「内容はわかりやすいけど、人によっては気分を害するかも(ほか関連参考情報)」サイレント・ナイト yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
内容はわかりやすいけど、人によっては気分を害するかも(ほか関連参考情報)
今年331本目(合計606本目/今月(2022年11月度)18本目)。
奇妙な毒ガスが流れるイギリスが舞台で、その最後の日がクリスマスで、クリスマスを祝いつつ致死性の毒ガスが流れる前夜を家族やその知り合いその他数名で祝う、という趣旨のお話です。
この「毒ガス」が何を意味するかは個々いろいろな解釈ができますが、合理的な解釈としてありうるのが新型コロナウィルスの蔓延なのでしょう。ほか、(想定される)第三次世界大戦における核戦争で発生するいわゆる「黒い雨」などと解することも可能です。この辺は解釈が微妙に取れそうです。
ストーリーの筋としてはわかりやすいし、一部例外は除いてもストーリーの大半はそのクリスマスを祝う家(そこそこ豪華っぽい家)の中でのみ進むので(一部例外あり)、ストーリーとしてはわかりやすい一方で、逆にストーリーの「隠された意味」を把握するヒントも大半ふせられており(テレビやインターネット等も大半出てこない)、わかりやすいものの「趣旨の解釈としてはいくつかわかれうる」のではないか、と思えます。
やや気になったのが下記のところです。
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(減点0.3/一部のセリフの配慮が足りない)
・ この映画、ストーリー内でいつの時代かは明示的な記述はなかったと思いますが、逆に言えばそれがないということは、少なくとも現代(2020~2022程度)と解して構わないと思います。
ところが、特定の国…まぁ、ロシアなのですが、その特定の国に対して「ロシア人め」とか「ク×ロシア帝国の野郎」とか(字幕内では伏字はありませんが、こちらで伏せてます)、妙にロシアばかりたたかれるのも謎です。
かえってリアル現代を顧みると、この映画はイギリス映画であり、ウクライナやその周辺の(今のウクライナ侵攻に利害関係のある)国は一切かかわっていないようで、イギリスとしては「基本的には」ウクライナよりの立場ではなかろうかと思いますが、趣旨がよくわからないこの罵倒が謎です。かといって、上記のストーリーの「謎の致死性の毒ガス」うんぬんにロシアは一切かかわってこないので(この点は最後まで一切明らかにされない)、このあたり、ストーリーの筋に一切関係しないのに、特定の国の罵倒がやや過ぎるかなぁ、という気がします。ただ、それとて2~3か所程度ですし、映画全体としてロシアを否定したり、その国民の人権を蹂躙するような趣旨のストーリーではない以上、減点幅は限定的です。
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▼ 参考: ジュースを注ぐシーンで Say when. といっている部分
・ 映画では終わりのちょっとくらい前に出てきます。ジュースを注いでもらうシーンでこのセリフが出ます。直訳すれば「いつであるのかを言って」または「"When"と言って」になります。
ただこれは慣用表現で、まぁコロナ事情なので難しいですが、知って損はない表現です。
要は、この映画のこの例(ジュースを注いでもらう)や、食事でサラダ等、「個人の取り分を取ってもらう」ように、「個人によって飲める・食べられる量が異なる」場合、それは注ぐ側にはわかりませんので、「(あなたにとって、ちょうどよい量のときに)合図して」という意味で用いられます(その性質上、「量」があるものでしか使いません)。
この場合、「その量で大丈夫、ありがとう」という場合は、 It's OK. や Thank you. などで通りますが、この "Say when" を直訳して「whenと言え」という「直訳通りの返答」としてそのタイミングで when といって返すというのは英語におけるジョークのひとつです(有名なジョークなので、それでも通る場合が普通)。