「負の連鎖版『母なる証明』」ドライビング・バニー regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
負の連鎖版『母なる証明』
前科歴がネックとなって子供達と離れ離れに暮らす母親が、なんとか一緒に暮らそうとするも…という負け犬の再起を描くヒューマンドラマだが、本作の根底にはニュージーランドにおける社会弱者の厳しい生活事情がある。それに比べれば、まだ日本はマシな国なんだと思える。
やはり家庭環境に苦しむ姪とともに子供会いたさに奔走するも、それが暴走に変わってしまう負の連鎖。ただ、確かに彼女の立場には同情こそすれど、行き当たりばったりなその行動を「運が悪かっただけ」と解釈するにはちょっと無理があり、ラストの顛末もまぁそうなっても仕方ないよなと思わざるを得ない。やはり暴走する母親を描いた『母なる証明』と比べると、こっちは悪い意味で共感しづらかった。
あと、プロット的にスピルバーグの『続・激突!カージャック』とダブるが、『カージャック』で人質にされた警官が、本作では家庭支援局の職員に相当。彼女の存在が唯一と言っていいほどの救い。
『ドライビング・バニー』という邦題からロードムービー色が強いと思われがちだが、ハッキリ言ってその要素は薄め。
コメントする