劇場公開日 2022年11月18日

  • 予告編を見る

「華やかではないが味わい深い」宮松と山下 moroさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5華やかではないが味わい深い

2022年12月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

香川照之がエキストラ俳優役で主演という設定にひかれて、それ以上の事前情報は入れずに観ました。

妙な違和感のある、座りのわるさを感じる冒頭でしたが、物語の終盤では感じなくなりました。
記憶をなくした主人公の不安定さを演出していたのでしょうか。

全体をとおしてセリフが少なく派手な演出もなく地味です。
その分、役者さんの佇まい、仕草、視線のひとつから多くのことが感じとれるようです。
映画館から自宅に帰ってからも、彼のあの表情は……あのときの彼女は……と思い返すことができるほどそれぞれが印象深いです。
香川照之を始め、役者陣が彼らでなければ表現しきれなかったのではと思わされます。

鑑賞後に今作に関するインタビュー記事を読みました。
監督集団5月が掲げる「手法がテーマを担う」という言葉のとおり、主人公宮松のエキストラ俳優としての日常シーンはおもしろく新鮮な体験でした。

脚本に物足りなさは感じますが、監督集団のポリシーを理解するとなるほどなとも思います。
見せ方がおもしろく、なにより役者陣の演技がよく、とても味わい深い映画でした。

コメントする
moro