「裏切らないのが物足りない?」チケット・トゥ・パラダイス うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
裏切らないのが物足りない?
いがみ合う元夫婦が、娘の将来を案じて作戦を企て、結婚をご破算に追い込もうとするコメディ映画。
意外なほど評価が低い。悪くないと思うのだが、これと言った特長もない。
映画の「売り」と言えば、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツの息の合った掛け合い。2人の共演はもう何度も実現しており、新鮮味に欠けるどころか、まさにひと昔前に別れた老夫婦のようにも見える。ド直球のお話しで、この組み合わせに「安心感」以外の良さが見つからない。
逆に言えば、そこを裏切らない造りに、期待して映画を見た。この2人に興味のない人には、きっとつまらないホームコメディにしか映らないだろう。
老人が主役の映画では『マイ・インターン』がお気に入りだった。デ・ニーロに好々爺がハマるなんて、思ってもいなかったし、映画の世界観が、これからも広がっていく気がした。
それとモーガン・フリーマンが出ているいくつかの映画もいい。
でも、共通して言えるマイナスポイントは、若さがないこと。老人が主役の時点で、興味が半減してしまう人には、きっと退屈な映画に違いない。
娘役のケイトリン・デヴァー。どこかで見たことのある顔だと思ったら、『ブック・スマート』のオタク少女役だった。変われば変わるものだ。その娘が恋に落ちる漁村の青年役にマキシム・ブーチェ。ハンサムな東洋系の顔立ちで、東出昌大にそっくりだ。つまり、大谷翔平に似ているということだ。東洋系のハンサムと言えば、こんな顔立ちになるのだろう。娘の親友役にビリー・ロード。なんとキャリー・フィッシャーの娘さんだそうで、キャリー亡き後、スターウォーズにレイア役でボディアクターを務めている。『ブック・スマート』にも、イケてる側で出演していた。案外、なじみ深いキャスティングだったようだ。
最後まで、登場人物の心理が丁寧に描いてあり、誰もキャラが破綻していない。
その、裏切らない演出に、ちょっと物足らなさを感じたことも事実。