「【”怒りは怒りを来す。だが、そこからは何も生まれない。”紛争、在日外国人の雇用問題など、現代社会では喫緊の重いテーマを扱いながら、骨太なヒューマンドラマに仕立て上げた成島監督の手腕に唸った作品。】」ファミリア NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”怒りは怒りを来す。だが、そこからは何も生まれない。”紛争、在日外国人の雇用問題など、現代社会では喫緊の重いテーマを扱いながら、骨太なヒューマンドラマに仕立て上げた成島監督の手腕に唸った作品。】
ー この作品の舞台は豊田市であり、保丘団地と劇中で表現されたのは、保見団地であろう。
1980年頃から自動車関連企業が多い豊田市で、出稼ぎに来たブラジルの方々の割合が増え、一時は治安が悪くなった時期もあるそうだが、今では治安も落ち着き、自動車関連企業を支えて頂いてくれている。
隣市に居住するモノとして、敢えて、一言記す。ー
◆感想
・矢張り、主人公の陶器職人誠治を演じた、役所広司さんの存在感は凄いと思った作品である。
ー 序盤、彼が若かった時は、とんでもない暴れん坊だったと、隣人が語るシーンがあるが、後半この何気ない言葉が効いてくる。-
・アルジェリアのプラントで働く、自慢の息子、学(吉沢亮)が、アルジェリア内戦と思われる戦禍により両親を失った難民だったナディアを連れて一時帰国するシーン。
ー 誠治は、電話で聞いた時は驚いたようだが、彼がナディアの接し方が、とても良い。この人はだ人種が違えど、大切な息子が選んだ人を温かく迎える器の大きな人間なんだな、と思った。
そしてナディアを”とんでもない、地獄を経験した人なのに・・。”と愛おしそうに見る表情。
ココも、後半の誠治の後半の行動を示唆している。-
・半グレの榎本カイト(MIYAVI:こういう役を演じさせたら、抜群である。)が率いる、愚かしき若者達が、保丘団地に住むブラジル人の夢なき若者のマルコスやその仲間に執拗に、絡んで来るシーン。
ー だが、それには理由があり、カイトは大切な幼き愛娘を酔っ払ったブラジル人の運転する車で引き殺されていた事が分かって来る。彼は、ピンクの小さな水筒を常に大事そうに持っている。彼も又、ファミリーを壊された哀しき男なのである。だが、”怒りは怒りを来すでは、本質的な解決にはならない・・。”-
・そんなカイトたちから逃げて来たマルコスを誠治は、匿い、彼により壊された車のバンパーを見ても、”良いから・・。”と言って濡れた服の代わりに、代わりの服を差し出すシーン。
ー ここも、誠治と学の寛容な思想が垣間見える。-
・カイトのガールフレンドで、バーで働くエリカが翌日、洗った服と、修理代を持って謝りに来るシーンも然りである。
で、誠治と学はエリカたちが団地で催す、パーティに誘われる。
ー だが、マルコスはエリカに促され、少し頭を下げただけで、素っ気ない。話をしていくうちにマルコスの父が、ジャパニーズドリームを夢見て、友人達とやって来たが、リーマンショックにより次々と友人達が解雇され、団地の屋上から飛び降りた事を知る二人。私自身も当時の嫌な想い出が過ってしまったシーンである。
マルコスは”夢はない”と学に告げるが、学は”夢を持つことは大切だよ”と笑顔で返す。-
・学とナディアは、再びアルジェリアに戻るが、武装勢力に襲われ命を落としてしまう。
ー この辺りの、外務省の官僚の素っ気ない対応には、腹が立ったなあ。
何が”救出に向け、鋭意努力をしています、だ!”
10年前に実際に起きた日本企業のアルジェリア石油プラントへのテロ事件を思い出してしまうシーンである・・。
深い悲しみに暮れる誠治に、同じくアルジェリアに赴任していた同僚が訪れ、”彼のお陰で助かったのです。”と言い、生前、学が残していた自身へのメッセージ”俺、父親になるんだよ!”
このシーンは、沁みた。涙に暮れる誠治が敢然と、カイトたちに対し、取った行動。ー
■これは、私の勝手な解釈だが、誠治は亡き学とナディアを、追い詰められているマルコスとエリカとだぶらせたのではないかと思った。
そして、学とナディアを守れなかった自分が命を張ってでも、マルコスとエリカを救わなければ、と思ったのではないだろうか。
<誠治の決死の行動で助けられた、マルコスとエリカが誠治の土窯を訪ねて来るシーンもとても良い。
そして、マルコスは明るい表情で、亡き学が言っていたように”釜の仕事をやらせて下さい。”と深々と誠治に頭を下げるのである。
今作は、紛争、在日外国人の雇用問題など重いテーマを扱いながら、骨太なヒューマンドラマに仕立て上げた成島監督の手腕が冴えわたる作品である。>
NOBUさん、共感、ありがとうございました。
私は、自分では人道的救援物資提供と思っているのですが、
中国人実習生の生活が乱れてる気配濃厚だったことがあって、
(素行が悪いとかじゃなくて、「洗濯してる?」みたいな(^^)/)
掃除道具とか、身の周りのアレコレを助けたことがありました。
数学も教えたかな。
かなり深い、重い内容を伴うのでここでは
「どこが?」という詳細は書けませんが、
当該実習生は話す言葉も、育った環境も違うのに、
なんだか、自分を見ているような気がするくらいに、
私にソックリだった子で(実際、顔も似てたかな?男の子だったケド)
彼を応援する=自分を応援する、励ます、みたいな。
自分が選んだ道を否定したくない、みたいな。
かつて自分が幼すぎて消えてしまった返らない夢を、
若い彼はどうか叶えて欲しい、みたいな気持ちがありました。
誠治さんが、マルコス達を助けようとしたのも、
そんな感じだったのかなあ、なはぁ~んて!
こんにちは
返信ありがとうございます。
寝起きだった為、返信が凄く短文になってしまいましたので再返信。
観るか迷ったと思う程きつかったんでしょうねその仕事。
でも結果観て良かった!と思えたなら良かったです。
あと前々から思ってたんですがNOBUさんのレビューって凄く丁寧書かれてて凄いなと思いながら読ませてもらってます。
何かNOBUさんの良さ、優しさみたいのが文章に出てますね。
あと最後にMIYAVIのギタープレイはYouTubeに出てますが凄いですよ!
ではまたよろしくお願いします。