「ふんわりやさしく、とにかく美しい」エンパイア・オブ・ライト kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
ふんわりやさしく、とにかく美しい
今年になって映画がらみの映画が増えている。本作もそう。1980年代初頭のイギリスの映画館が舞台。でも、他の映画館映画のような映画愛に溢れている感じはあまりしない。映画のことなんかほとんど話題にならないし。映画館に掲示されている作品名やポスターでそうかこの作品の時期かー、なんてこちらが想像するだけ。
ヒラリーの孤独、スティーヴンの境遇と遭遇する事件、二人の恋。どこに焦点を当てているのかわからなくなる。ボヤッとした印象。個人的には涙するようなシーンはなかった。
でも印象は意外といい。エンパイア劇場の人たち、劇場でクローズされていふフロアに射し込む光、そしてトレント・レズナーの音楽。ふんわりとやさしくて、とにかく美しい。終わり方も何か劇的に変わったわけではないけれど、明るい印象のラストで悪くない。とても不思議な映画だった。
オリビア・コールマンもマイケル・ウォードもよかった。あれだけ年齢差があるのに嫌な感じがしないのは2人が醸し出す雰囲気のおかげ。そしてコリン・ファース。英国紳士然としているのはいつも通りだが、なかなかのクズを見事に演じていた。こんなのもいけるんだな。
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