イニシェリン島の精霊のレビュー・感想・評価
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主人公や親友の行動が理解できず取り残される
親友が絶交したがっている理由は、案外早く明らかになる。その理由も、決して感情的なものではなく、理にかなっていて納得できる。しかも、親友は、決して主人公を嫌ったり、憎んだりしている訳ではなく、ただ、放っておいてほしいだけなのである。そのことは、親友が、殴られた主人公を助け起こしたり、主人公の代わりに人を殴ったりすることからも明らかである。
ここまでは良い。
理解できないのは、親友が実行する自傷行為で、明らかに常軌を逸しているとしか思えない。とても、「ちょっとした感情のすれ違いがエスカレートした」といったレベルの行いには思えないのである。親友が、精神を病んでいるようでもなく、いたって理性的に見えるのも、かえって不自然で、訳が分からなくなる。
一方の主人公も、そんな親友の本気度を認識しながらも、なぜ、それほど親友に執着し、関わりを持とうとするのかが、よく分からない。確かに、妻も恋人もなく、親友と酒を飲むことしか楽しみがないことは理解できるが、あの状況では、親友の望むとおりに放っておいてやるのが普通の対応だろう。
警官も、神父も、雑貨屋の主人も、誰もが、揃いも揃って性格の悪い島民の中で、唯一まともに思える主人公の妹が決断したように、「島を出ること」こそが、最も正しい選択肢だと思えるのだが、主人公が、なぜ、それほど、島に残ることにこだわるのかも、理解に苦しむ。妹も、友達だった警官の息子も、最愛のロバも、もう島にはいないのにである。
結局、妹以外の誰にも、共感も、同情も、感情移入もできず、観終わった後には、取り残された気持ちだけが残った。
ところで、主人公が崖の上から妹を見送った時、隣に立っていたのは誰だったのだろう?
それから、死を予言されたのは2人の男のはずだったが、もう1人は誰なのだろう?
もしかしてこれジョーダン・ピール系映画ですか?
何にも考えなければ吉幾三的世界。
閉鎖的な島。
《普通》から少しでもズレた人間は疎外。
見ようによってはイジメ。
本音は言えない。
やりたい放題の権力者。
染まりたくない。
だが、この土地に住む限り、否応なしに染まっていく。
特徴。
子どもがいない。
むしろ婚姻関係にある人がいない?
一見して真っ当に見える主人公。
でも他の人の目から見るとそうでもない。
主人公を突然嫌いだす友人。
主人公が話しかける度に、とんでもないことをする。
それを止めずに呆然と見るパブの人々と。
堂々と正面切って話しかける主人公の妹。
…そして、正常な人間ほどこの町から出ようとする。
なんだこれ?
観始めた時にはそんな印象でした。
で、最後まで観てやっぱり なんだこれ? だったんですが。
なんかこれ、主人公と友人の関係を国と国とかに置き換えると、なんかしっくりくるなあと。
なんでそこまでなる前に、話し合えなかったのか?とか。
まあ、賛否両論ある作品だと思います。
アイルランド小島の風景は美しい。ただ、話はベクトルが難解、どこに向かってるの?不思議ちゃん映画。
アイルランド🇮🇪内戦1923 本土と離れた小島ののどかだけど、厳しい情景
緑の島だけど、樹木は生えない 美しい景色
小島だから全員が顔見知り。故にみんな退屈。
だが、不思議ちゃん映画で、そこそこ【何で?なぜこういう行動心理のベクトル?】という不思議さで
そこそこ魅せる。
ロバがかわゆい。
精霊の舞い降りた老女が恐ろしい。
しかしコレでアカデミー行けるかなぁ❓最近変なのばっかだからかえっていけるカモね❗️あと次の行兄弟✖︎→兄妹ね。
チット
①何で兄弟揃って、容姿も悪くないのに独身やねん、太ったオッサンも
②職業なんやねん、1923、日本で言うと大正時代に無職で昼から酒ってありか?
というのは感じたが、それは言うのは野暮というモノ。
不思議ちゃん映画だから仕方ない。
チョットセリフの応酬がすごい、セリフ多すぎ、時間も若干長いカモ
でもアイルランドのしかも孤島的な文化、閉塞感は堪能でケルト文化的な・・・
人間讃歌、ブラックコメディーというよりは
【病的な心の闇】VS【気弱すぎるコリン・ファレルの迷走】不思議ちゃん作品。
でも告解だか懺悔だか知らんけど、キリスト教独特の神父だが牧師への告白場面で
神父だか牧師が、グルになって【テメェこの野郎 Go To Hell 】的なやり取りは面白かった。爆笑🤣
でもコリン・ファレルと喧嘩相手のオッサンよりも
【チト頭の弱い】ドミニク役のバリー・コーガンのはキャラが面白かった。
不思議ちゃん作品だね。景色は美しい。田舎の閉塞感で鈍重になりがちなテンポを会話の応酬で補っている。
ただ、好き嫌いは分かれるねぇ、どっちかというと映画🎬が趣味の人向け。
有料パンフはデザイン構成共に高レベル。【オッサン ブレンダン・グリーソンすまぬ🙇♂️】
ロバのかわゆさと不条理、不思議ちゃんに身を任せる作品。あるいはアイルランド🇮🇪の美しい景色に身を任せる作品。
いやぁ、、評しにくい。。
確かに脚本は素晴らしく完成している。そして主要な役の俳優4人、いずれも素晴らしい。からの、トータルとしてどうか。。。うーん、評しにくい。
私は作品へ「感情移入」について、評価そのものに「影響」はしたとしてもけして「重要」なことではないと思っています。ただこの作品は、序盤こそオフビートなやり取りに笑える余裕もあるのですが、まだ前半とも言える時点から早々にコルム(ブレンダン・グリーソン)の言動のスリラー味に対して、惑わされるスーラウォーン兄妹(コリン・ファレル&ケリー・コンドン)へ否が応でも感情移入してしまい、次々と「起きることの衝撃」と「転がるような展開」にとても平常心ではいられなくなります。
本作の監督であり脚本を書くマーティン・マクドナー、『スリー・ビルボード』の不条理さもなかなかなものでしたが、はっきり言って本作は、比較にならないほど常軌を逸していてずっとザワザワが止まりませんでした。
果たして一体、どんな相手にならこの作品を薦められるのか判断できませんが、仮にこれが「アカデミー賞作品賞」を獲っても、それだけで「ちょっと観てみるか」のノリだったらむしろ観ない方がいいと思います。それだけ、映画ファンとして「絶対、否定はされたくないけど、これが最高だとも言いにく」バランスの云わば「問題作」だと思います。
内戦の実態
こりゃ難しい...というか理解できない...笑
ハマってみてしまう不思議な力を秘めている作品ではあるんだけど、静かすぎるのと登場人物全員の行動と言動が意味不明すぎて着いていけなかった。映画っていうか、絵画見てるみたい。
いきなり始まるから、面白みを感じないのかな。
意図的なんだろうけど、途中でもいいから前日以前のシーンが欲しかった。2人に対して感情移入がまるで出来ないし、常人には訳が分からない。人生がつまらなくなることを恐れ、退屈な友人と疎遠を試みる、退屈な男の物語。流石にそんな話されたら嫌になるのは分かるけど、今までもそうだったんじゃないの?そんな急に我慢の限界ってくるもの?だとしても、そこまでする?マジでよく分からん笑
しかしながら、相変わらずコリン・ファレルの演技は絶妙であり、可哀想だけど情けない主人公を好演。作品の雰囲気もいいし、映画自体は意外にも退屈では無い。続きが気になる作りではあるため、飽きは来ない。陽気か不気味か分からないような音楽も、すごくいい。劇中のバイオリンも癒されます。
これは内戦の風刺なのかもしれない。
つまらない事で腹を立て、自分の利益のために相手を遠ざける。その行動は相手を挑発させ、何もかもを変えてしまう。結局は自業自得。同日公開の「金の国 水の国」とも通じる部分があります。我に返ったら思う。なんて馬鹿なことで怒ってるんだと。本作は国同士ではなく、人同士で描いている。そう思うとちょっと納得。だけど、意味わからんが。
もっとホラーテイストにするか、サスペンスとしての見応えを増やすか、どっちかによって欲しいところではあった。すごく微妙な感じ。予告で見たのとほぼ何も変わらず。面白くないわけじゃないんだけど、色々と超越してる作品です。覚悟の上。
コリンファレル史上困った八の字眉の作品だった‥
昨日まで親友だと思っていた男に
「今日から絶交、話かけたらおれの指を一本ずつ切り取り渡してやる」と言われた男の話。
そんなヘンテコ不条理な話で物語できるのか‥と思うけど、さすが「スリービルボード」の監督。面白い鬱展開だった。
コリンファレルの眉が可愛そうなくらい八の字になる作品でもあった。
自分はフラットなんだけど、相手が理由分からず嫌悪や憎悪をもって対応してくるのはなんか現実でもある話か‥
こじらせた話の映画のはずが、映画作品としてこじれてしまっている。
アラン諸島の本島には以前行ったことがある。実際、あんな荒寥とした美しい風景の島。かつては岩だけの島だったのに、流されてきた海草を敷いて、徐々に牧草を繁らせていったらしい。アラン島のセーターもいい買い物だった。その懐かしさもあって、観に行ったわけだけれど、意外性やブラックユーモアを狙う作風が、監督がこじらせ過ぎちゃって、破綻してしまっている気がする。スリー・ビルボードだって、絶賛されるほど、そんなに傑作だったか・・・と思っているのだけれど、あれはまだそれなりに「つながり」があった。でもこの作品は比喩とブラックユーモアが噛み合わずに外れてしまっている。アラン諸島の風景がもったいない。
壊れた友情の中にも相手を思いやる気持ちがある不思議な映画。 本年度ベスト!
美しい風景とスローテンポの心地よい音楽が流れる中、二人の男の理不尽な争いがハンパなかった。
アイルランドの小島。
イニシェリン島。
本土で内戦が勃発する中、他人事の様にのんびりと生活する島の住人。
決まって午後2時からパブで酒を飲む仲の良いパードリックとコルム。
コルムが出だしからパードリックに絶縁を申し出る展開。
理由は不明。
コルムがパードリックに自分に関わると自分の指を切り落とすと通告。
全く意味不明だけど有言実行。
コルムがそうなった原因が全く解らずストレス発生。
これは本土での内戦(戦争)と男同士の争いを対比させていた感じ。
理由が良く解らず戦争が勃発。
争いが徐々にエスカレート。
理由も解らす終戦。
喧嘩ってこんな感じと自分的に解釈(笑)
そんな中でもお互いを思いやるシーンが良かった。
戦争は相手を思いやる気持ちがあるのか?
気になるところ。
これが本作のメッセージと自分なりに解釈。
コルムの愛犬。
頭が良すぎです( ´∀`)
オッサンのいざこざ合戦
近くで内戦やってて
内戦に関係の無い村でオッサン同士のイザコザの話なんですが それが結局内戦と同じ事になっていて その構造がまあまあ考察していくとかなり面白い内容になっているんです。
最後はイヤーな終わり方かなあとか思ったら 案外見終わった後はスッキリ劇場をでてこれました
テーマが案外深いのでアカデミー賞はかなりの部門で受賞しそうです 出てくる人たちがいちいち こういう嫌な人いるわーって感じの人だらけなのと
激しい出来事は全く無いのに変な緊張感でグイグイ最後まで引っ張るんで ずーっと会話だけなのに全く飽きずにみれました! 言葉にしてない内面の部分の考察が面白い作品だから それが苦手な人だと単純につまらない作品と感じると思うし
予告を見たら だんだんエスカレートして殺し合いとかって考えがちだけど 全くそんな事無く ある意味絶妙なところで締めくくるので 自分はめちゃくちゃ楽しめました 韓国映画ほどエグくないけど まあまあスパイスの効いた内容だと思います
スリービルボードの監督らしい作品なので
スリービルボードがイケる人なら大丈夫!
スリービルボード見てつまんないって感じる人なら
なんだこれ つまらないってなると思います
逆に イニシェリンみて面白いって思っていて
スリービルボード見てないなら 帰って直ぐにスリービルボード見た方がいいです!
観ててつらくなる作品
ブラック・コメディの部類らしいが、私にとってはコメディ要素はほぼ見当たらず、胸が痛くなる作品
ただし、出演陣の演技は素晴らしく、その中でもコリン・ファレルの演技は最高
彼の最後の台詞の日本語訳は微妙なので何を言っているのか英語のままで聞いて欲しい
簡単な単語をひとつだけ発しています
【皆さんの感想を聴いてみたい!】
大好きな前作『スリー・ビルボード』のマクドナー監督に、要注目俳優バリー・コーガンに、名優揃い踏みのキャスティングと公開前から楽しみにしてた作品。鑑賞後の心緒は前作とは違いやや粘着質な印象。ベン・デイビス撮影&カーター・バーウェル音楽と同じチームで製作したのは歴然と分かる。
忌憚の無い感想を聴いてみたいのが所感。変わり映えの無い卑屈で閉塞感に満ちたコミュニティであっても居心地が良いとさえ感じ収まりよくやり過ごす者、他方で無為な日々への焦燥感と自身に対する苛立ちに環境への鬱屈した心情を抱える者の対比と摩擦を、観者を刮目させる人間臭いグロさを象徴的に演出として入れ込み描写するマクドナー監督の世界観は前作に通ずるものがあった。
お互いに不干渉ではやり過ごせない、逃げ場の無い荒涼とした自然に囲まれた曇天模様の島設定に、イデオロギー対立で内戦中の本土と個人心情の振幅・狂気性を対照的に描く脚本が秀逸。マクドナー監督次回作が早くも楽しみ。
どうしてこうなってしまったのか
親友に突然拒絶されて、始めはわけも分からずすがりつこうとするが、次第に敵意に変わっていく。
なぜ、という明確な答えが描かれず、監督のコメントなどを読んだりしたが、よく分からない。アイルランドの寓話なのかと思ったが、そうでもないらしい。こんなふうがわりな映画は初めて観た。
よく分かんないけど、自分も気をつけよう。酔っ払ってつまらない話をするのはよそう。指を投げつけられるまでに、自分の態度を見直そう。退屈で愚鈍な私には、観た後でとても孤独感と不安にさいなまれる映画だった。
退屈で何も起こらない美しい島で
小さい島だから皆が皆を知っている。仕事は午前にすべて済んで午後2時にはパブに行ってアイリッシュのビールかウィスキーかシェリーを飲む日々の繰り返し。その島でパードリックとコルムが親友同士であることはだれもが知っている。
人のいいパードリックはコルムにとってかけがえのない友だった。彼とのお喋りは楽しかった。いつまでもそれが続けばいいのにとも思ってた。でもコルムはパードリックより年上でちょっとインテリでパードリックのことを本人以上に知り尽くしている。何もない島、対岸では内戦、いつかは人間は死ぬ、逃れられない。
コルムはこう願ったのか?自分とパードリックの死後も、この島に濃厚で風変わりで熱い友情を結んでいた二人の男が居たことを島の人間やその子孫(そもそも島の男と結婚する女性はいたか?)が覚えていて、ことによったら語り草にしてくれたらいいのに。誰からもいい人と思われて動物にも優しい男、パードリック、そんなんじゃ忘れられる、お前の中の何かを俺が引き出すからな。ドミニクの言った通りだったのかも知れない。それに絶交宣言の後の方が二人の友情の質が高まっている。二人の会話も以前より中身が詰まってきたのではないか?
コリン・ファレルの演技が素晴らしかった。単純でいい奴で素朴で、濃い眉毛を八の字にした困り顔は本当に可愛くて言動も子どもみたいで何度も笑ってしまった。妹が島を離れ、愛するロバのジェニーを失い、パードリックの顔も行動もどんどん変わっていく。それがコルムが見たかったことなのかも知れない。コルム(ブレンダン・グリーソン)は歩く姿も海辺に佇む姿も演奏する姿もすべてが絵になっていた。
おまけ
1)戦争って、なんてことない兄弟喧嘩風に始まって、始まったら最後、なかなか終わらせることができないことをこの映画は言ってるのですか?男の人達はみんな暇そうだったなー。島の女性はパードリックの妹(島で唯一読書する人で島から脱出した唯一の人)と小売店の店主(何か新しいニュースはないかにしか関心がない人)しか居なかった。
2)見てからぐずぐずとああでもないこうでもないと考えて、色んな方のレビューを読んで、そっかー!と納得しながらまた考えて。夢にまで出てくるんですけどー!大迷惑!でもなんだか嬉しい。なんなんだ?この映画!
ロケーションと映像のつくりは抜群
よく練られ事前に相当準備したような印象を受けた作品。壮大な風景と思考をこらした空間は見応えがあった気がします。ただ、不思議と映像そのものの美しさや重厚感というものはさほど感じられず、何よりもストーリーや話の内容が・・・という感じでまったく満足感を得られず─、それどころかちょっとした嫌悪感など覚えてしまいました。作品を製作する技量やポテンシャルがほとんど反映されていないような印象で、なんだこれ?といった感じでした。
演者のキャラのみならず映画自体も退屈
えっ?これってただの偏屈で頑固な大人同士の大人げない喧嘩じゃない?
この映画の面白さ、表現したい事、言いたい事が全然分かりませんでした。本当にアカデミー賞の作品賞候補?
おそらく二人の喧嘩をアイルランドの内戦に例えているのは何となく分かるけど、だからそれが一体何なんだ、という話。
昔のアイルランドの歴史背景を知らないと楽しめないのであれば、そもそも見るべき映画を間違えた印象。
映画通のみが理解できる作品で一般受けしない作品。
考察してみた:時代背景を知ることでより深く感じられる作品
いい年したオジサン二人の個人的なケンカを見せられているのに、
いっさい「つまらない」といった感情が沸いてこない不思議な作品。
不可解な部分も多く、クエスチョンマークを残したままで終わるがなんだかとんでもないモノを見せられた…鑑賞後の気分はそんな感じ。
ケンカの様子や結末は本編を観てもらえば分かるので割愛し、なぜ急にケンカが起きたのか、そして「精霊」の扱われ方に考察してみた。
(本編になるべく触れないようにしているけど、読むのは鑑賞後をオススメします)
考察するにはあたって、この時代のアイルランドの歴史を少し調べてみた。
舞台は1922年頃の架空の島・イニシェリン。架空ではあるが地理的な位置からアイルランドの首都ダブリンに近いアラン諸島の島を意識していると考えられる。
静かなイニシェリン島とは対極に本土では内戦が起こっている。
この内戦、どうやら完全な内輪揉めだったようだ。
アイルランドは古くから英国の統治下にあり、その歴史上、度々独立のための戦いが起きていた。
これらの戦いはカトリック(アイルランド)とプロテスタント(英国)の戦いとも言い換えられる。
内戦勃発の前年にも対英独立戦争が起きていた(もちろん失敗に終わる)。
ところが、今回関わってくる内戦はカトリックとプロテスタントの対立ではなく、
カトリックの中で英国と今後どう付き合っていくかについて、意見が分かれた結果、争いにまで発展したものである。
身内同士で勝手に争っている本土の様子は明確に描かれてはいない。しかし、夜になると爆撃の音が島にも聞こえ、
直接的な関わりはないけど、対岸で争っている様子が島にも伝わってくる状況である。
そのような状況下でコリン・ファレルが演じるパードリックとブレンダン・グリーソンが演じるコルムの静かなケンカが始まる。
実際には一方的にコルムが突然にパードリックを避け、金輪際、一切自分に関わるなと突き放す。
昨日までの親しき友に理由も分からず拒絶されたパードリックは、当然納得がいかない。
観てるこちらとしては「もう止めなよ…」と思いたくなるぐらい、避けられてもコルムに近づこうとする。
どうしてコルムはパードリックを突き放したのか。
私はコルムが内戦をきっかけに死を改めて認識し、死への対抗心が芽生えたのではないかと考える。
私たちも近年、パンデミックで日々死者数を告げられ、死を身近に感じるようになった人もいるのではないだろうか。
別にそれをきっかけに死が近づいたわけではない。死は常に私たちの隣にある。それにも関わらず、多くの人は死を日常から切り離し、
他人事と捉えて過ごしている。私たちの場合は、パンデミックで、コルムの場合は本土の内戦で、それまでは他人事だった死が自分事になったのだ。
死を身近に感じたとき、コルムには死んで忘れられることへの拒否感が生まれた。
それが彼のあらゆる行動の原動力となっているように思われる。
彼から発せられた弔いや謝罪の言葉、そして生への執着を感じられる行動、これらは全て死を実感し、それに憑りつかれた男の言動と思えば辻褄が合う。
そう考えるとパードリックは完全にコルムの暴走に振り回された感がある。
(パードリックの言動を見ていると、まぁちょっとそうしたくなるよな…と思う部分もある)
極端な言動に走るほどコルムは死に憑りつかれた、故にパードリックを突き放したのだ。
さて、この映画でもう一つ重要な要素が「精霊」である。
アイルランド地方に伝わる死を予告する精霊・バンシーが基になっている。
このバンシーという存在、ここまで考察した死というものの性質と真逆の存在である。
物語でもとある死が突然訪れる。いわゆる「死亡フラグ」は直前まで無い。
これも死が我々のすぐそばに常にあり、前触れもなく誰にでも降りかかる可能性のあるものとして示唆されているように感じられる。
対して、精霊は本来は突然訪れる死を告げる存在として語られる。
どうして死の性質と真逆の存在である精霊を映画に加えたのだろうか。
この精霊は物語において2つの役割を果たしていると考えられる。
1つは死を改めて認識すること。本土の内戦と精霊の存在の相乗効果で死の存在感を高めたのだ。
もう1つは死に対する人間の普遍的な恐怖心・拒否感を明示することである。
アカデミアには妖怪学という分野がある。なぜ妖怪という概念が存在するのかなど研究する分野だ。
そこでは人間は説明がつかない事象に対して恐怖を覚える性質を持ち、それらの事象を説明するために生まれたのが妖怪だとする説がある。
例えば、家がきしむ音。現代なら物理分野で説明がつくが、江戸時代には屋根裏に潜む無害な「やなり」という妖怪が動くから音がするとされた。
理由がなく家が音を立てるのは怖いが、やなりが音を立てていると考えればそう怖くはない。
つまり、精霊や妖怪など非科学的な存在の背景にはそれらがつかさどる事象に対する人の恐怖心などがあるのだ。
今回の場合、精霊がつかさどるのは死の訪れである。
精霊の存在そのものが人間の根底にある死への恐怖心・拒否感を象徴しているのだ。
以上を踏まえると、この映画はコルムに主軸を置いて、死という現象を強調し、それに憑りつかれた男と
その男に振り回された男の物語という1つの見方ができる。
残念
映画はSFやハードアクション等の現実離れのストーリーを表現できる。この作品も私達の常識ではあり得ない様な内容が出て来るが、それは映像ではなく登場人物の思考だった。
起承転結を期待して観ていたが納得の行く結論には至らず不快で残念だった。
今回は試写会だったが、有料で観たならば帰り映画館に火を放ちたくなる気分である。
尚、僅かな点数を計上した理由はアイルランド(と思われる)素晴らしい景色を盛り込んでくれた為です。
※解説によると、友情のもつれはアイルランドの抱える内戦問題を示しているとの事だが知った事ではない。
感想
全て順調だった今日までは
突然親友が自分の事を嫌いになり、次第にエスカレートし二人の間に距離がうまれた時何が起こるのかという作品
考え方がホラー、思うがあまりの行き過ぎた行為とか人間の優しさなどを感じることもできる
島の静かさからのギャップ
いつも仲の良かった親友が急に態度を変えたらこのようになるのかと参考になる映画
二人の親友関係が崩れた先に待っている結末に驚愕
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