「いろいろキツい」ファミリア ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)
いろいろキツい
在留外国人労働者の使い捨て問題、地域とのトラブル、半グレ集団による暴力の闇、国際的な人質テロ事件…と、重たい材料がたくさんあるわりにどれも表面的な描き方で、映画の出来そのものがしんどくて観てるのがつらかった。ぐらぐら揺れる手持ちのカメラが何を映したいのかよくわかってないようにも思えて、まあ、ヘヴィな問題いろいろありますけど家族の絆でまるっとまとめちゃいましょう、みたいな雑な感じを受けた。
そんな気持ちで観ていたせいか、役所広司はうまいというより、いつもの役所広司を役所本人がなんとなくそのままやってるように見えたし(同、佐藤浩市)、ブラジル人役者のカタコト日本語セリフもキツい。子供ができた吉沢亮の喜び方とか、屋台のラーメン屋みたいな出入り自由なビニールの向こうで半グレがシャブ食ってるとか、MIYAVIが死んだ娘の保温ボトルでお茶飲んでるとか、多くの人が指摘している無用な屋上SEXの事後どっから毛布もってきたんだとか、ほんとどうなっているのか。ブラジル人女優の胸が見えるのは、眼福と同時に、裸を条件に出演が決まってそれこそ外国人労働者を搾取してんじゃないのか?と勝手に妄想して憤ったり…。
成島出監督作品は久しぶりだったけど、ご本人もいろいろ悩んでるのかな?ずいぶん前の八日目の蝉やソロモンの偽証はおもしろかったけど。本作、和製グラントリノという意見もあるが、そりゃ本家に失礼。イーストウッド監督の爪の垢を役所広司の焼いた茶碗で煎じて飲んでほしい。
最後に、佐藤浩市の白髪にしてあの額の狭さと毛量は地毛なのかどうかもかなり気になった。
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