ナナメのろうかのレビュー・感想・評価
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反転するモノクロ
モノクロの効果が反転するところが非常に印象的。
前半はあたたかみや懐かしさが、後半は不穏さや恐ろしさが立ち上がってくるのです。
冒頭ではフラットな状態で始まった姉妹の関係性は、妊娠の話題で悪い方に振れる。
昔の玩具を見つけて遊んだり、良い方にも振れるが、姉は「分からないから質問する」。
そしてまた険悪な方へ…
最終的にふたりは同じ家の中で離れ離れになってしまう。
「転びたくないから」という台詞は、このまま産んだら“転ぶ”ことを自覚している暗喩だろうか。
タイトル(特に『ろうか』が平仮名なところ)からもっと優しいお話かと思ってた。
あれは完全な断裂を意味するのか。
それでもお互いを呼び合い、探し続ける2人は、また笑い合うと思いたい。
穴が空いてしまった
子供の頃遊んでいた玩具の入った段ボールの底が抜け、階段の上からぶち撒けてしまった時、底が抜けたではなく、穴が空いちゃったと言ったのが気になって
大人になると思ってることのすべてを口にはしない、グッと飲み込むことが多い
それは姉妹でも同じ
飲み込んでいた禍々しい思いが詰まった袋に穴が空いてしまったんだと思う
自分を見つめ直し、すれ違ったままではなく、いつか向き合えるといいなと思う
余談ですが、アブサンを飲むときに
いつも、お上品なお婆さんの家の箪笥の引き出しの奥の味だな。と思うのですが、
その想像するお婆さんの家にそっくりだった
とても好みの映画でした
なにも強要しない映画。
2人姉妹がリフォームのために実家を片付けるけど遅々として進まない映画です。
暗くなってからは遠野物語かよ。
崩壊の前兆?
2人のメタファ?
まあ、、、スカッとしない終わり方ですが、
そこが良いのです。
色という要素がないだけで光と影、質感、物の本質が立ち上がってくる感じ、、、日本の狭い家の中で頑張って素敵アングル切りとり、映像の遊びを楽しませてくれます。
物が表情が全力でその存在を語りかけてきます、、あとは観てる人次第。
そんな見る人の想像力を試される映画。
44分とは思えない味わい深い作品
海に浮かぶ映画館で鑑賞
9月10日からの劇場公開でも改めて観たい。
前半は普通の物語なのに後半はなんとも打って変わって二人はどうなってしまったのか、映画の表面裏面があるような映画。従来のシネコンで見るような映画ではない味わいが44分に詰まっている。
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