「甘いしゆるい。」はだかのゆめ sayuさんの映画レビュー(感想・評価)
甘いしゆるい。
すぐれたショットがいくつかあるにはあるが、全体に考えが甘く構えがゆるい。もっとも甘いのはいちいち音楽を流すことで、その選曲も正直ついていけない。ベテランが手がけた音響そのものは立派なので、要するに演出側の問題。死の物語なら、沈黙の響きがもっと大切なはず。
照明は最後までぱっとせず、予算をかけられない今の日本映画の象徴という感じ。列車の音や波の音をとつぜん断ち切る編集も調子にのって繰りかえし過ぎていて、いやあ甘っちょろいなあという感想しか浮かばなかった。本来、新聞や映画雑誌の映画評では、こういうテクニカルな問題をきちんと見抜いて指摘するべきなのだ。
センチメンタルなわりに覚悟に乏しい溜息のような映画づくりは今の日本映画の小さな流行のようなものだけど、それが海外で通用するかどうかは作品による。これはたぶんちょっと無理じゃないかな。
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