少女は卒業しないのレビュー・感想・評価
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花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせしまに
我が母校はヘンテコな高校で、日の丸の掲揚に教師が反旗を翻した高校であった。ちなみに、今はそんなウマシカな事は、誰もやってない。
もう、50年くらい前の事なので、その時の精神状態の詳細は覚えていないが、なんかシックリこないと感じていたら、卒業式自体がそんな高校だったので、中止になった事を思い出した。まぁ、今となってはそれも思い出。
そんな僕が、成人式に中村八大先生が来ると言うので出席した。
しかも、BURBERRYの新品の背広着て。でも、それ以来着る事なく断捨離した。
卒業式の出席は人生だけで良いと思っている。
友人でさえないやつだったが、文化祭の時にポール・サイモンの『BOXER』を原曲で歌った奴がいた。そいつは一浪して東◯理◯大学 理◯学部へいった。数年後会ったら、福田村のキャンパスで、JAZZ BANDを組んでベースマンをやっていた。彼に呼ばれて、大学の文化祭に出る事になり、やりたい事を聞かれたので、楽器が弾けない僕は『ボーカル』と言って『このウマシカ野郎』って怒られ出席を断念した。それ以来、音楽を奏でる者にコンプレックスを持っている。
まぁ『老人は卒業したくない』だね。
追記 僕も浪人したが、第1志望校に落ちた時、京橋のフィルムセンター(?)に『アンドレイ・ルブリョフ』を見に行った。『鐘が出来上がるところ』だけは良く覚えていた。卒業式をやったやらないも覚えていなかったのに。
桜が咲いていたが、やっぱり今は
『花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに』
だね。
トコロテンのように押し出されるのさ。
三月で廃校予定の島田高校の卒業式前日当日
の二日間。
校庭に桜が咲き乱れて背景に山並みが連なる
のどかな高校。
答辞読む子、山城まなみ。
調理師専門学校へ希望する程の料理好き。
家庭科室に鍵持ち出して入って駿と二人で、
作って来た弁当を食べる毎日。
冷蔵庫やレンジも使い、
駿は弁当用の旗を戸棚の上に貼って集めている。
学校が苦手な子、作田詩織。
友達の仲に溶け込めず、図書室が唯一の居場所。
坂口Tがいて前日なのに本の整理を手伝う。
作田、早く卒業したい、と言う。
軽音楽部部長の子、神田杏子。
3チームしかないのに、そこまで
トリがどうのと言うかなぁ。
難題、部室が荒らされ盗まれていた。
森崎の扱いが難しいようだ。
神田、校門前で森崎を待ち自転車に相乗り。
中高一緒だったので、話が弾む。
バスケ部の後藤由貴。
仲良しの寺田と卒業と共に離れ離れに
なるので関係ギクシャクを懸念。
自身の希望を叶えたいし、
寺田とは上手く付き合いたいし、自己中!
店で花火買うとオマケしてもらい、
寺田を屋上に誘う。
フェンスしてはあるが。
当日、待ち合わせして一緒に登校する約束。
作田、帰り、偶然坂口Tと出くわす。
坂口に言われて話しかけたけど失敗と言う。
だが、教室で映画の題名を忘れていた木村に
声かけしてホラー映画について会話できていた
と思ったが。
卒業式。
山城まなみ、詰まりながら‥‥役目を終えた。
卒業おめでとう㊗️
式後、屋上で後藤と寺田話し合う。
身勝手となじる寺田、正しい。
グチャグチャしたけどどうにか。
バスケ部での写真撮影は笑顔。
式後、作田、教室で木村に声かけられ、
卒アルに寄せ書きの交換を申し込まれる。
後で坂口Tに卒アル見せると何人もの寄せ書き
坂口Tに、頑張ったね、と褒められる。
木村にも、もっと早くに話せば良かったね。
と言われた。
借りっぱなしの本を返し、代わりに新しく
買ったのを見せると、
坂口T、心の支えの本と交換、と言う。
作田、卒業したくない、と言う。
式後、体育館でコンサート、
こんなに生徒残るかな。
衣装も化粧道具も音響音源が無い森崎のチーム
森崎一人が舞台に立ち、
アカペラで熱唱。上手い!さすがの息子。
部員皆から讃えられる森崎。
うれしくも、
自分だけの森崎ではなくなったようで
寂しく感じる神田だが。
式後、体育館、
山城まなみ一人、駿を偲ぶ。
式場での駿の母、膝に駿の写真。
夏頃窓から転落死してしまっていた。←なぜこんな話にしたのか?
桜満開🌸
若手女優が溌剌とした女子高生を演じていたが、
ストーリーに納得いかないことがあり、
感動とまでいかなかった。
記:
坂口役藤原季節さん、作品によって、
見た目印象コロコロ変わる。
家庭科室の勝手な専有、ありえない。
屋上にも入れない。
式後、皆すぐ帰らないな。
コンサートはどこでしたのだろう。
3チーム3曲なら10 分ぐらいで終わったから直ぐ
椅子を片付けたから可能か。
彼女の演技が大好き
河合優実の初主演?
彼女の演技が大好きなので主演で観られるのがうれしかった。(群像劇だけど)
同じ原作者で高校生の群像劇とゆうことで桐島〜と比べてしまう。比べると桐島ほどの新鮮さはないけど、桐島より爽やか。女の子達が中心になっているのだけど、非リア充の私としては誰にも共感できなかったので途中まではやや退屈だったけど、(特にバスケ部の子のあたり)
これからの日本映画を背負う若手俳優達の演技を見るのは楽しかった。
丁寧な群像劇の積み重ねで迎えたラストシーン
卒業式の普通の答辞がこんなに切なく響くなんて。
河合優実の演技1つで魅せるシンプル演出が綺麗で最高によかった。
配信で鑑賞
2023年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️✨
Filmarksでの評価も良くて、前からなんとなく気にはなっていたんですが、明日は仕事も休みで、たまたま時間もあったので観てきました。どうやら、今日が上映最終日だったみたい(笑)
こういった高校を舞台とした青春ものは、多くの方にとっては"あるある"なんでしょうけど、暗い青春時代を過ごし、社会に出てからもあまりパッとしなかった僕には共感出来る部分は、正直少ないです。
しかし、それでも、この作品はかなり胸キュンな物語でした。セリフではなく、一つ一つのカットや"光"で、その心理を描写しているシーンは、ハッとさせられました。
河合優実演じる少女が、いるはずの"彼"に弁当箱をテーブルに置くシーンは涙でした。胸が痛くなりましたね…。
あの頃、その小さな胸にいったいどれほどの思いを私たちは抱えていたのでしょう…。
なんともほろ苦い映画でした。
タイトルが謎ですね
原作は「桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウ、原作未読で観ました。
なかなか面白いです。田舎の高校の卒業式前日と当日の2日間を4人の少女の視点で描く青春もの。ジョージ・ルーカスの「アメリカン・グラフィティ」とか、もう少し日数はあるが「スタンド・バイ・ミー」のような作りなので、キュンキュンする青春もの。
原作は分かりませんが、映画では思いっきり恋愛に振り切って描いているので、前半は「ムッキー」となりましたが、最後は、、、やっぱ「爆ぜろ!リア充」ですわ。でもこういう甘酸っぱい話は大好物です。
役者は「サマーフィルムにのって」のビート板:河合優実が一番の看板でしょうか、PLAN75にも出ていましたね。先生に恋している作田さん役の中井友望って女優さんが、気になりました。Wikiでみると、ミスiD出身ですか〜、ことごとく私はミスiD好きなんだな〜。やっぱ、サブカル臭がするんですよね〜。
さて疑問はタイトルです。原作は知りませんが、映画では4人の少女とも、ちゃんと彼氏とはお別れして卒業しています。でも、何故タイトルは「少女は卒業しない」なのでしょうか?私なりの答えとして、先生に片想いだった作田は卒業しなかったのでは?と。
彼女だけ借りっぱなしの本を交換するところで、ラストは振り返って終わっています。他の3人はちゃんと前を向いて終わっているのに、先生から古い本を渡されて振り返って終わる。だから、タイトルは少女「たち」ではなく、単数で少女「は」なのかな〜。作田と先生って、コレって、コレって、、、、とイケナイ妄想をしてしまったのは、先週末に高校教師を見返しいたから、なのかな。
原作読んで答え合わせをしてみます。
世界のすべてからの卒業
朝井リョウは洞察力に優れた作家だと常々思う。どれだけ平凡に見える日常も、誰かにとっては特別なものであると気づかせてくれる。
彼の作品では大きな事件は起こらないが、それぞれの人間の人生の欠片が集まった時に、そこには感動的な物語が生まれる。
この作品は卒業式を翌日に控えた高校生たちの群像劇である。
設定としてはありふれたものだが、実は今の三年生が卒業した後に、学校は廃校になることが決まっている。
生活の、もしくは世界のすべてだった学校が、たとえもう二度と顔を出すことがないとしても、卒業した後に失くなってしまうというのは、多感な時期である十代の少年少女にとってはセンセーショナルな出来事である。
そしてこの設定が入ることで、これはより儚さを感じさせるエモーショナルな作品になったのではないかと思う。
派手な演出はなく、淡々とカメラは卒業を控えた少年少女たちの姿を追っていく。
心理学を学ぶために東京の大学への進学が決まっている後藤は、地元で学校の先生を目指す恋人の寺田と気まずい関係になってしまい、卒業前に何とか笑顔で別れたいと願っている。
高校三年間で友達の出来なかった作田は、卒業間近の教室の雰囲気に馴染めず、穏やかな物腰の教師坂口がいる図書室を訪ねる。
軽音楽部の部長神田は、卒業ライブを控えた自称刹那四世こと森崎に想いを寄せる。彼女は他の誰も知らない彼の秘密の姿を知っている。
そして卒業生代表で答辞を読むことになった調理師を目指すまなみ。
彼女はいつも同級生の駿のために手作りの弁当を用意していた。
この映画を観て、あの頃はとても眩しかったと懐かしむ者もいれば、高校生活ほど息苦しいものはなかったと思い出す者もいるだろう。
この作品はそのどちらにも共感出来る余地を持たせている。
卒業なんかしなければいいと思っていた者もいるだろうし、早く卒業したいとそればかりを願っていた者もいるだろう。
そしてそのどちらにも等しく卒業の時はやって来る。
三年間など長い人生の中ではあっという間だ。まだ自分が何者であるかも自信が持てないまま、学校を少年少女たちは卒業させられる。
場面のひとつひとつがとても愛おしく、それぞれの登場人物の想いに共感させられた。
大きな事件の起こらない作品だが、ひとつだけミステリーの要素があり、それもまた物語に厚みを加えていた。
観終わった後に、もう二度と戻らない10代の貴さを改めて考えさせられて切ない気持ちになった。
まなみ役の河合優実を筆頭に、皆が等身大の自分を演じているようで、とても好感の持てる空気感をまとった作品だった。
この映画の私的に思われる短所と長所
(完全ネタバレですので鑑賞後にお読み下さい)
この映画が俄然面白くなるのは、料理部部長・山城まなみ(河合優実さん)にまつわる真相が明らかになるあたりの、それぞれの生徒(少女)の独白が始まるところからだと思われました。
それぞれの生徒(少女)の独白は、まだ何者でもない卒業間近の高校生の孤独で不安定な感情の揺れを表現していると感じて心が揺さぶられました。
特に森崎剛士(佐藤緋美さん)がアカペラで歌う場面は、卒業生の全員の卒業を祝っているようで、森崎と中学から友人の軽音部部長・神田杏子(小宮山莉渚さん)の誇らしげな表情と合わせて感動しました。
(そのアカペラを聴いた生徒からの森崎の人気を嬉しくも寂しそうに見る神田杏子の表情も合わせて‥)
作田詩織(中井友望さん)が坂口先生(藤原季節さん)から、代わりに同じ新しい本を買って来たのに、その同じ新しい本の方を学校に返却するように言われ、作田詩織がずっと借りて持っていた本の方を渡された場面。
東京の大学に行くバスケ部部長・後藤由貴(小野莉奈さん)が地元に残る寺田賢介(宇佐卓真さん)と花火をした後に寺田と別れる場面。
山城まなみが佐藤駿(窪塚愛流さん)に対して上着を掛け、最後、彼に対して卒業生への答辞を読む場面。
それぞれに素晴らしい感動があったと思われます。
しかし、これは残念ながらなのですが、私的にはこの少女(生徒)たちの独白が始まるまでのシーンは、正直に言うと若干退屈だなとは思われていました。
その理由は、
1.それぞれの独白
2.(1とはまた別の)<周りの人物との関係性>
での、(1それぞれの独白とはまた別の)2<周りの人物との関係性>が、この映画では曖昧ぼんやりにしか表現されていないところにあると思われました。
この映画の長所は、1それぞれの独白がしっかりと感動的に描かれている点だと思われます。
しかし短所が、2(独白とはまた別の)<周りの人物との関係性>をしっかりと捕まえられていない所にあると思われました。
この映画は1の独白が始まるまでは、彼女たちの内面は描かれず、2<周りの人物との関係性>が主に描かれて進行して行きます。
しかし例えば私達は、自分が日頃、様々なことを独白的に思っていたとしても、周りの人物と出会った時は(自分の内面(独白)とは別の)2<周りの人物との関係性>を踏まえた会話をすると思われます。
この時の2<周りの人物との関係性>は、例えば職場の上司や部下や、最近の友人や幼馴染、家族などで、微妙にそれぞれで関係性は変わって行きます。
そこには上下関係や距離感、感情の起伏、話題の選択など、様々な要素が出現すると思われます。
私達は、1独白内面と2<周りの人物との関係性>とで、いつもズレていて、その点をしっかり意識して映画(作品)は描く必要があると思われるのです。
そして2<周りの人物との関係性>は、対面している人物によってもズレが違ってくると思われます。
この<周りの人物との関係性>である2.(独白とはまた別の)他の人物との関係性がきちんとこの映画では意識されて描かれていないのではないかと思われました。
例えば、内向的でクラスの生徒と話せない作田詩織が、図書館担当の坂口先生には思わず自分の想いを語ってしまう場面で、なぜ彼女は坂口先生にその時にポロリと(他の生徒とは違って)話すことが出来たのか?
(独白内面とは別の)2<周りの人物との関係性>(つまり作田詩織と坂口先生との関係性がどういうものなのか)が意識されてその場面が描かれていない(つまり作田詩織の独白が明らかになる以前はこちらに伝わって来ない)のが気になりました。
つまりこの映画は、それぞれの独白が始まるまでは、一体何をこの映画は描いているのか?が、2<周りの人物との関係性>においてそれぞれで曖昧にしか描かれていないのでずっと不明のままなのです。
それがこの映画が、独白が始まるまでは退屈さがあった理由だと思われました。
この映画の欠点は、1独白の明確さと、2<周りの人物との関係性>が曖昧でぼんやりしている、両極端なところにあると思われました。
もちろん2<周りの人との関係性>が曖昧ぼんやりなのは、まだ何者でもない卒業間近の高校生の不安を表現しているのだとの評価もあるとも思われます。
しかし私的には、2<周りの人との関係性>をしっかり意識し繊細に深く表現した上で、卒業間近の高校生の内面の不安を描くことは可能だったと思われます。
(曖昧ぼんやりと、繊細に深くとは、似ているようで全く違うと思われるのです)
そうすればこの映画は、前半は2<周りの人との関係性>の面白さ、後半は1内面の不安の独白の感銘、が描かれた傑作になっていたように思われました。
その点が本当に惜しいと思われ、今回の点数となりました。
卒業とは、新しい世界への旅立ちでもあります。この作品の女子高校生たちは皆輝いて見えました。きっと素敵な将来を引き寄せるのだろうと想い描いています。
河合実優さん初主演作ということで
とても気になっていた作品。
原作の小説があるようですが未読です。。
さあ鑑賞。
廃校が決まった地方の高校が舞台。
4人の女子高校生を中心に描かれる群像劇です。
卒業に向けたそれぞれの想いが編み込まれたお話が
ラスト2日間の中で丁寧に描かれていきます。
原作はオムニバス形式との事。
その形式ではお話が1人分ずつ進むことになるので、
「Aさんのお話 ⇒ Bさんのお話 ⇒ Cさんの…」
という感じになるのですが、
この作品では4人分のストーリーが同時進行でした。
時系列が未来に向けて進むので
ストーリー全体は分かりやすい。 という反面、
お話の視点が4人の行動を行ったり来たりするので、
最初のうちは 「この子誰だっけ ?」
と、理解にやや苦労して観てました。
4人のキャラクターの識別がついて
それぞれの立場と 「想う相手」 が分かってからは
彼女らのセリフにも行動にも
ごく自然なものが感じられて共感しながら観てました。
オムニバス形式のままにせず、
1本のシナリオにまとめる事が映画にする上で必要 と
監督が判断し、それがこの作品では上手くいった
そんな風に感じました。
ストーリーの構成力が良いだけではなく
登場する4人の女子高校生の描写も、また秀逸。
4人ともとても魅力的で、とても良いです。
・山城まなみ(河合優実) 料理部の部長
交際中の彼氏あり。
お弁当を時々作ってあげているようだ。
調理室で一緒にお弁当(まなみが作っている)を食べる日々。
弁当箱に入れる 「国旗」 を調理室の棚に張り付けて
それが次第に増えていくのも楽しんでいる様子。
雰囲気が普通のカップルっぽい二人なのだが…。
・後藤由貴 (小野莉奈) バスケ部の部長
バスケ部の男子と交際中…なのだが
卒業後の進路のことでギクシャク中。
自分は東京に進学し、彼は地元の大学へ。 あら遠距離~
一緒に居たい人は地元にいる。 …しかし
将来のため学びたい事のためには、東京に行かなければ…
気持ちを伝えるきっかけも掴めずに悶々としている。
時間だけが過ぎていく事がもどかしい…。
・神田杏子 (小宮山莉渚) 軽音部の部長
卒業式後の会場でライブ演奏の予定。が控えている。
トリのバンドをどこにするかで揉めている。
校内の生徒からトリの投票を募ってみたら、なんと
「演奏は録音、歌も口パクの色モノバンド」 が1位。
実力派の2位のバンドからは猛反発を食らうが (…分かる)
1位バンドのヴォーカルに思い入れがあるようで…
・作田詩織 (中井友望) 図書室の子
3年間、友達が出来なかった。
落ち着く居場所は図書室。
そこは静かな空間で、落ち着く。 …それに
図書室には、坂口先生がいる。
「教室には居場所が無い」と想いを口にするのだが…
主役4人の友人達が、これまた生き生きと描かれていて
ここで高校生活を送ってきたという事が伝わってきました。
原作者そして監督の、登場人物へ向ける眼差しに
優しくさと暖かさを感じました。
卒業グラフィティとして秀逸な作品と想います。
観て良かった。
満足です。
◇あれこれ
■河合優実さん
主役を演じた河合優実さん。 好演です。
ラストの体育館でのシーンに心撃たれました。 うん
「彼」の止まった時間。 それを先に進め
そして 「自分」 も先に進むための
二人だけの卒業式 …でしたね。
彼(=夏の格好で寒そう)に着せた上着
最後にそれを抱きしめての慟哭は、
”先に進むね” との決意の現れなのでしょうか。
印象に残る、ラストシーンです。
■バスケ部の二人
12月に付き合い始めたらしい二人。
その時点で、互いの進路は既に決まっていたのでは?
という気もするのですが
交際開始後に 「私は東京に行くの」 と言われたら
それはモヤモヤするのは当然 …かと。
そこは「彼」に同情。 …うん
けれど、この二人。
4年後には、また付き合い始めるのでは …?
そんな予感がします。 …なんとなく
※ しかし「屋上で花火」はまずいっしょ
いくら廃校予定の校舎とはいえ… ねぇ
■図書館の少女
勇気を出して声をかけたのは大きな一歩。
無駄にならなくて良かった。
寄せ書きページには7名分のサイン。
「びっしり」ではないところがリアル感あり。
「魔法の本」ともども、大切にしよう。
※ 図書館の先生、いい先生でした。
この人はどうやって結婚相手見つけたのだろう なんて
そんな事が気になってたり…
◇最後に
メインヒロインは「山城まなみ」と思うのですが
影の主役は「神田杏子」かも と
そんな風に思えてなりません。
「まなみの彼」 が時折口ずさんでいた曲。
時折どこかから聞こえてくる… と言っていた曲は
誰がどこで歌っているのか それが分からないままでした…。
その曲を調理室で耳にした「まなみ」。
体育館まで確かめに行って、歌声の主が
「森崎剛士」 と知るワケなのですが…
彼がその曲を 「ソロで歌う流れ」
を作ったのも…良く考えると 「神田杏子」 だし
さらにさらに
衣装を隠しただけでなく、もしかしたら
投票1位になるように仕向けたのも実は…。
# 彼の歌が上手い事は自分だけが知っていたい けど
# 彼の歌声の素敵さををみんなに知ってほしい あああ
うーん。
複雑な乙女心の現れなのでしょうか。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
それでも、それでも、進んでく
原作は未読ですが、今作が公開決定した時からかなり期待していました。河合優実さん初主演というのも一ファンとして嬉しいばかりです。
4人の女子高生のそれぞれの恋や葛藤にまつわるオムニバス的な作品で、美しくもほろ苦い青春譚に仕上がっていました。
恋人との不意な別れ、先生への憧れ、彼氏との小さな葛藤…どれも体験したことはありませんが、青春だなぁと感じるシーンがたくさんありました。教室にこっそり入って食べる給食、先生との秘密の放課後、地元を離れるか否かでの喧嘩、軽音部の笑い物がその殻を破る瞬間、どれも成長へと繋がっていくのが上手い演出だなと思いました。
河合優実さん演じる山城まなみは超真面目な優等生、卒業式の答辞もやるという立派な生徒、彼氏との普段も楽しそうですし、とても順風満帆だなと思っていましたが、途中で暗雲が。彼氏が落下なのか自殺なのか…死んでしまい、まなみは深い傷を負ってしまいます。途中で作田さんが「山城さんも頑張ってるんだから、私も頑張らなきゃ」というセリフはここに繋がっていたなと感心しました。国連にするための弁当に刺す国旗もまだまだ足りず、幸せそうな2人を襲う悲劇には胸が痛みました。
小野莉奈さん演じる後藤由貴は彼氏と少し揉め事。地元に残る選択をした彼氏と、東京で心理学を学びたい由貴、これだけなら仕方ないで済むけれど、学校の取り壊し跡地の意見で揉めてしまい、その後もちょっとギスギス。話し合いをしようにもうまく言葉がまとまらず。何度「寺田ぁ!」と喝を入れたくなったことか笑
でも卒業式後、屋上で無事に和解、そこで花火を2人でする、あぁなんて青春なんだろうと何故かウルッときてしまいました。
中井友望さん演じる作田詩織は図書室にいる先生に憧れるぼっちちゃん。1人が好きというか仲間の輪に入るのが苦手で、図書室での先生との会話を楽しむ子。そんな子が一歩踏み出すためにクラスメイトと話したりするも、どうにも上手くいかず。それでも卒業式の日、気にかけてくれてた子やその友達から卒業アルバムにメッセージがたくさん書き込まれており、満面の笑顔が映って、こちらも幸せを感じる一幕になっていました。
個人的にクリーンヒットだったのは神田杏子を演じた小宮山莉緒さん。今作で初めて拝見しましたが、17歳!?映画初出演!?とは思えないくらいの安定感と存在感を放っていて心を奪われました。学生時代に彼女みたいな人がいたら絶対に惚れていました。さりげなくの行動一つ一つが優しいですし、2人乗りなんてまぁ///となってしまうほど魅力的なキャラクターでした。
高校の卒業式、もう何年も前になってだいぶ色褪せてきてはいますが、あの時しか体験できなかった事って沢山あったなとしみじみと思いました。学校帰りの買い食いにカラオケ、ちょっとだけ遠出したり、ささやかな恋をしたり、そんな思い出を全部総括してくれたのが卒業式で、何か無いかなと地味に最後の方まで学校に残っていた記憶があります。映画を通して思い出が蘇るってのも中々に乙だなぁと思いました。素敵な映画をどうもありがとうございます。
鑑賞日 2/28
鑑賞時間 20:40〜22:45
座席 F-12
湯川潮音は凄かった
『テロルンとルンルン』『アルプススタンドのはしの方』の小野莉奈、『愛なのに』『サマーフィルムにのって』の河合優実。
この二人の共演というだけで、鑑賞決定。
今作もこの二人のリアルな芝居がアタマ二つ抜けていました。
しかし、中身としてはメイン4人の重なりが薄すぎて一本の映画としては微妙。
小説で連作短編としてそれぞれを描くならアリだが。
特に前半は知らない学校の日常を見せられているようで入り込めなかった。
忍ばされていた過去描写は騙し討ち感が強く、あそこだけカーディガン着てないとか、何かしら匂わせがあってほしい。
カーディガンといえば、卒業生代表が着たまま登壇は違和感あり。
作田のエピソードは、最後が腑に落ちず。
(同じ本は買ったが)お守りを手放すという成長を描いていたのに、返してしまうのはどうなのか。
杏子の話は良かったが、森崎の歌の説得力が今一歩で、ビブラートや強弱は上手いが、高校生があれで沸くかと言われると。。
『リンダリンダリンダ』の湯川潮音レベルを連れてくるか、せめてぜりぃふぃっしゅはもっと下手にしないと。
由貴の話はビターながら爽やかで最も破綻なく見られた。
誰一人幸せにならないのは好みが別れるかな。
色々書きましたが、お目当て2人はじめ演技はよかったし雰囲気も好みではありました。
高校生の、卒業間近の空気感もよく出てます。
何より、ショート・ボブ好きには脇も含めて画面が華やかでよかったです。笑
余り心に響かない、イマイチな映画でした。
河合優美の大ファンで、傑作が多い彼女の出演映画を数多く観てきた私。
待望の彼女の初主演作!という事で、ワクワクしながら観に行きました。
ところが、映画が始まって暫くすると、妙な違和感が・・・。
どの場面も感情移入しにくいというか、その世界観に入り込めない。
色んなエピソードがどれも単調というか、地味で退屈してくるんですよ。
何だか安っぽいケータイ小説でも読まされてるような感じ。
朝井リョウの原作自体が、自分に合わないのだろうか。
登場人物は「卒業したくない。このままでいたい」という変な高校生ばかり。
それ自体が全く共感出来ないのも、一因かな。
河合優美をはじめとする俳優陣の演技は良いので、そこが救い。
しかし説明不足で視聴者が置いてけぼりみたいな部分も少なからず、
キャラクターの深掘りがされてないため、共感しにくいところも多い。
以下、少しネタバレ有りなので、未見の人は読まないでね・・・。
終わり近く、卒業式のイベントでのライブ。
人気の無いバンドのボーカル担当だった森崎が、ある事情で1人で歌う事に。
旧友の女子仲間が、森崎のアカペラがどれだけ凄いか、皆に思い知らせてやろう!とか言う。
ここがクライマックスの一つとしての設定。
どれだけ素晴らしい歌声を聴かせてくれるのか、と思っていたら・・・・
これが物凄い下手クソなんですよ。
『ダニーボーイ』を歌ってるのだけど、英語の発音もメチャクチャだし。
息も途切れ途切れの単なるド素人で、聴いてるのがキツいレベル。
しかし映画の中では、生徒達が皆で感動して、聴き入っているという設定。
そして、歌い終わると、生徒全員が拍手喝采。
「森崎、凄いよ!」だって。
何なの、これ・・・。
特に感動するような場面も少なく、余り心に響かないイマイチな映画でした。
低評価は余りしたくないのですが、忖度無しの正直レビューです。
この脚色はスゴイ
映画らしい映画なんだよね。色んなエピソードを順番に少しずつ観せてきて、じっくりと進むの。
だから前半は少し退屈なところもあるの。前の人が途中で席を立ったけど、気持ちは分かる。
卒業式当日になって話が動き始めてから面白いんだよね。
エピソードが収まっていくし、「時系列いじってたのか!」っていう驚きもある。
河合優実と小野莉奈はやっぱりいいね。
「一番、難しい役どころは、やっぱり河合優実か」と思いながら観てたの。
登場人物の中で、一番友達になりたかったのは刹那四世だったな。
言うことがいちいち面白いよね。なのでラストが《ダニー・ボーイ》で締まるの良かった。
『森崎が歌えば全部に勝てるから』っていう小宮山莉渚の台詞が良かった。勝ち負けじゃないんだけど、高校時分だと、なんか勝ち負けで考えるなあって。あと「私の好きな人はスゴイんだぞ」って、なんか、好きな人はスーパーマンっぽく見えるよね。
刹那四世もスゴイと思うよ。普通に歌えば、みんなからの注目を浴びるって分かってるのに、それをしない。それで、自分のやりたいことをトコトン追求してるって、なかなかできないね。
エピソードが細切れに入ってくる高校生の話で、原作が朝井リョウだから「《桐島、部活やめるってよ》みたいだな」と思ったの。
「朝井リョウは高校生描くのうまいな」と思って、原作どんなだか読んだのね。そしたら、かなり違って驚いた。
あの原作を、この脚本に仕上げた中川駿はすごいよ。こんな脚色なかなかできない。
サナギが蝶になる瞬間を捉えた様な映画
もし人間が蝶だとするなら、孵化の瞬間って十八才の頃だと思うんです。
そして、その最たる二日間をこの映画は切り取ってました。
もっとも、中盤で二日間以外のシーンも挿し込まれていた事が分かるのですが、この見せ方は巧かったと思います。
少女四人、タイプは違うのにそれぞれに共感できる部分が有るんです。
少女だった事のない私でもそうなんだから、少女だった事の有る人ならもっと共感できるんじゃないかな。
それからこの映画、映像の明るさが良かったと思います。
キラキラとし過ぎてなくて、それでいて暖かい光を感じる様な映像なんです。
二日間に絞った事で天気を弄らなくて良かったからっていうのも、あるんでしょうけど。
あと、この映画良いなと思うシーンが結構有るんだけど、後藤と寺田の別れのシーン好きです。
あそこ、小野さんの雰囲気がそう感じさせるのか、少し大人な表情でしたね。さとうもかさんの「メルトビター」が似合う様な。
まさしく、大人になった瞬間ですね。
神田と森崎の二人乗りも好きだし、作田と坂口先生の本のやり取りも良かった。作田と沙知(?)、後藤と倉橋のやり取り、まなみに自然に寄り添う遥も良かった。
そして勿論、あの答辞のシーンも。
主要四人の少女を演じた役者さんも良かったし、彼女たちに関わる男性四人の役者も良かった。更にそれを取り巻く役者さんたちも良かった。
なので、役者さん何人か調べてみたの。
小西真由美・・・田畑志真さん
宮下遥・・・丸本凛さん
木村沙知・・・花坂椎南さん
岡田亜弓・・・瀧七海さん
倉橋洋子・・・坂口千晴さん
望月花・・・鶴田美月さん
ぜりぃふぃっしゅ・・・片耳にカラスムギさん
桜川智・・・林裕太さん
石川春樹・・・市来流星さん
原千亜希・・・瀬那美雲さん
渡邊郁美・・・美来美月さん
これから芽がでる役者さんたちかと思ったら、私が知らなかっただけで、もう芽が出だしてる役者さんたちなのですね。
「そこだけの世界」を味わう
胸の中に置き去りにしてしまっているおもい
そんな時、人知れず揺れ動き続ける心
卒業式を明日に控えた4人の女子高校生もそうだった
それは、大切なひとへの忘れられない愛しさと哀しみだったり、すれ違ったまま離ればなれになる焦りだったり、密かに抱く複雑な感情だったり、静かに慕うおもいだったり…
それぞれのストーリーが桜の花びらのように淡く切なく、そして、どこかしなやかな強さを秘めながら舞う
…………
タイトル「少女は卒業しない」は、迫る時間を区切りにして彼女たちなりにもがき折り合いをつけつつ、自分のなかになにか大切なものをのこしていく(本能的に)ことを示すのだろうか
少女たちにとっての〝今〟は、見た目よりもまだかたくて甘くない果実をかじったときのように不本意だ
途方に暮れじれったさと困惑が積もれば、涙やため息は自然と増し、自分で自分を扱いにくいという不安定さはさらに空回りを起こす
とはいえ、大人になったって実は彼女たちと何ら変わらぬ狭間に漂うことは何度でもあるのだ
たぶんこれにゴールはないのかもしれないともおもう
でも、今だからわかる違いもある
それがどんなに眩しい記憶になる日々だったかを知らずに
そこにしかない果汁を味わうのはその時だけ
実は宝もののような感受性が対峙するその時だけ、ということ
120分の映像を前に、制服の感触や鞄の重み、校舎の匂いや黒板に書くチョークの音、体育館の空気、廊下のざわめき、みんなの表情や声が私の中にも徐々に蘇る
紛れもなく「そこだけの世界」にいたあの頃
そこで4人の少女が「ひとつの自分」を自分で越え少女から〝卒業〟=成長していく姿を母親のような気持ちでみつめるのかと思いきや…すっかり昔の自分を誰かのところどころに投影し、それを遠くからもう1人の私がみている感覚で観ていた
上着を抱きしめる頃には、そこにある温もりと香りを感じながら、少しのさみしさがたくさんの安らぎに包まれそれまでにはない何かに満たされたことに気づく
かなしいね、つらいね、わかりにくいね…でも、悩むことすらをどうか大切にしてみて…
そんなふうな言葉が浮かんできて気持ちはゆっくりと落ち着く
これもひょっとすると何かを置き去りにしてきた自分に対しての言葉だったのかも知れない
オレンジ色にゆっくり明るくなりかけた劇場で椅子がパタンパタンとなる音は、まるで〝私〟に戻る合図だった
朝井リョウさん…
あなたにはやっぱり何も隠せる気がしないよ
【”何で卒業式があるのかな、ずっと楽しい世界に居られたのに・・。”人生の節目を迎え、未来への茫漠たる不安や、母校が廃校になる事への複雑な気持ちを抱える高校生男女達の姿を、写実的に描き出した作品。】
- ご存知の通り、中川駿監督は高校生男女が馴染みのなかった"LBGT"の思考を持つ級友の存在に気付き、戸惑いながらもその事実を徐々に受け入れて行く姿を人間性肯定の立場で鮮やかに描いた短編映画「カランコエの花」でデビューを飾った方である。今作品は彼の初長編と言う事で楽しみにしていた。-
◆感想
・今作は、卒業と自らの学び舎が廃校になるという不安定な雰囲気の中、群像劇要素を絡ませながら、写実的に進む。
・級友に溶け込めないまま、卒業を迎えた内向的な作田(中井友望)は、図書室と図書の優しい先生(藤原季節)のお陰で三年間を過ごして来た。
だが、卒業式の日に映画「キャリー」について少しだけ話をし、式が終わった後に、隣の女の子と卒業アルバムにメッセージをお互いに残す。"もっと早くから色々話たかったね!"
ー そして、嬉しそうに、多数の級友のメッセージを作田が図書の先生に見せるシーン。そして、彼女が生きる支えにしていた長年借りていた本を返した時に、先生が新たに彼女が買った本と、図書室の本を入れ替えて”これは、貴女が持っていてください。”とニッコリと笑うシーン。沁みたなあ。-
・東京に進学する後藤(小野莉奈)も付き合っていた男子学生が地元の小学校で先生になる夢があり、別れる事になった事に悩んでいる。
ー だが式の後、二人は軋轢を乗り越え、学校の校舎の屋上で花火を挙げるのである。-
・軽音楽部長の神田(小宮山莉渚)は、その歌声が好きだった森崎(佐藤緋美)への恋慕があるが、それを抑えて高校三年間を終えようとしている。だが、式の後の演奏会で、森崎のゴシックロックのエアーバンドがトリを務める事になり、彼女は一計を案じる。
ー そして、森崎は皆が見つめる中、独りでステージで伸びやかで、美しい声で”Danny Boy"を歌うのである。万雷の拍手。神田はその風景を見て、嬉しそうだ。そして、彼女は誰にも聞こえないように、けれど誇らしげに呟くのである。"漸く、分かったか!"-
・山城(河合優実)は、生徒会長でもないのに、答辞の大役を任される。そして、彼女と付き合っていた駿(窪塚愛流)との調理室での、山城が作って来たお弁当を食べるシーン。お弁当の中には、万国旗が入っていて、駿は食べ終わった後に、それを楽し気にロッカーの上に掲げる。
ー そして、卒業式。彼女は名前を呼ばれても、立ち上がらない。何故なら入場の際に駿の母が彼の写真を胸に抱いて涙している所を見てしまったから・・。
漸く登壇し、涙ながらに答辞を述べる。
その後、彼女はシャツ一枚の亡き駿に”見ているだけで寒そうだから・・。”と言い自らの服を着せる。駿は夏のある日、不慮の事故で学校内で転落死していたのだ・・。
此処も、作品構成として巧くて、観ていて心に響くシーンである。彼女が答辞を任されたのは、悲しみを抱えながら高校生活の最後半を過ごした彼女への先生方の配慮ではなかったか、と私は思った。-
<今作は未来への茫漠たる不安や、廃校になる母校への未練を残しつつ、卒業して行く女子高生4人の姿を中心に、彼女達の恋人達の姿を絡めて描いた青春映画の秀作である。又、邦画界に中川駿と言う俊英が現れた事実を素直に喜びたい。>
僕も卒業していない
朝井リョウさんの本は沢山読みましたが、少年だった私には少女の物語はピンと来ないかも・・ということで原作未読だったので、先入観なしで観れました。やっぱり朝井さんの物語は好きだなと感じました。
朝井さんの他の学園系と比較し、汗くさいバイタリティやぬめりをおさえて、か細くキラキラさせた物語という印象でした。
のどかな田舎に、飾らなくて幼くてキラキラしている複数の登場人物たちが似合っていました。自分の学生時代が生々しく蘇ってきてしまう懐かしい気持ちや風景、いつの時代も変わらぬ学園あるあるがたくさん散りばめられていて、キュンキュンさせられて、卒業式の日への気持ちが高まっていきました。主人公以外のそれぞれの奥行きみたいなものも、卒業式に向けて感じることができました。面白い小ネタのセンスもツボでした。
ありふれた通学路、家庭科室や図書室のにおい、階段の踊り場でのひそひそ話、ほこりっぽい体育館、いつか必ず訪れる卒業の日、、なんてこと無い風景に朝井さんのセリフがのると、当時の気持ちが込み上げてきてしまって、登場人物達の気持ちが生々しく感じられてしまいました。
そんなこんなで油断しており、やられました。個人的には、主人公に関わる展開はありがちにも思えるし、反則ぎみに感じました。それは勘弁して~って叫びそうになりました。とはいえ、この展開があるからこの小説が映画化されたのかな~なんて、無駄に勘繰り、複雑な気持ちになりました。最後の答辞にだいぶ救われました。投げっ放さない真面目さはさすがだなと思いました。定型にも思える答辞の言葉なのに、その重みにぎゅっと胸をつかまれて震えました。
脇役?達も素敵でした。特別な人物ではないし、そこまでドラマティックな展開があるわけじゃないけど、じゃないのに感動させられちゃうのは、やっぱりすごいと思いました。桐島の時と同様、脇役達にも血が通ってるのが朝井さんのすごいところだと思います。
相変わらず、取って付けたようなハッピー/アンハッピーエンドで括らせない点も好みでした。誰もが登場人物たちの未来に向けて、心の底から『卒業おめでとう』と声をかけたくなるような映画だったと思います。
図書室のシーンが好きでした。少しダブるような気がした個人的な思い出が蘇りました。そんな意味でも観て良かったです。
(高校時代の司書の方との出会いが無かったら、きっと読書が好きではなかった。授業をさぼった時も図書室に居させてくれて、好きそうな本も教えてもらったし、何より読書の魅力を教えてもらいました。間違えて2冊買ってしまったということで、絶対に内緒で!という約束でいただいた本を今でも持ってます。あの日当たりが良くてあたたかい図書室で過ごした時間はかけがえのない思い出です、、)
廃校が決まった高校で繰り広げられる、卒業式までの2日間を描いた群像...
廃校が決まった高校で繰り広げられる、卒業式までの2日間を描いた群像劇。それぞれに秘めた想いや、わだかまりを抱えた主人公たちが、思い出の後ろ髪を複雑に引かれながら、歌や答辞、花火に込めて自分の意思を校舎に残していく。
別れの時が近づくにつれ、強固になる結ぼれ。
ほどくのが難しく、これほど残酷でこんなに苦しいなんて。それぞれの想いが限界を越える時、各々の心の叫びが観客の記憶の渦を疼かせる。
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個人的MVPは佐藤緋美。ラスト間際、彼のあるシーンに全てを持って行かれた。
河合優実の仕掛けは一瞬、彼ではなく、母がそうなのかと思ってしまった。ラストシーン、定型的な答辞の読み上げより、自分の想いを自由に吐露するとかであれば、もっと心が動いたかも
しかし、藤原季節にメガネかけさせてあの仕上がりにした製作陣天才だろ…
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