劇場公開日 2023年2月23日

「女王陛下vs.英国王」エンパイア・オブ・ライト ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0女王陛下vs.英国王

2023年3月3日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

パンチDEデートの桂三枝的には、エンパイア劇場と言うよりも…オリビア・コールマン劇場!(古すぎ)。特に、統合失調のよくないときの状態でスティーブンにまくし立て鬼気迫る様子は、ヤバいよヤバいよーと呟きたくなるほど圧倒的。プレミア上映のいきなり舞台挨拶でも、歯に口紅に付いてるとかの細かい演出がよかった。

日本だったら、こーゆー人は腫れ物に触る扱いをしそうだけど、職場のノッポ君にパンクな姉ちゃんはじめみんな優しくいい人たちで(元英国王除く)、ヒラリー復帰時のお祝いシーンには思わず泣けた。人間の脳はコマとコマの間の闇は認識できないというトビー・ジョーンズのセリフがすべてを物語っていて、終盤、映画館に勤めながら映画を観たことがなかったヒラリーがスクリーンの光を見つめるシーンでまた泣けた。

最近、立て続けに公開される「映画を描いた映画」はバビロンしか観ていないのだが、本作は色々な差別や抑圧を描きながら、暗闇に身を沈め映画を観ることがその救いとなっているという点で、チャゼることなく、とても上品かつ上質。作品の舞台は、スクリーン前にステージがあって両脇に彫像が立ち、絨毯が敷かれた大理石の階段を上がってホールへ向かう。まさしく劇場であり、シネコンばかりの現代日本にはこんな映画館はどこにもないだろうから、せめて丸ピカの2階席とかで観られたらより雰囲気が感じられたかも(しかし丸ピカで上映はなし)。

ジョンスペ
humさんのコメント
2023年3月3日

映画を観ることを勧めたスティーヴン、帰ろうとしてたのにこころよく観せたノーマン
ヒラリーにとってのエンパイア劇場はただの生活のための場ではなくなりましたね。
〝暗闇に身を沈め〟向かい合う(大共感フレーズ!)映画ファンとしては、ヒラリーと映画を介する彼らの温かい存在があったことに👏の気分でした。

hum