そばかすのレビュー・感想・評価
全132件中、101~120件目を表示
女優陣が素晴らしい
昔ほどではないにせよ、結婚してこそ一人前みたいな圧は今でもあると思うし、誰かと付き合ってないとダメな人みたいな雰囲気は感じる。
そういう感情が希薄な自分は、蘇畑さんの窮屈さに共感した。
脚本が良い、台詞の言葉のチョイスがとても好き。
三浦透子さんは『ドライブマイカー』後の大事な初主演ながら、クセのある役柄を選ぶところが素敵。
前田敦子さんは『コンビニエンスストーリー』『もっと超越した所へ。』に続いて、個人的に当たり。以前なら事務所的にNGだったかもしれない役柄だろうに、独立して自由度があがったからか、とても魅力的な女優さんになってきていると思う。
そして"ミス仏頂面"伊藤万理華さん、今回も良かった。予告編にあった「ダッセー名前だ」のキャラなのかと思っていたら、前半は可愛い妹で、その不安定が素晴らしい。彼女もハズレ無し。
最近の多様性とか結婚観とか扱っているけど、押し付けがましくなく、重くもない良作だと思う。
大共感。親であっても自分の望まない人生を押し付けられたくない。私は映画があれば一人でも生きていけるけれども、確かに何処かに同じ思いの人がいると知ることは勇気を貰えるな。
①シネリーブル梅田は「空中庭園」のあるビルに入っているので、映画館を出た途端、クリスマスでもあるせいか、カップルの長蛇の列。これが世の中のメインストリームの姿なんだな、と思いつつビルを後にした。
②三浦透子が実力発揮、映画を一人で支えられる女優になっている。
“恋愛や結婚なんてどうでもいい”と言うから友達だと思っていた男から好きだと言われた時のリアクションのリアルさには舌を巻いた。
彼女は決して悪くないのにコンプレックスから謝ってしまう気弱さ。男の方も傷ついたかもしれないが、同じ思いを共有できる友達と考えていたのに裏切られた彼女もショックだったろうに…
③私も因習深い田舎に育ったので、親はもとより親戚や周りの人達は「人間は結婚するのが当たり前。結婚していない人間は半人前」と考える人ばかり。心の中では反発していたけれたども、見合いの話がくれば気弱さから断れず何回かしたが結局こちらから断ってばかり(イヤなものはイヤと言えば良かったと今では反省。相手に悪かったなあ、と。何様だと思われただろうなあ。)。40を過ぎると流石に見合いの話も無くなってホッとした。恋愛をしたくなればするし、結婚をしたくなればするからほっといてほしいというのが正直なところだった。色々あったけれど、結局一人で生きていくのが自分にとって一番楽だからそういう生き方を選んだだけ。“一人は寂しいだろう”とか“年取ったら一人は寂しいよ”とか言われるけど、大体「一人だと寂しい」という事自体理解出来ない。そういう意味では変わっているのだろうけど、これが自分だから仕方ない。だから佳純の気持ちはよくわかる。“I know exactly what you feel.” ってところだな。
④佳純とは違う観点からではあるが、マジョリティーから外れた者を許容しようとしない・理解しようとしない世間というものに対してキッパリと物言う真帆も清々しい存在だ。前田敦子がこんな良い女優になるとは思わなかった。
⑤佳純と真帆とで改作した「シンデレラ」の紙芝居、最後まで観たかったな。でも、途中で怖くなって止めてしまう佳純の気持ちもよくわかる。私だったら、今の歳であれば“最後まで行ったれ”と思うだろうけれど、若かったらやっぱり止めるだろうなあ、
しかし、「シンデレラ」等の白馬の王子様ものが{男視線}で、“王子様にめぐりあって(選ばれて)メデタシメデタシで人生が終わるわけが無く、その後の人生の方が大変なんだよ”という真帆の見方は私もいつも心の中で思っていることで全く同感。まあ、おとぎ話に噛みついても仕方ないんだけど。
⑥子供達の親の動揺は分からないでもないが、真帆の父親の代議士候補の言葉には腹が立つ。“多様性は分かるが、子供のうちには先ず基本的な価値観を教えるべきでしょう”って、「基本的な価値観」って何?子供のうちから世の中には多様な価値観があることを教えないといけないんだよ。年取って頭が固くなってから(特に四十過ぎたら死ぬような目にでも逢わなければ変えることは殆ど無理)では遅いんだよ。
私の通っていた小学校は地域がら「同和教育」の授業があって、「日本人が日本人を差別している」という事実というか現実社会にショックを受けて、生まれや育ち、階層・階級、人種、障害、今の言葉でいうとマイノリティーということ等々では絶対に人を差別しない、と強く思った。一応この歳までその思いは変わっていない。
⑦
主人公の生きづらさは理解できるが、「友人に恵まれていないだけ」とも思えてしまう
「普通」とか「常識」とかといった価値基準を押し付けられて、自分の思うように生きられない主人公の姿からは、息苦しさや閉塞感がひしひしと伝わってくる。
特に、その場の空気の微妙な揺らぎを捉えて、人と人との思いがすれ違う様子を的確に切り取った長回しのカメラワークには引き込まれる。
その一方で、時々映し出される主人公の家族の掛け合い漫才のようなやり取りは、重苦しくなりがちな雰囲気を和らげる効果を上げていて、絶妙である。
ただし、男女の友情は成り立つと考えている立場からすると、女性を性的な対象と見なさないで、純粋に友人として接することのできる男性はいると思うし、ましてや女性同士ならば、結婚していようがいまいが、友情は成り立つと思えるのである。
その点、この映画の主人公は、単に、そのような友人に恵まれていないだけのようにも思えてしまい、今一つ、共感することができなかった。
そんなシンデレラもいいじゃない
当事者(かもしれない)として
アセクシャル、アロマンティック、ノンバイナリー、次々と増えるカタカナの分類名がもうよくわからない人に見てもらえたらいい作品が出てきたな、と思い嬉しいです。
私が自覚したのは約10年前、飛鳥井千砂さんの『アシンメトリー』という作品を読んだ時に脳内に稲妻がピカリ。「これだったのか〜!」と今までのすべてに辻褄が合う経験をしました。
それからは佳純のように生きています。まさにあんな感じ。擬態まではしないけれど謎な部分を多くしてカモフラージュ。
結婚を催促されるのは万人共通、好意を向けられたとき相手の望むとおりの「異性愛者の演技」をすればいいのにできずに関係が消滅したり、レズビアンだよねと聞かれるのもまさに実体験。
必要ないし求めてもいない、ただそれだけのことでありながらも、わかりやすい"難"がないと異性(同性)のパートナーがいないことがなぜなのか、興味を持たれて解明しようとされてしまう。とはいえたったひとりで荒野で生きるわけにもいかず、人間社会で生きていくには自分がどういう人間かわかってくれる人が多い場所を自分で作るしかないんです。
この在り方に寄り添ってくれる作品が出てきたのなら、それもまた良いことなのかなと思いつつ、映画と同じくまだ答えは出ていません。
理想は『千と千尋の神隠し』に出てくる銭婆のような穏やかでひとりでも大丈夫な老後。
さて、そうなれるのか、一寸先は闇の人生になりそうだなと思います。今アセクシャルやアロマンティックを自覚している人も、もしかしたら違う人生を歩むかもしれない。性自認とは難しいものです。
全体的に書き言葉なところ、ちょうどいい存在がポンポン出てくるところが引っかかってしまい、佳純が保育園で働く描写もちょっと微妙だなと思いつつ、恋愛や婚姻、生殖、生命を育むことを拒絶しているわけではない、というスタンスの説明には最適だったのかもしれません。
あの作品はまあ、上映環境がわかった時点で引っ込めて普通のやつを出しますね、私なら。その方がリアリティがあったかも。
マジョリティの否定ではなく、ただそっとひとりで生きていくことはできるし、案外歴史や文学の中に同志らしき人たちがいるんですよね。
とにかく、鑑賞できてよかったです。
あちらこちらに自分のような人間を代弁するキャラが出てこなくてもいいとは思っていますが、あるとやっぱり嬉しい。製作していただきありがとうございました。
人肌に触れたい と思わない人もいる
みんな違ってみんないい
俳優はもちろん、テンポ感や、笑えるところもある演出は巧みで非常に良...
走るトム、走る三浦透子
そんなに大きな出来事があるわけでもない。どちらかといえば、日常の延長なのに引き込まれてしまう。押し付けがましくない脚本が三浦透子の魅力を引き出しているようにも思えるし、自然体で演じることができる三浦透子と物語がマッチしているようにも感じる。
性や恋愛に関しては、成年同士であれば自由でいいんじゃない。というのが僕のスタンスですが、積極臭かったり、性的マイノリティだけの物語だと違和感を感じる。『そばかす』は、その辺のバランスがいい。
トム・クルーズの『宇宙戦争』をダシに使うなんて、なかなか面白い。走るトム、走る三浦透子。
三浦透子の透明な歌声が聞こえてくるエンドロールは、誰も立とうとしない。そりゃそうだよね。
婚活をしない一人の女性の生き方を描いた結構笑える邦画。 本年度ベスト。
三浦透子さん目当て。
過去に観た赤いSAABの運転手役の作品も良かったけど、それ以上に本作は良かった感じ。
彼女が演じるのは恋愛感情を持てない三十路の佳純。
妹は既に結婚もしており妊娠中。
母親から早く結婚しろと言わる始末。
昔、女友達が親から同じよ様な事を言われ機嫌が悪いと愚痴っていたのを思い出す(笑)
これって「あるある」なのか?
気になるところ。
周りを固めた役者さんも良かった、最近観た4組のカップルを描いた作品の前田敦子&伊藤万理華さんコンビも登場。
この二人のポイントは高目。
ラーメン屋のお兄さん。
最初は佳純の良き理解者だったけどちょっと可愛そうだった。
一緒に仲良くラーメン作ってたりしてたのに.....
本作は笑いが多めで微笑ましいシーンも多目。
食卓を囲んだシーンでの喧嘩のシーンが笑える。
お父さん!そこで肉喰うの?(笑)
ラストは吹っ切れた感じで、これからの佳純を応援したくなった感じ。
北村匠海さんが友情出演。
誰が友達なのか?
気になりました( ´∀`)
こんないい映画、見逃してなるものか❗️
今年の快速(快足)No.1女優は『メタモルフォーゼの縁側』の芦田愛菜さんで決まり、だと思ってたのですが、年末の土壇場で、三浦透子さんが飛び入り参戦してきました。
しかもそのスイッチを入れたのが、三浦さんと同様、演技も歌も魅力的な北村さん。あ、有起哉さんの方ではなく、匠海さんのほうですよ🤗
(有起哉さんの『週末の探偵』も見たいのですが、いかんせん上映館も回数も少ない❗️)
トム・クルーズはいつも走っているけど、『宇宙戦争』は何かに向かって走るのではなく、ただ逃げるために走っているのが、私は好きなんです。
あ、何を言ってるのか、分からないですよね?
いえ、分かります。僕も同じだから。
世の中の〝一般的なこと〟とか〝常識〟に対して、生理的な違和感を持ち続けているけれど、そういうものを抱えて生きている人が他にもいることが分かるだけで、自分も生きていける。
そういう緩やかでフワッとした共感は、その距離感のままそっとしておいて欲しいのに、〝一般的に正しい〟側の人たちは、絆とか連帯感とかの文脈で理解したがるし、時によっては、結婚のような制度的な枠組みに嵌めたがる。
パーソナルスペースの観点で言えば、恋愛や性的関係は、密着して半径ゼロメートルの時があるし、親しい友人同士なら、半径1メートル程度までの接近はあり得る。性的嗜好は人それぞれとしても、自分の呼吸が息苦しく感じる他者との距離というのは、やはり厳然と存在するから、横に並んで座りたくないことも当然あるはずです。
人生のパーソナルスペースが確保できていれば、人はそれほど辛くもないし、孤独でもないのに、なぜ放っておいてくれないのだろう。
余韻に浸り、色々と思いを巡らしたくなる素晴らしい映画でした。
【余談というか、素朴な疑問というか…】
合コンに出てきた二人の男性。
こういう映画では、やや誇張されたステレオタイプのように見えなくもないですが、総じて、一見すると内面的に孤独や孤立状態の主人公の対極として描かれることが多いと思います。あのタイプの彼ら彼女らは、友達も大勢いて(実は表面的な友情だったことが終盤に描かれることは多いけど)、孤独とか友人が少なくて寂しいとは、思ってないのでしょうか。
もし、その人間関係の実相に気付かないまま年老いていくのだと想像するととても恐ろしいことだと思います。
若いうちに孤独感やその淋しさを経験すること、そしてそれはどういうことなのかを考える機会を得ることは長い人生をより豊かに過ごすためには、とても大切なのだとあらためて感じました。
映画を見たり本を読むのが好きな人は、ほとんどの人が、ある時期、或いはずっと、この映画の主人公のように、それでも(ひとりでも)生きていける、と思ったことがあるんじゃないか。別に強がりとか意地を張って、ということではなく。
そんな気がするのですが、違うかな?
トムクルーズの代表作は宇宙戦争
結婚バイアス
バリバリのバリバリのバリバリ
恋愛感情や性的感情の30歳の女性が、新たな出会いの中で理解されない自身についてのことについて考える話。
妹が結婚し妊娠する中で、結婚が全てみたいな思想の母親からプレッシャーをかけられる主人公が、無理やりお見合いに連れて行かれたりする中で、なかなか言い出せない自分のことに葛藤したり理解してくれる人と出会えたり…。
ちょいちょいコミカルな描写も絡めつつ、多様性ってヤツを投げ掛けてきたりするけれど、押しつけがましく無いのがとても良い。
父親との関係の見せ方はほっこりするし、シンデレラはまあ時代背景を考えたらそうなんだけど、え作り替えたものもなかなかなか面白いw
議員候補は公にそれ言ったら今の時代大炎上ですよ!
やけに劇場が混んでいて、ドライブ・マイ・カー特需?とか思ったけれど、始まってみたら三浦透子の表情の変化の素晴らしさになんか納得した。
…個人的に宇宙戦争の良さは理解できませんけどねw
テーブルゲーム筐体が懐かしかった。
全132件中、101~120件目を表示