バーニング・シー
2021年製作/105分/ノルウェー
原題または英題:Nordsjoen
2021年製作/105分/ノルウェー
原題または英題:Nordsjoen
水中ドローンを開発してるソフィアと同僚のアルトゥル、ドローンはまるでウミヘビの様にくねくね。撮影用かとおもったらノルウェーに本社を置くEelume社が実際に作ったドローンだそうです、沈んだ救命艇を救うとか、もっと活躍するかと思ったが地滑りを起こしている海底調査程度でしたね。
北海の海底油田は膨大な採掘量、採掘中の掘削リグが倒壊、救助に向かった石油会社のマネージャー、スティアは抗弁を手動で閉じようと地下に降りるがリグが崩壊、恋人でもあるスティアを救おうとソフィアと同僚のアルトゥルがリグに向かいます。
政府の対策本部では原油流出の被害予測がノルゥエーの西海岸全体10万平方キロを汚染、水辺が元に戻るには100年はかかるとのこと、そこで原油の爆弾投下による焼却という非常手段。燃え盛る原油が迫る中ソフィアたちは救命艇での脱出をはかりますが切り離しに失敗、アルトゥルは自らを犠牲にしてソフィアとスティアを助けます、実に心が痛みました。
ちょっと社会派ドラマ風のセリフ、石油業界の緊急管理者であるウィリアム・リーは「海底崩壊の原因は不明ですが50年にわたる、ガスや海底油田の採掘が穴だらけにした影響したかも」と、また終盤では「我々はノルウェーは石油国家だと思っていた、しかし、我々は実際には海洋国家なのです」と意味深な自然への回顧でしたね。
長年ノルウェー国家を潤し支えてきた北海油田において海底地滑りが発生。メキシコ湾原油流出事故の350倍の被害が予想される事態が起きようとしていた...
海洋調査のスペシャリストであるソフィアは、石油リグで働くシングルファーザーのスティアンと交際を始めて9ヵ月。お子さんとの関係も至極良好。しかしお相手の家のベッドで裸で目覚めながらも同棲には至っておらず、歯ブラシに始まり日用品に常備薬と(場合によってはコーラとハンバーガーも?)全て大きなバッグへと詰め込み持ち歩いて回る生活を続けている。
相棒のアルトゥルはというと、エンジニアとしては超優秀であるが、コミュニケーションに多少不安を抱えている模様。しかし初対面を除き打ち解けてしまえば誰よりもはっちゃける実質コミュ強星人だ。
この遠隔操作ロボットの目を通し少し離れた場所から現場を伺う且つ、石油産業を直接的に支える者たちの少し外側にいる2人のエンジニアを、
石油リグという危険な現場(前線)で働く者たちと、それを比較的安全な場から統括する者たちの両者の繋ぎ役として機能させ、それぞれの立場や主張を明確にすることで、
環境問題への憂慮はもちろん、エネルギー産業が直面している問題、現状生じているまたはこれから生じうる矛盾を省みさせようとする訴えは、繊細に描かれるどの先にも必ずいる個々人の感情の機微も相まってかなり寄り添いやすいものだった。だからといってすぐさま何ができるか、解決策があるのかは別問題として。
「TSUNAMI」(2005)...「ワールド・オン・ファイアー」(2012)...「ドローン・オブ・ウォー」(2014)...「バーニング・オーシャン」(2016)...「THE QUAKE ザ・クエイク」(2018)...「アイス・ロード」(2021)...