「Jumpin' Marsh Girl KYA」ザリガニの鳴くところ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
Jumpin' Marsh Girl KYA
小学校高学年の頃、川縁でアメリカザリガニ獲りが流行っていた。捕まえて水槽に入れて飼う生徒もいたけど、無残に殺してしまう奴もいた。今思い出すと、小学生の残忍性しか感じられないけど、危険外来種と教えられ、戦争でアメリカに敗れた日本人の復讐心がザリガニに向けられたのかもしれない。そんな少年時代。ザリガニが食べられるものだとは知らなかった。
爆竹とともに爆破させられたザリガニ。殺した理由は少年がゴジラ映画の見過ぎだったせいかもしれません。エビラなんてエビというよりザリガニっぽかったですもんね~。大人たちもよく言ってました「ザリガニなんて汚いもの触るな!放射能に汚染されてるかもしれないんだぞ!」と。いや、それも映画の見過ぎですね・・・まぁ、とにかくザリガニに関する記憶はこんなもの。それが「鳴く」というのも驚きでしたが、「sing」だって?!
さて、そんなザリガニ。映画には登場しませんでした。せめて鳴き声だけでも・・・と思ってたけど、ストーリーにのめり込み過ぎたためラストまで忘れてしまってました。まずはmarshとswampの違いなど、英語の勉強もさせてくれたこの映画。俳優たちの発音もチェイス(ハリス・ディキンソン)聞き取りやすく、わかりやすい。そして、子役たちが皆良かった。もちろん弁護士役のデビッド・ストラザーンの演技も最高。
主人公カイアの語りから、いきなりの変死体発見シーン。女ったらしのボンボンなんだから、誰でも殺意持つやろ!的な被害者。事故死かもしれないけど、それじゃストーリーが面白くない。どうせなら『スタンド・バイ・ミー』のように子どもたちに発見させてやれ的な展開だ。湿地帯にて1人で育った少女というから、もっとオオカミ少女みたいな主人公だと思っていたのに、服装は洗濯が行き届いていて綺麗。しかも、言葉もまともだし・・・。そんな彼女を人間らしく変えたのが兄の幼なじみでもあったテイト。学校に行かない彼女に文字を教え、鳥や魚など小動物の知識を交換したりする。そして恋人同士へと発展。羽根を見ただけで鳥の名前を当てるなんて、鳥マニア必見の映画でもあったと思う。ハクガンの群れのシーンは印象的だ。と、トンビ、ワシ、タカの区別がつかないkossyが言っても説得力なし。
容疑者として捕まったカイア(本名キャサリ・ダニエル・クラーク)に接見する弁護士ミルトン。彼の前で自身の半生を語るシーンと法廷でのシーンが同時進行する。母、そして兄、姉たちが湿地帯の自宅から逃げていき、ついにDV炸裂の父までもが去ってしまう幼少期。そして、黒人夫婦のジャンピンの店の手助けを受けながら1人で生活した過去。こっそり種やガソリンを渡していたテイトとの再会から恋人へ。そして別れ・・・別れる前に、テイトは彼女の描く絵を出版社に送れとアドバイスをくれた。
数年間また湿地帯の一軒家で一人暮らしだったカイアだったが、目の前に現われたのが胡散臭いチェイス。2人の映像がメインとなるため、そんなに悪い奴じゃなさそう。2人は恋人へと発展。住み慣れた一軒家を守るため滞納していた税金を払わなければならなくなり、思い出したように出版社に描きためた絵を送り、採用される。だけど、チェイスには婚約者がいるとわかり・・・
殺人事件(単なる事故かも)が起きたのが1969年。カイアが誕生したのが1945年。そして判決後から現代にいたるまでの幸せな日々をスピーディに描き、判決の感動も収まらないまま、驚愕のエンディングを迎える。見つからなかった貝殻のネックレスがこんなところに!
それにしても犯人はてっきり生死さえ不明だったテイトかと思っていたのに、そんなラストを持ってくるか!ホタルの話が絶妙に生かされてるなぁ。本当の交尾の誘いと嘘の誘い。まだ他にも伏線になる小動物の話があったかもしれない。再鑑賞する際にはチェックしなきゃ・・・
ストーリーそのものよりも湿原地帯の暗いながらも美しい風景やカイアの描く小動物画の数々が心和ませてくれた。また、音楽も良かった。テイラー・スウィフトの曲もいいけど、エンドクレジットで気になったバンドメンバー一覧で、楽器に「Sea Shell」って項目があった。音楽も要チェックだなぁ♪
All along the watchtower をどこかに挟めなかったかな~町のバーとかのシーンでね。ジミヘンでは派手過ぎ? カマキリは有名で、ギルバートグレイプでも出てきたけど、ホタルは知らなかった。森進一のほう、ほう、ホタル飛んでゆけ~うらみを忘れて飛んでゆけ~てすかね。曲のタイトルは忘れました。