「やっとやるべき事をやったか」サンダーボルツ* くめいさんの映画レビュー(感想・評価)
やっとやるべき事をやったか
しばらく低調だったMCU。『キャプテンアメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド』が結構面白かったので2作続けば『量より質』に真実味が出てくるかと鑑賞。
結論として……感覚としては良。しかしながら中身を反芻して考察するに良作から凡作の間くらいかな? といったところ。
以下個人的な論考。
『アベンジャーズ エンドゲーム』以降のMCUが面白くなかった要因として個人的に感じていたのが『キャラクターに共感できない』というもので、端的に言えば共感すべき人間味に乏しい、という感じ。
アイアンマンであればエイジオブウルトロンの原因を作ったり、スパイダーマンであればノーウェイホームを引き起こしたりという失敗をしたり、人間を超越したスーパーパワーを持つヒーローの人間的な限界やそれに起因する失敗は観客が共感しやすく、魅力的な人物像を作ると思う。
今作はまさにその弱さやトラウマが焦点になっていて『誰だっけ?』っていうキャラクター達を魅力的に見せることに成功していたと思う。欠点があるとすればクライマックスが内面世界での説得に終始したので中盤迄に比べるとアクション的な迫力に欠けた点だろうか。
ただそこ(トラウマを焦点にした構成)を評価するなら全員分が見せられなかったのは片手落ちだし、観客にとってもっとも共感しやすいトラウマであろうボブの家庭内暴力が見せつけられないのは勿体なかった(もしかしたらディズニー的な限界かもしれない)。
『話がダーク/シリアス過ぎてマーベルっぽくない』という意見も見られたが、明るく楽しい路線の上にあるのが『マーベルズ』で雑にその失敗を処理されたキャプテン・マーベルの例だろう。少なくともこの点においてあれが正解とは思えない。
方針は良く、中身も上記の瑕疵はあるものの概ね良好。★4でも良いのだが、『タスクマスターあんなにあっさり死ぬ必要あった? セントリー戦でもよかったんじゃ?』『敵がセントリーである必要は?』という2点がすっきりしないので少し減点。後の作品で納得させてくれたら良作に一歩踏み込めるかも。
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