「歌唱シーンは鳥肌がたった。当時はそれ程関心がなかったが、やはり凄い歌手だったのだ。ドラマ部分は普通の伝記映画の域を出ず。サントラかベストアルバムを買おうかな。」ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5歌唱シーンは鳥肌がたった。当時はそれ程関心がなかったが、やはり凄い歌手だったのだ。ドラマ部分は普通の伝記映画の域を出ず。サントラかベストアルバムを買おうかな。

2022年12月24日
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鑑賞方法:映画館

①ディオンヌ・ワーウィックが従姉でシシー・ヒューストンが母親、というサラブレッドとして米音楽界に彗星のように現れて次々と大ヒットを連発して、たちまち大スターとなったホイットニー・ヒューストン。
当時のことは良く覚えているが、それ程興味や関心はなかった。あの幅広い音域で朗々と歌う(声を張り上げる)歌唱スタイルがもう一つ好きになれなかったようにも思うし、美人でスタイルも良かったのでややアイドル的な売られ方またサラブレッド/優等生的な扱い方にも抵抗があったようにも思う。
②しかし、本作ではあまり似ていない女優が演じたことで、逆にストレートに歌声が心に届いたようだ。
③ボビー・ブラウンと結婚した頃から活躍に影が射してきてトラブルやスキャンダルに巻き込まれ半ば引退かと思っていたら48歳という若さでの突然の訃報にビックリしたものだ。
④麻薬乱用による死ということだが、映画では何故ホイットニーが麻薬に手を出すようになったのか、その原因があやふやにしか描かれていないので(勿論本当の理由は本人にしか分からないにしても)ホイットニーの実像に迫れておらず、その人生をなぞるだけの平凡な伝記映画で終わっている。
⑤ホイットニーがバイセクシャルであることは本作で初めて知って驚いたが、当時はそんなことを公表するのはキャリアに傷を付けるだけで御法度な時代だったし(そういう意味ではスターやセレブがオープンに自分の性志向を公表できるだけ今は良い時代になったということか)、ホイットニー自身も普通に妻になり母になりたい願望もあったようで、その辺りの心の折り合いがつけられず苦しかったのか。
家族(特に父親)との確執が重かったのか、夫との結婚生活に疲れたのか。
あまりに若く早く成功し大スターになってしまい、だんだん“ホイットニー・ヒューストン”というブランドを維持するのが苦しくなってきたのか。
それを乗り越える強さがなくドラッグに逃げたのだろうと結論付けるのは簡単だが、私もついつい薬に頼る歳になってきたので、分かる気もする。
だけどやはりドラッグを常習するのは危険で(過去にそれで命を落としたスターは沢山いる)、あれ程の才能を持ちながら若くして散ってしまったのは悲しくて惜しい。
これは、ホイットニーの死を知ってから思っていることで、残念ながら本作からはそれは感じ取れなかった。
⑥だから点数はもっと低くても良いのだが、歌唱シーン(ホイットニーの歌)が良かったので少し嵩上げしてます。
⑦スタンリー・トゥッチ好演。
⑧ただ、ホイットニーの最大ヒットであり世界的にヒットした「I Will Always Love You」は、悪いけどあんなに朗々と(声を張り上げて)歌うと却って曲の良さが損なわれると思う。別れの歌なのに結婚式で流されると苦笑してしまうし。やはりドリー・パートンのオリジナル版が一番で次がリンダ・ロンシュッタットversion。あくまで個人の好みではありますけど。「I'm Every Woman」 もオリジナルのチャカ・カーンの方が熱量がある。最後に根性ワルが出ました👅
※追記:その後シングルコレクションを買って聴きました。個人的には「恋は手探り(How Will I Know)」と「グレイテスト・ラヴ・イット・オール(Greatest Love It All)」が気に入った。初期の他の曲はあまりホイットニーに合っていないような気がする(何編も聴き込むうちに意見が変わるかも知れないけど。)

もーさん