「疲れるループ」MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない ジュリエッタさんの映画レビュー(感想・評価)
疲れるループ
面白かった。
超低予算なのにアイデアで頑張っている映画は好きだ。
舞台は99%舞台のオフィス。通常なら見飽きてしまうシチュエーションな上に
同じシーンを繰り返し流すので演出には気を使ったんじゃないかな。
毎日泊まり込みの1週間を気付いてないならともかく会社行くの辞めちゃうだろうなあ。
しかも吉川さんは気付いた途端繰り返しやれば資料のクオリティが上がると
何十回も資料を作り続ける仕事ジャンキーでめっちゃ怖かった。
でも繰り返し訪れる彼氏との破局は回避できず。
転職先の憧れの社長は憧れだったから良かったという人で繰り返し起こる
1週間が結局は仕事内容より人との関係であることに気付かされるんだけどね。
しかしこの1週間どのタイミングで終わるかが重要なんだけどその深刻さがイマイチ
書かれていないんだよね。
結果はハッピーエンドなんだけど、吉川さんが失敗した週を
次回の週に持ちこそうと言って他社員に白い目で見られていたけど、
いい1週間で終わりループの終了になるか悪い終わりでループの終了になるかで、
ループ終了後の残りの人生がスタートしちゃうわけだからこの1週間は完璧に終わらせたい
という気持ちはわかるからね。
タイムループの原因が不調の描きかけの漫画というのはなんか微妙だよね。
人の思いがループになるってイマイチ説得力がないからさ。
漫画とループの内容がちょっとリンクしているのは良かったけれど。
そういえば漫画の内容もちょっと良かったよね。
夢を叶えるために前回上手くいかなかった事を踏まえ違う手を打つけど上手くいかず。
何度も人生を繰り返した結果、地味だけど小さな幸せを掴んでささやかな人生を送った漫画の中の主人公はそれで満足して人生を終わらせる。
何度繰り返したかわからないけど流石に400年くらい生きたわけだし、大体はこれ以上はやることがないと思っちゃうか無駄に悟りを開いて無気力になりそうではあるけど映画の主人公の吉川さんの1週間となぞられてた。
漫画の原稿をみんなで完成させ部長の想いを成就させようとすることで、
社員達というか吉川さんがその漫画を読むことで本当の幸せとはどういうものか
考えさせられた結果がラストに繋がるのかなと。
考えは人それぞれだけど、高望みの夢に必ずしも幸せがついて来るものでは無いし、
昨今のステレオタイプの音楽や映画などでは大きな夢を持つことが何よりも大切と訴えているけれど、本当の幸せは日々の小さな積み重ねにあるという事を気づかせてくれるものは少ない。まあ、そんなことが読み取れるんじゃ無いかなと。
意外と深いのかもしれないけど登場するキャラクターの面白さや展開が退屈しないよう
気配りされて軽い感じになってたけど面白くていい作品だった。