「大地も乾けば人の心も枯渇する」渇きと偽り regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
大地も乾けば人の心も枯渇する
まず、舞台となるオーストラリアの年間の平均降水量が、日本の3分の1しかないという事情に驚かされる。そんな干ばつに喘ぐ町で起きた2つの事件を描いていくわけだが、とにかく町の人物が“干上がって”いる。それは主人公が抱える過去の疑惑に対する仕打ちとなって表される。
主人公が現在起こった無理心中事件の解明をしながら、彼が大きく関わっていたとされる未解決事件のフラッシュバックに苛まれるが、観ていて正直、随所に挿入されるこのフラッシュバックが煩わしく感じなくもなかった。もっとも原作でも、現在の展開と過去の回想が入れ子構造で進むので、止む無しといったところか。
物語が進むにつれ、どの登場人物に次々と不審な点が出てくるという展開は推理サスペンスならでは。確かに事件の真相は意表を突かれなくもなかったけど、ちょっとアッサリ目だったかなと。あと、よくよく考えてみると死体の検視が雑すぎないか?とも。ただ、過去の事件の真相が判明するラストは、原作よりも余韻がある流れになっていて良かったのでは。ドンパチやアクションがない点は好みが分かれそうだけど、秋の夜長に観るにはいいかもね。
なんでも同じ主人公が登場する続編も製作されるとの事だが、次は思い切りドンパチ満載になってたらどうしよう。
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