TAR ターのレビュー・感想・評価
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ケイト・ブランシェット
に陶酔し、震撼させられる。
孤高の指揮者そのものというよりそれ以上、彼女だけであれば満点。
ストーリー展開はやや散漫ですっきりしない。
数々の問題が降りかかるが、その真偽もはっきりしない。
どこまでが錯乱なのか、仕組まれたのか、モヤモヤが残る。
こういう観賞者に投げかける展開は個人的には余り好みではない。
ラストもどうなんだろうか。
途中にもどんな名音楽も価値観が違えば騒音という場面があったが、
ラストもそれに近い意味なのだろうか。
どうにもすっきりしない分、☆を減じた。
それにしてもケイト・ブランシェットは凄かった。
それだけでも大スクリーンで観る価値はあった。
残念。
鑑賞動機:ケイト・ブランシェット9割評判1割
天才だって権力には毒されてしまうのか。いや、品行方正とは言えなくても、そんなに悪辣なことをしているわけでもなく。
確実に言えることは、ブランシェットやめないで、ってこと。
天才カリスマTAR・・・神秘と名声の海に泳ぐ
この映画は実に巧妙に罠が幾重にも仕掛けられています。
ひとつは、
リディア・ターの性別。
ケイト・ブランシェットの容姿から、女性であると確信して
私は観ていました。
それは間違いではなくTARは女性指揮者として描かれますが、
TARは女性にして両生を併せ持つ多性な存在なのか?!
(後に子供と妻のシャロンの存在が明かされます)
妻と子供を持つカリスマ・指揮者?
そしてTARの能力が如何にずば抜けていて、
ベートーヴェンやリストなどの楽聖と
同じかそれ以上であると観客は思い込まされてしまいます。
バーンスタインの弟子で、EGAT・・・
(エミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞)を受賞した
15人のうち1人・・・などの経歴に目が眩みます。
半分以上を占めるTARのインタビューの受け答え、
会食中の会話、指揮や作曲を勉強する学生へのアドバイスなどなど。
監督・脚本のトッド・フィールドが音楽、特にクラシック界の博識や
見識が散りばめられて、
特に既に亡くなった指揮者や生きている音楽家の実名がバンバン
挙げられて興味は尽きませんでした。
(この辺りあまりに高尚な話について行けない部分もあり、
・・・寝落ちして首が何度か落ちました)
でもこの音楽界への提言がトッド・フィールド監督の一番言いたかったこと
なのだと思います。
指揮者であるTARのリハーサル風景。
このリハーサルは実に本格的で、ケイト・ブランシェットの手の動き、
指示の出し方など本物の指揮者にしか見えない程成りきっています。
そして流されれ名曲の20秒程のフレーズの断片が震える程美しい。
「もっと聴きたい、もうちょっとイエ永遠に聴いていたい」
その飢えと渇き。
それが更にTARの神秘性を盛り上げていくのです。
(でもエルガーのチェロ協奏曲はせめて1楽章ぜんぶ聴きたかった)
そして持ち上げるにいいだけ、持ち上げて、
今度は落としにかかります。
TARはパンデミックのため【マーラーの9つの交響曲の全曲録音】を
4曲完成したところで中断していました。
1人の指揮者がマーラーの交響曲9曲全てを録音した例は未だかつて1人も
いないのです。
TARですら、畏れと不安に慄いており、ナーバスになり周囲に
キツく当たります。
まず高齢のセバスチャンを解任し、
ソロのチェリストを楽員の中からオーディションで選ぶと言って
総スカンを喰らいます。
美人女性チェリストへのへのエコ贔屓。
(全ては天才の我儘・・・そう言って許されれ時代ではないのです)
悪いことは更に更にエスカレートしていきます。
絶望的な出来事。
若手指揮者のブリスタが自殺してしまうのです。
今までの追い風は猛烈な逆風になってTARを襲います。
多くの女性にセクハラをしていた。
もともとからのパワハラに加えての複数のセクハラ行為。
TARは妻のシャロンに嵌められたのでしょうか?
告発の動画やメール。
TARへのデモ行進・・・仕事を降ろされ・・・
暴漢に襲われて負傷、
住むマンションも体よく追い出されて住処も失い、
行く先はベトナム?
(幽玄の滝と川の流れ・・)
本当にセクハラがあったか?なかったか?
それは真実か?捏造か?罠か?
具体的な描写が殆ど無く、伝聞証拠のようなもの。
SNS社会の怖さとも重なります。
もう真実は私には分からない。
TARは奇跡の天才・楽聖であり続けてほしかったです。
(それでは映画は面白くない?)
この映画を観て、
この映画の主人公TAR。
存在しない筈の架空人物の哀しいまでの才能に
戦慄と羨望を覚えました。
この映画を制作したスタッフ・監督・脚本家・音楽とクレジットされている
チェリストで作曲家のヒドゥル・グドナドッテル、
そして誰よりこの難役を軽々とこなした異才
ケイト・ブランシェトに敬意と感謝を捧げます。
(ところで、ラストの意味は?)
《地球なTARには狭い?》
【男前‼︎】
男前ケイト・ブランシェットがぴったりハマり役。天才肌故の自惚れと脇の甘さから、周囲との軋轢と孤立に堕ちていく様を素晴らしい演技力で魅せてくれる。
旧態依然とした男社会のクラシック音楽業界に、レズビアン設定他も、不寛容な社会へのアンチテーゼとして描かれている。底辺からの再出発で新たな境地を見出すラストも◎。
158分ある上映時間のほぼ全てがケイト・ブランシェットにフォーカスしたカメラ、些細な生活音に過剰に反応する演出も、作品展開上キーポイントになっていて、ホラー的サイコパス的で面白い。オーケストラの演奏含め音響の良い映画館で観るのが正解の作品。
アクアリウムシネマ(癒し無し)
前半戦、眠気にやられたので再度観直さないとならない。んームズい、というか自分のアタマが色々理解に追いつかない。
家で観るべきでは無いかも? 自分なら途中で止めてしまうから。映画館でひたすら集中して鑑賞することが得策。
ケイト・ブランシェットは本当に美しいです。ケイト・ブランシェットをただひたすら眺め続けた、癒しの無いアクアリウム映画でした
映画にする必要はなかった。
ひとり芝居で充分だった。
ケイト・ブランシェットは良かった。
シャロン、フランチェスカ、
ペトラ、そしてオルガ。
脇が全く機能していない。
それぞれ芝居は上手で、
なんとなくリディアの事を、
それぞれ考えているのであろうことは伝わってくるが、
リディアの崩壊に(または、
それを食い止める役含め)、
どう機能させるかを、演出できていないのは致命的。
素晴らしいキャストが集まっているのにもったいない。
シナリオというより、
演出というか、
リディアに頼りすぎ。
もともと、シナリオには、
オーケストラのシーンが、
多かったのかもしれない。
それぞれとの関係を、
コンタクトを振るターで、
魅せることはできたかもしれない。
コロナ禍での大人数での、
撮影の大変さは身に沁みて共感できる。
シナリオの流れを考えると、
ラストの意味を多様に解釈することは困難。
クライマックスは超長回しで渾身の指揮!
と思ったら
クビになってわざわざ正装して、
晴れ姿を捉えるカメラアングルで
後任の指揮者にここはワタシの居場所よー、
と浴びせ倒すんかい!
最初の自己紹介、そして学生を追い詰める
この長回しには恐れ入りました。
それだけに上の描写には参った。
全体の演出としては、
更迭されたところもハッキリ説明してないし
わざと曖昧にしているが
ケイトブランシェットの熱演なら
明確に状況を表してもよかったんでは
ないでしょうかね。
70点
4
イオンシネマ草津 20230531
えー!面白かった???
「エブ・エブ」とアカデミー賞を争った「ター」。
「エブ・エブ」が(私にとって)面白くなかっただけに、こりゃ「ター」は絶対見なきゃ、
いくらなんでもこっちは面白かろうと、いそいそ見に行きましたが・・・。
えー!
面白かった??
えー!
なになに、あのメトロノームのイジワルとか、誰の仕業だったの?
えー。
えー……。
あんまり面白くない映画でした……。
演出・脚本で評価される作品
この作品は、その内容が面白いというよりは、演出・脚本へのこだわりに対する評価が高いものと思われる。そのため、一度ではなく(演出を理解した上で)二度見た方が(よりその細部を掴み取ることができて)面白いということなのだろう。
そのため、パッと見で面白いものではなく、ある程度の玄人向け作品である。
現実と幻想のハザマの妙
トッド・フィールドがケイト・ブランシェットありきで作った脚本ということがよく分かります。彼女以外にリディアは演じられないだろうし想像もできない、ケイトとリディアの区別や境界が不明になる時、作中の現実と夢の世界の区別というか現実に引っ張られる夢、夢から現実に戻る時、狂気と冷静、論理の関係などノンフィクション(フィクションなんですが)とファンタジーの間を感じた時、自分は浮遊感にとらわれたような不思議な感覚になっていました。何より、これはノンフィクションだったっけ?という分かっているのに騙されるような、そして、それを楽しむような作品の作りに脱帽です。
面白かった点
・あらゆる社会問題の無理ない詰め込み。それを拾っていく作業がなかなかに面白いし、それが大小問わずに鍵となっていること。
・何よりケイト・ブランシェットの演技は称賛されるほどに素晴らしいのだが、他の役者も現実じゃないかと錯覚させるほどの出来。
・そして最も素晴らしいのは「音」。オーケストラパートは当然だけれども、会話や生活音だったり「ノイズ」だったりの聞こえ方、活かし方が絶妙で物語の重要なパーツであることに気付くはずです。
残念な点
・編集にはひと工夫欲しかった。場面場面のつなぎ合わせが雑なのかなんのか断絶を感じ、一瞬、話の流れについていけなくなる。
・物語の導入。音が聞こえにくいし、エンドロールを最初に持ってきているのだが字が小さすぎて分からないw
2023年のアカデミー賞はこちらの作品こそ相応しいんじゃない?というのが結論です。
もしも〇〇が女性だったら〜、のワンアイデア物
これ、有名指揮者でも、有名監督でも、有名経営者でもなんでもいい。
ストーリーが凡庸。主人公が男だったらよくある話で、それが女性になったからといって面白いとは思わない。いろんな伏線回収の描き方については長すぎてどうでも良くなった。期待したラストも「そうなんだ〜」位。
見どころは主演女優の圧倒的な長回しワンカット。
不気味でやるせなくて切実なのに元気をもらえる映画
ホラー的な描写も駆使しながら、描いているものはとても複雑で切実で普遍的な絶望とそれを生き抜く力強さのようにも思えた。昨年のアピチャッポンの『MEMORIA メモリア』を思い出し、ターがアコーディオンを弾く姿はフランシス・F・コッポラの『カンバセーション 盗聴』を想起させる。
想像以上に難解な映画でした
予告編を観たところ
この指揮者が
高みを望むばかりに壊れていく様が
単純に描かれていくんだろうなあ
という感想を抱きました
よって
何も予習することなく
怖いもの見たさに
ケイト・ブランシェットの演技を観に行きました
が
本作品
単に主人公が壊れる話だけではなく
人間模様、その描き方もも複雑怪奇です
私、観ながら
少し置いて行かれてしまいました
本作品
一指揮者が壊れていく姿を描くだけでなく
登場人物も結構様々な絡み方してきますので
少し予習をしてから
観ることをオススメします
頂点が登れる山は無い
公開から4週間が経って、ようやく見ることが出来ました。レイトショーばかりはやめていただきたいな。しかも、160分近くあるんだし。ケイト・ブランシェットがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたということで鑑賞したのだけど、なんで受賞しなかったのか意味わからないくらい、凄かった。これで取れなかったらいつ取れんの。
音楽界の専門用語や独特な言い回し、息が詰まる長ゼリフにノックアウトされそうだったけど、何とか持ちこたえた。人物関係が難しく、顔と名前が一致せずに終わってしまったが、言いたいことは至ってシンプル。トップに立つ人間は、前も後ろも見ようとも、更なるところに登ることは出来ない。ひたすらに孤独で、生きずらい。あまり描かれることの無い人物像ではあるが、実在の人物を元にした訳じゃないの?と疑うほどリアリティのあるキャラクターだった。冗長ではあるけれど、主人公の栄光と奈落への道をしっかり描いており、一瞬眠気に襲われるけど、すぐに引き戻される。
こんなにも異様な主人公、脚本だけ読んだら実写化不可であろうと思うはずなのに、ケイト・ブランシェットは見事に落とし込んでいた。なんと言葉に表したらいいのか分からないが、間違いなく彼女の演技は“頂点”であり、憑依を超えた一体感であった。ケイト・ブランシェットが役者であることを忘れそうになるほど、強烈で破滅的。もう1回アカデミーに提出し直して欲しい。今からで遅くないから(遅いけど)、彼女にオスカーを与えて欲しい。呆気に取られる、ハイレベル過ぎる表現力。ここ10年のアカデミーノミネート女優で最高峰である。
作品から鳴り響く、不協和音。
奇妙で恐ろしく、ある意味ホラーのような本作は胸にぐいぐい刺さる。隣人の話だとか、娘の話だとか、こんだけ時間があったら上手くストーリーに絡めることも出来たろうに、なんか雑に片付けられていて勿体ない。音楽と演出の良さは他の作品と比べても群を抜いているが、そのせいか脚本の投げやり感が際立っている。味はいいのに、盛り付けが下手。もっと面白くなったような気がしました。
楽しい!面白い!という訳では無いけれど、すごく心に残る作品。味わい深く、見応えがある。長尺のためにハマるか不安だったけれど、なかなか好みな映画でした。公開終了間近になってでも、意地になって映画館で見てよかった。いい体験させてもらった。
ちょっとリアリティありすぎで…
本当に恥ずかしい話ですが、何の知識も持たずこの映画を観て、こんな女性指揮者がいたんだーって普通に思っていました。
それぐらいセリフ回しや設定がリアルすぎて、完全に騙されました(本当に恥ずかしい話です💦)
もちろんTARという人物になりきっていたケイト・ブランシェットもすごかったのですが、この音楽誌並の専門的すぎる脚本を書き上げ、そこにLGBTQの設定も組み込み、さらにはイジメや自殺、ナチスの話や宗教的価値観の相違などドイツならではの話題も散りばめながら、クラシック界の古き体質にもメスを入れ、1人の女性音楽家の人生を実話のように描き上げたトッド・フィールド監督に感服しました。
さらにエンディングでアジアの民俗文化に触れたり、ゲーム音楽のような収録シーンなどを取り入れたりする部分にもトッド・フィールド監督のセンスの良さと見識の広さを感じます。
見終わってからゾクゾクした映画は久しぶりです。
LGBT
1回観て良く分からなかったから、2回観た。
でも、良く分からなかった。
全体的にLGBTを意識するような作りになっていたと感じたのは自分だけだろうか。
でもケイト・ブランシェットの演技は凄かった。
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