーヴンの関係も楽しかったし、同僚達もとても良かった。映画は人を幸せにするんだよ。オススメ〜。
【”暗闇の中に光を見出す。”最近、映画をテーマにした良作の公開が続くが、今作もその一作である。映画館が如何に大切な存在であるかを描き出した趣ある作品である。映画館で観る映画って、ヤッパリ良いよね。】
ー 「エンドロールの続き」「バビロン」来週公開の「フェイブルマンズ」(面白いに決まっている!)。古くは、「カイロの紫のバラ」「SUPER 8」「アーティスト」そして、誰もが知っている「ニュー・シネマ・パラダイス」ほぼ外れなしである。
映画館で映画を観るのは、家で配信を見るより、当たり前だがメンドクサイ。だが、私だけかも知れないが、映画館で観た映画は、より心に残るモノが多い気がする。それは、事前に体調を整え、映画館まで時間を掛けて足を運ぶ行為が介在しているからだと思っている。
だが、配信の良さもコロナ禍以降、実感している。日本には映画館の無い地域が多数あるからである。配信の普及はコロナ禍が齎した数少ない、僥倖な事だと思っている。-
■今作は、映画館に勤める中年の白人女性ヒラリー(オリヴィア・コールマン)と、新入りで雇われた黒人青年スティーヴン(マイケル・ウォード)との恋物語を軸に、彼らにとって、如何に映画館が大切な存在であるかを、描き出した趣ある作品である。
◆感想
・序盤、ヒラリーが医師の診察を受けているシーンが映し出される。会話を聞いていると、彼女が心に傷を負っていることが分かるが、この時点では詳細には明らかにされない。
ー この映画は、登場人物達の過去を、観る側に少しづつ開示して行く。それが奏功している。-
・スティーヴンも、親しくなったヒラリーとのエンパイヤ映画館の、使われていない展望喫茶店で、”本当は建築家に成りたかったけれど・・。”とか”母親は1960年代にトリニダッドから英国に来て、それ以来ずっと看護師”等と言い、ヒラリーも幼き頃に両親から受けた心の傷を話すのである。
ー 孤独であった、彼らにとって心を許した相手と会話する事は、一種の救済である。-
・支配人のエリス(コリン・ファース)のセクハラに悩むヒラリー。だが、中々言い出せない中、スティーヴンが質の悪い常連客がフィッシュ&チップスを食べながら劇場に入場しようとした際に、毅然と”食べるならここで!”と言い放つ姿を見て、妥協していた自分の行為を恥じるかのような表情を浮かべるシーン。
ー ”場内での飲食は”、売店で購入したモノでお願いします。”と言うのは、1980年代のイギリスでも同じだったんだ!という発見も少し、嬉しい。-
・そして、エリス待望の「炎のランナー」プレミアム試写会での、支配人の喜びと誇りに満ちたスピーチの後、解雇されていたヒラリーが、舞台に上がり”心の欲望は栓抜きの様に歪んでいる。躍れ、踊れ・・。”とまるで支配人のそれまでの行いを揶揄するような詩を読み上げ、去るシーン。
ー そして、怒りに震えた支配人に対し、妻が見ている中、彼の卑劣な行為を暴露するシーン。-
・支配人が別の地に去った後、劇場に束の間の平穏が訪れたかと思いきや、従業員の休憩所で、パンキッシュな髪の毛のジャニーンが大音量で掛けていた”スージー&バンシーズ”の”スペル・バウンド”の音の、向こうから聞こえて来た大勢の足音。
ー サッチャー政権は、当時極右的な思想の下、外国人を排斥しようとしていた事を学んだことを即座に思い出す。そして、暴徒と化した男達はそれまでもスティーヴンの事を“国に帰れ!猿!”と言っていたが、今度は殴る蹴るの暴行を彼に行う。そして、彼は母親が勤める病院へ救急車で運ばれる・・。深夜まで、病院のロビーで待っていたヒラリーに母親が”貴方が息子と海岸へ行った人ね。息子から伝えてと頼まれたの・・。息子は大怪我だけれども大丈夫・・。
このシーンは、沁みたなあ・・。中年の白人であり、スティーヴンの前で見せてしまった情緒不安定な事を知っての言葉だからである。-
・映画館の裏の階段で、映写技師のノーマン(トビー・ジョーンズ)とヒラリーが交わす言葉も良い。”見舞いに行ったか?””行っていない・・。””俺は息子が8歳の時に別れたままだ。あいつはもう22歳だ・・。”
ー ノーマンの、”年齢差や、人種の違いなど関係ない”・・。”と言う言葉が伝わって来る。そして、後悔しない人生を送れ。というメッセージも・・。-
・無事、退院したスティーヴンが、改装され綺麗になった展望喫茶店で、”建築学部へ行くよ・・。”と言った時の、ヒラリーの嬉しそうな顔。
<そして、彼女は夜中タクシーを飛ばし、エンパイヤ劇場へ向かう。帰りかけていたノーマンに”お願い、映画を観せて・・。何でも良いから・・。”そして、ノーマンは、ピーター・セラーズ主演の「チャンス」を彼女だけの為に上映してくれるのである。
ノーマンやニール(実に良い奴である。)の心温かき、エンパイヤ映画館の従業員たちの、ヒラリーとスティーヴンの恋を容認する姿も良いし、何と言ってもヒラリーが涙を流しながら、独り映画館のど真ん中で映画を観るシーンは、忘れ難き作品である。>
劇場の光は さまざまな人生を映し出す
イギリスの田舎町・海岸通りのエンパイア劇場の朝
まだ誰もいない館内の静寂
重いドアがゆっくり開き、ガス灯色のあかりがつくたびに趣きが照らされていく
華やかな赤い絨毯の表情と靴の下の幸福な感触、どこかの世界に自分を連れていく階段、ポップコーンの香りは高揚感と一緒に鼻の奥で弾けて散る
一歩踏み入れると全てをわくわくさせるのは
そこが心を震わす特別な場所だとわかっているから
…………
開場のためのルーティンをさっさとこなすヒラリー
長く勤めていることがわかるテキパキとしたその姿
一転、
宙を仰ぐまなざし、バスタブの湯に潜る姿、何かを避けあわててレストランから出る寒い夜…そこにみえるヒラリーだけの時間は、影に覆われて虚ろに佇む池のよう
親への不信感の中で育った過去は愛される記憶の薄さ故に自尊心を知らず、苦痛や屈辱をないことにして過ごせるように彼女を慣らしたのだろうか
支配人の思うままに、愛情の見えない不倫関係に繋がれる諦めの日々は、不況の荒波にのまれて使われなくなった劇場の立ち入り禁止の部屋のように時を止めている
ヒラリーにとっての劇場は、わくわくさせる場所なんかでなく淡々とくり返される日常でしかなかった
そんなヒラリーが、職場に入って来た青年スティーヴンと心を通わせるうち恋に落ちる
不安定だったヒラリーの心身は好転し、笑顔の質も見違えるほど
薬の瓶を手に取ることなく戸棚の扉を閉め、主治医の前で今までのように無理をせずに振る舞う
おしゃれに気を配るようになり、冴えない顔で踊っていたダンス教室での様子も生き生きと楽しげになる
そして何よりも、支配人の嫌な誘いをはっきりと否定できるようになるのだ
切なさでしめつけられるように観ていた前半の彼女が変わり、私も胸をすくわれるような気分で見入る
一方、スティーヴンは人種的な迫害を受けながら数々の辛い経験をし進学も諦めていた
彼が夢を持つ姿をみることは、ヒラリーにとって現実逃避であり疑似体験的な希望を抱く意味があったのかも知れない
人を器で決めつけず「諦めちゃだめ」と温かく素直な気持ちで励ましてくれるヒラリーを彼は信頼した
そして彼もまた、劇場に勤めているだけで自分は映画を観ないというヒラリーに「映画を観て」とすすめる
ヒラリーの心にある空洞に気がついていたからだ
傷を負った鳩をふたりで助けたように、お互いのやさしさに触れながら歳の差も人種も越え補い合うように関係を深めていく
海へ続く美しい景色。
幸せそうな表情。
開放感。
愛おしさ。
砂の城。
情緒の波。
肩を寄せる二人。
視線の冷たさ。
やるせない哀しみ。
にじむ優しさ。
あるまじき暴力。
いわれなき差別。
呼び戻す不安。
つくられる悪。
無理のない関係。
心の叫び。
落ち込みと自責。
人としての魅力に心を通わせた2人の穏やかな時は1980年代の負の社会情勢も背景にして変化し、やがて訪れる
〝別れと出発。〟
胸に迫るあの抱擁と過去になっていくシルエットが残光に浮かぶ
劇場は、さまざまな人生を映し出す
その光が溢れんばかりのものであろうと、一筋のものであろうと、かけがえのない尊い意味をみせ全身に流れこむ
そして
「人生とは心の在り方」だとささやいてくれるのだ
魅力的なロケーション、キャスト、ストーリー
愛しいおもいに掴まれる作品でした
修正済み
五感が心地よい、ガラス一枚で隔てられたパラダイス
ヒラリーの「正体」が初めは良くわからなかったが、途中で劇的に判明する。そして、職場仲間の心遣いも分かる。
押し付けがましくなく適度な距離感で見守れるのは、彼らもそれぞれ傷や闇を抱えており人の気持ちが分かるからでしょうが、自分が辛いとその分他人の不幸は蜜になりがちなのに、ここの人たちは温かく優しい。
スティーブンのお母さんの優しさと視野の広さも心地よい。
普通なら年若い息子をたぶらかした中年(メンヘラ)オンナ、と攻撃しそうなのに。
サッチャー政権下、失業者が溢れストライキや暴動が多発した時代のイギリスの庶民が主役の映画は、「ブラス」とか「フル・モンティー」とかいい映画があったがこれもそう。
映像が美しい。
音楽も良い。
五感が安心する心地よさがある。
映画館の中は特に心地よい。
外部とガラス一枚で隔てられた空間は、物理的にも精神的にも、中で働く人々を守っている安全な場所。
優しい人達しかいないささやかなコミュニティ。
映画館は「職場」なので、失業の脅威からも守られている。
この映画館はパラダイスです。
こんな職場で死ぬまで働けたらいいなあ。
弱い立場の女性にセクハラし続けてきたゲス支配人が晴れ舞台で成敗されるのも心地よいです。
さすがサム•メンデス
地味な話ながら、描写のバランス、ロケーション、キャスティングも絶妙な作品でした。
オリヴィア・コールマン起用が絶妙で、性描写までも描くことでヒラリーの存在が親近感や同情だけではなく嫌悪感までもがリアルに感じ取れた。個人的にコールマンは苦手な女優ですが実力は凄いし良い作品を選んで出演していると感じる。
スティーブンをはじめ劇場スタッフがいい人過ぎて、そこはリアルを感じなかった。反面、暴徒の行動は非常に恐ろしく無縁の日本にいて現実を教えられた。
最近サーチライトは佳作が多くすごく勢いを感じる。
以前映画館でアルバイトをしていたので、その時映写室をもっと見せてもらえばよかった。映写技師の方も映画業界に携わっていた事を誇りに思っていたような気がする。
思い出の映画の映画の音に溢れている
少し時間が出来たので日比谷の映画館に行くと、ちょうどこの映画が始まるところだったので、内容も知らずに入った。太陽の帝国というスピルバーグが映画化したバラードの小説のことを想像して入ったら、サッチャーによる保守回帰が進むイギリスでの映画館の話で、英国版ニューシネマパラダイス?かと思ったら、そうでもあるし、そうでもなかった。
主人公は少し精神的に病んでいるおばさんと黒人の青年。キャラクターは本当によく出来ていた。そして各所に引用される映画の数々。このストーリー自体が1980年代前半の私が高校生の多感な時期なので、色々記憶にある。引用と言ってもそのほとんどが、ある理由で、聞こえてくる「セリフや音楽」だけなのだ。それもネタバレになるので書かない。ただ、一つだけ実際に「見る」映画もあって、それが私の父と一緒に観た映画だったので、そういう意味では個人的には英国版のCinema Paradiso!になっていきました。これはお勧めの大人の映画です。
地味だけど前向きになれる映画です
実績のあるサム・メンデス監督ということと映画館を舞台にした人間ドラマということに興味を惹かれ早速観てきました。
過去の出来事から心の闇を抱え孤独に生きる統合失調症の中年女性ヒラリーと、人種差別に苦しみ建築家の夢を諦めた黒人の若者スティーブンが、映画館エンパイア劇場という職場で出会い交流する中で、お互いの苦しみを理解しお互いが自分の殻を破って新たな人生を歩んでいくというヒューマンストーリー。
1980年代が舞台ということで炎のランナーなど懐かしい映画がでてきます。チャンスという映画は未見ですが、この映画をきっかけに見てみたいと思いました。なんといっても映写技師が選んだオススメの映画ですからね。エンパイア劇場は支配人以外みんな個性的ないい人たちで温かいのもいい。
人種や年齢の違いを超えてお互いを理解しようとする二人の愛にサム・メンデス監督の人間讃歌が感じられました。きれいごとだけではなくしっかりと人間の醜い部分や性描写も描かれ、そういう部分もあるけど、やっぱり人間には愛があれば希望を持てる、人生を変えられる、というメッセージが伝わりました。観て良かったです。
名作!
最近観た「映画って素晴らしい」系作品の中で一番良かったです!80年代の映画館、海辺の街、音楽etc、先ず世界観が美しい!全体を包む寂しげな雰囲気や、名優達による繊細な演技も素晴らしかったです。エンパイア劇場の描写が良すぎて、自分もそこにいる様な没入感。ストーリーを知った上で、もう一度最初から映像だけ楽しむため観たくなります!
タイトルなし
素晴らしかった。メンデスのアメリカンビューティーが好きだったし、ロストドーターのコールマンが素晴らしいと思っていた。
実際、コールマンは素晴らしかった。知的で自分を大事にする勇気ある女性を描きつつも、精神不安定と情緒の激しさも演じられる。中年の女性が若い男の子に恋する切なさも、見てて切ない。ロストドーターも、片思いのような気持ちが叶わなくなる話だった。
映画に想いを寄せたメンデスのストーリーは素晴らしく、映写技師を演じたトビー・ジョーンズが素晴らしかった。逃げちゃ駄目だ、自分は息子とあってない、逃げたからとぽつんと話すセリフは素晴らしい。
若さが持つ力が彼女を変え、彼女に支えられて彼は勇気をもつ。
大学進学を前の日にしか言えなかった下りは、ちょっと難しさを感じるけど。
廃墟からの眺めが素晴らしいというのも素敵。
メンデスのお母さんが精神疾患を抱えていたから、レボリューショナリー・ロードにしても、日常とそこの裂け目をあんなに繋いで描けるんだと思う。画面からこぼれ落ちるそのリアリティ。
どの瞬間を切り取っても美しいカメラワーク
イギリスの小さな街の映画館を舞台とした物語。
どの瞬間を切り取ってもそこに映る絵は美しく、最小限のカメラワークに留めていることが、その美しさをより強調していたと思った。
それは冒頭のスタッフロールのシーンだけでも十分に感じられた。
ガラスという壁の外側と内側という構図が印象的で、その演出により主人公の心のうちと外を上手く演出しているのではと感じた。
美しい景色と登場人物のやさしさから、観た後に心が洗われた気分になれる作品だった。
「チャンス」は名作だけど
名演技か否かは別にして、何か納得出来ないキャスティングに話が入り込めない。
さらに映画館で勤務中にあるまじき行為をする輩にはとても好意を持てない。
身勝手な想いで有るのは分かっているが、
映画館で働く方々は、
何よりも
映画が好きでいてほしい。
気がついたらオリヴィア・コールマンの演技に引き込まれていた。
多くの情報を得ず
映画館の椅子座った。
それが功を成したのか
次第に美しい映像と演技、
そして物語に入っていった。
最初から引かれていた付箋。
それがだんだんと広がりを持ち
空虚な主人公の心につながった。
ボロボロでギリギリな日々
色彩に溢れ温かく幸せな瞬間
本当の彼女の光は?
本当の救いは何か?
遠くを見つめる彼女
彼女を見つめる同僚
そして映写技師の台詞
美しく落ち着いた映像が
客席とスクリーンを結ぶ。
最後は映画ファンならわかる。
劇場の椅子に座りながら
ニコリとした自分がいた。
※
オリヴィア・コールマンの演技と
ロジャー・ディーキンスの映像は必見
※
とても良かった
主人公が美魔女ではないところが現代的だと思った。
サム・メンデス監督は精神疾患を持つ人を「真実が見えすぎている人」として描いていると思った。『レボリューショナリーロード』でもそんな登場人物がいたなあと。
“偏見”
偏見を持つがわも持たれるがわも、共通しているのは恐れているということ。
それを取り除いてくれるのは、共通の娯楽である映画、音楽、水切りだっていい。
どう見られたっていい、恐れるな。
そんなメッセージに勇気づけられる、少ないロケーションながら天候や季節、とりわけオリヴィア・コールマンの笑顔に彩られた、良い作品でした。
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