映画 イチケイのカラスのレビュー・感想・評価
全61件中、1~20件目を表示
人として面白味のある男、変わり種ではあるが法の前に真っ直ぐ向き合う姿勢が好感!
やっと今週も終わった~の安堵感。
ご褒美に「イチケイのカラス」 を早速鑑賞です。
この作品ですが、TVドラマも毎度見てまして
多分映画化するやろうと思ってました。
観た感想:ちいかわ風に言うと、
これってぇ~地域ぐるみ犯罪ってぇ、ことぉ~
(。´・ω・)?
正月映画の重い大作を連続観た後、
(アバタ-、ラーゲリ、Drコト-、すずめ、スラムダンク等)
七草粥の如く、心に優しく思考を元に戻したい人には
お勧めかな。
(*´ω`*)
イチケイとは東京地方裁判所第3支部第1刑事部の略称の様です。
法廷物ですが、HEROとは違って
判決下す判事側からの視点での話で ちょいと変わっていて
オモシロい。
裁判話って案外好かれなくて(特に裁判官席の人達)
中々理解がされてないのが現実かなと思うわぁ。
判決下す側は 人間身あるのか、ロボットマシンか~って
思うこと多いんだけども。(; ・`д・´)
この作品に出てくる 入間みちお、坂間千鶴を通して
法律って実際どうなん?
その真の役目や関わりを少しでも感じれたらとは思う。
(やっぱ無理か~ぁ (´д`)・・・)
こんな砕けたヤツ(裁判長)居るんか~
(;・∀・)(・∀・) と
生の現場関係者からは声がでそうなのだが、
こう言う作品が出てくるくらい 理解難なんだと
受け止めてはどうか。
でなきゃ 裁判員制度なんか生まれないでしょ。
話展開は、
毎度おなじみの
みちおと千鶴の掛け合いコンビのハチャメチャで
進みます。ほぼこの人達の漫才コントですね。
(それは言い過ぎでしょ (*´ω`*) )
岡山県瀬戸内へと別々に異動していた彼等。
地元企業 運搬船の起こしたイージス艦衝突沈没事故。
この事件を巡って、この地元を支配し有数のグル-プ企業の
顔を暴く。
この街全体が、街の雇用を支える企業が起こす公害に悩み
体を冒されて~ 誰も訴えることが出来ない魔のジレンマから
脱することが出来ず、声も上げられない~
コレをいかに 真実と向き合い晒して行くか・・・
話展開ですね。
いつもなら 職権を発動します~ の名文句で
事件を裁判所主体で色々調べるのに、
民事訴訟では発動せず
坂間千鶴が 汚染証拠発見に穴掘り。
孤軍奮闘で頑張るが
”みちお~ みちお~許さん”の連呼が楽しめたかな。
あと、借家の家燃やされて
行くところないけど、月本の誘いには乗らず
みちお宅へ・・・
みちおと玄関先の攻防やり取りが笑えた。
やっぱり二人仲イイんじゃん。
二人横に寝ながら
法の意味する解釈を語る所が
まあ映画ドラマらしいかなと思うね。
真実を探っていくと 誰もが法的に犯罪加担してて
誰もその間違い指摘が出来ない状態って、
ここの事実だけが 妙にあるあるそんな事ってと
思いましたね。
ここだけの話じゃなさそう、怪しい金の動き。
東北の原発事故処理関係とか、
これってそうなのかも的な・・・。 "(-""-)"
やばそうなのでこの辺でw。
気軽に楽しみたい方は
劇場へどうぞ。
映画人としてやってはいけないこと
安●政権にべったりだったフジサンケイグループがよりによって政府の隠蔽を批判する映画を作るとは・・・と半信半疑で観てみたら、まさかの「死亡した貨物船船長の妻による”イージス艦と貨物船の衝突の原因を政府が隠蔽している”との訴えは事実無根だった」という結末。
これは明らかに、公文書の改ざんを強いられ自死した近畿財務局職員・赤木俊夫さんの奥さんによる懸命の訴えを、あたかも言いがかりであるかのように貶めています。
いやぁ・・・恥ずかしくないんですかね。戦時下でもないのにこんな卑劣なプロパガンダに映画を利用して。もちろん戦時下ならいいという訳ではありませんが。フジサンケイグループにせよ、製作委員会のメンバーにせよ、プロデューサーや監督、脚本にせよ、よく恥ずかし気もなくこんなプロパガンダ映画を作れるものです。映画人としての矜持はどこへやら。全く嘆かわしい限りです。
竹ノ内豊や黒木華をはじめとするキャスト陣も「へぇー、こういうことに加担する人達だったんだ」とすっかり見方が変わってしまいました。大変残念です。
まるで八つ墓村のような不気味さ・・・
味方だと思っていた周りの人達が全員敵で、部屋を放火されたり、
知合いの弁護士が殺されたり。
裁判でもアナタが来なければ、この町は壊れなかったと恨み言を言われ、
仲良いフリしてずっとそう思ってたんだ・・・という人の怖さがあった。
閉鎖的なコミュニティはよそ者には分からない事情がありそう。
そして裁判終わった途端、首謀者の一人が偉そうに坂間弁護士になんか言ってたが、
お前が言うなと呆れてしまった。
感動したり、涙流せる、いい話では決してないと思う。
国家権力との戦い……?
ドラマは欠かさず観ていました。
映画もとても気になっていたのですが、
結局、テレビ放送を、かなり遅れて観賞しました。
予告編からは、タイトルのような
「国家権力に立ち向かう入間みちお」みたいな雰囲気を醸し出していましたが、
内容は違っていました。
でも、全体的には面白かったです。
いろいろ考えさせられました。
地方のちいさな町に大きな工場ができれば、
それに伴う仕事も増え、潤っていたのでしょう。
それが、本社の方針が変わり、閉鎖の危機。
こういう考えに至る可能性もあるのかもしれません。
国も企業も、小さな町は切り捨ててもいいと思っているとしか
思えません。
以前みた「ヴィレッジ」という映画にも通じるものがありました。
「シン・ゴジラ」の記者の会話にもありました。
国はGDPの高い都市から、守っていくと。
日本中の国民同じように幸せになりたいと思っています。
でも現実は厳しいのかもしれません。
今、書き込みながら思いましたが、
国への問題定義してるから、
ある意味、
やっぱり入間みちおや坂間千鶴さんは戦っているのかもしれません。
また、千鶴さんは月本弁護士に恋しちゃってましたよね。
あのあたりも切なかったです。
黒木華さんや、吉田羊さんの演技
好きです。
序破急
竹野内豊さん演じる入間みちおのキャラクターが良かった。
庵野監督と宮藤官九郎監督も出演していたし、どう収束させるのかワクワクした。
結局、フタを開けてみれば皆いい人で世界は美しい。スケールを抑え、権力に抗わない内容。
BGMが大袈裟なのと、終盤の黒木華さんの長尺の泣きのシーンに置いてけぼりをくらった。演技は素晴らしい。
向井理さん演じる防衛大臣は、全然黒幕ではなくガンダムに出てきそうな単純にカッコいい人だった。
そういう悪い人がいない作品も良いといえば良いけど衝撃がなくて残念。
国家権力に⁈
TVドラマ時代から好きな作品。職権発動します!のセリフとともに毎回ワクワクさせられます。
今回は国家権力を相手にいつもの展開。さすが映画版とかなり期待したけど、なんだか拍子抜け。ストリート自体に不満は無いけど、イチケイのカラスらしさが足りないような、結局相手は国家権力じゃないし…
誰がために正義はあるか
判事と若手弁護士が刑事事件の捜査に乗り出す。
弁護士役黒木華の落ち着いた演技は見応えあり。竹野内豊との掛け合いもフフッとなる。
熱血あふれる弁護士が奮闘すればするほど、街の崩壊を招く━━。
正義は誰のためにあり、誰が受益するのか。
がむしゃらに突き進むフレッシャーズ労働世代に対し、広い視野で世間を眺めなさいとのメッセージに感じた。
シリアスなテーマをコミカル演出
水俣病のような工場排水の公害問題を追った社会派ドラマなのに、無駄なセリフに不自然な涙や笑いを塗せてエンターテインメント化を図ろうとした演出はまさにフジテレビらしいがふざけすぎ。庵野監督友情出演らしいが本筋とは無関係な居眠り裁判官役、なんじゃこりゃ。
公害問題と言えば悪役は利益優先の工場側と決まっているが本作では地元の住民が隠蔽の張本人という、なんとも後味の悪い設定。
竹野内豊と斎藤工に似たような髭をつけたメークのせいでどっちがどっちか紛らわしい、前半は国家権力に逆らったせいで裁判官から弁護士に転向かと錯覚した、なぜ似せる必要があったのでしょう。
前半で謎をばらまいて後半で伏線回収というのはサスペンス物の王道だが無駄に長い印象、おふざけなしのリアルな演出で観てみたかった。
町はどうなるのさ
ラストスパート周辺がどうしても違和感…
町ぐるみの不正を暴いてその後 住民は職にあぶれ、ほとんどの人が廃業に追い込まれるんでしょ?
その補償やその後の人生が気になる
住人全員の弁護を受け持ったところで個人の少しの足しにしかならへんやん
映画だからなんとなくハッピーな方向性やけど、
現実なら千鶴 一生誰かに恨まれるエンドやろ
まぁ入間や千鶴ならその後の住民の再起に最後まで力を入れてくれそうではあるけど、特にそんな描写はないしな
田舎の閉塞感から生じるほころび。
岡山の田舎の一大企業の環境破壊と、田舎での生活を守る人たちの複雑な思いを軸に裁判を通してそれが明らかになっていく。
田舎で大きな企業があると、そこで問題になったことはうやむやにやってしまうことがある。そこに関わっている人たちや家族の生活、それによって潤っている町。
その闇にメスを入れるとしたら、その先のことを考えていかないといけない。
まぁ2時間ドラマでもいいかな。
船の衝突と大臣のくだりがかすむのはなぜだろう。
型破りな
ドラマを観たことが無かったので、キャラクターやどういう設定とかも知らなくても楽しめました。
弁護士と裁判官が事件の真相に迫るという物語。
本来なら裁判官というものは、検察と弁護士と間で事件の立件を基に判決を下すというのが一般的である。
この物語は、裁判官が「職権を発動します!」と言い実際に事件が起きた現場の調査に乗り出します。
今までに見たことない裁判官のストーリーだなと思いました。
キャラクターの部分は、映画だけを観てしまう人だとなんとも物足りなさを感じるので是非ドラマも観た方がいいのかもしれないです。
物語は、岡山を舞台に二つの事件が絡み合い大きな国家をも関係する事件に発展する事になる。
それぞれの役所の展開もよくて、キャラクターの描写がもう少しあると感情的に入り込めると感じました。
いい意味で裏切られまくる
え?実はコイツ裏切り⁈
な展開も多々でいい意味で裏切られまくる。
それぞれの正義があって罪を犯してしまう。
事件詰め込み過ぎな映画も多いけど、いい具合にそれぞれが繋がってて面白いとおもいました。
ドラマの時からヒーロー感が否めなかったけど。
ヒーロー×女神の教室×うちの弁護士は手がかかると合作でドラマやってくれないかなぁ。笑
リアリティゼロ。
早送りして観た。国の為に戦うのは理解出来るが、故郷を守るために犯罪に加担する、という思考回路には付いていけず、リアリティが全く感じられない。テレビドラマの映画化で成功することは滅多にない(コンフィデンスマンは例外か?)が、これもそうだった。家内と娘は映画館で観たようだが、今年のワースト候補らしい。
誰が言ったか知らないが
本当の意味の悪人は一人も出てこない,というところがミソで,「良かれと思って」「〇〇のためを思って」地獄への道をせっせと舗装する人達の悲劇。
善意・忠誠心・愛着というものがつくづく取り扱い注意の危険物なのだと思い知らされる。
誰か烏の雌雄を知らんや
聞き慣れない“イチケイ”とは、東京地方裁判所第3支部第1刑事部の略。そこに属する裁判官たちの話。
同名コミックを基に、フジテレビで2021年に放送されたTVドラマ。見てはいないが、やってた事は何となく覚えている。
大抵裁判モノは弁護士や検事が主人公が多いが、本作は刑事裁判官。これは民放ドラマでは初だという。
確かに裁判官主人公ってあまり思い当たらない。何か目新しいものを期待。
イチケイに赴任してきた特例判事補の千鶴。真面目で堅物でエリート志向。
型破りな裁判官として知られるみちお。中卒で弁護士出身。謎や不可解な事は裁判官でありながら現場に赴き、徹底的に調べる。“職権発動”が伝家の宝刀。
そんなみちおに振り回されながらも、一つ一つ事件に向き合い、千鶴も成長…。
というのが、TVドラマの大まかな概要。
ちなみに原作では脇役のみちおを主役に据え、男性だった千鶴のキャラ設定は女性に変えられているという。
この劇場版はその後。みちおがイチケイを去って2年後。
異動先の岡山で、ある傷害事件を担当。岡山近海でイージス艦と貨物船が衝突。貨物船は沈没し、船長は死亡した。彼の妻が防衛大臣を切り付けたのだ。
その妻の傷害裁判の場で、夫は殺されたと訴える。そこに何か疑惑を感じたみちおは、職権発動して事の真相を調べようとするが…。
千鶴は他職経験として弁護士をしていた。奇遇にもみちおの異動先の隣町で。その日尾美町で、千鶴もある裁判を担当していた。
町を支える工場のトラックから荷物が落ち、老女の運転する車に事故を誘発。通称“大桃ころりん騒動”。
調べていく内に工場の不審な点が幾つも浮かび上がり…。
一見全く無関心の事件。
…に非ず。
やがて徐々に関わりを見せ、国家を巻き込む大きな事件へ…。
型破りな裁判官は型破りな検事の『HERO』を彷彿。
ユーモア交え軽快テンポのリーガル・エンターテイメントは『リーガル ハイ』風。
監督は『コンフィデンスマンJP』が評判の田中亮。
フジドラマのエンタメ要素を詰め込み。
竹野内豊と黒木華のW主演。
二人共シリアス役のイメージ強いが、珍しいコミカルな役柄。
型破りで風変わり。マイペースで人を食った性格ながら憎めない。竹野内豊がハマっている。
真面目一筋だが、それが逆にユーモア誘う。奮闘や成長や魅力も。黒木華の好演。
二人のバディ感、正義や信念。
この劇場版の新キャラ。
千鶴と新バディを組む斎藤工演じる人権派の弁護士。法の不完全さを問い、千鶴と衝突する。そんな彼に思わぬ悲劇が…。
町の工場の産業医役の吉田羊、若き防衛大臣役の向井理らも何か秘密を抱え…。
TVドラマも見ずほとんど初見者として見たが、すんなり見れる作風。
お堅そうな法絡みの題材も分かり易く作られている。
型破りな裁判官の設定は現実だったらナシだろう。それを出来るのも創作ドラマだからであり、それが面白味。
でもちょっとリアリティーに欠けたものを感じた。ただ単にエンタメとして見るなら面白いが、知られざる法の世界を描いた目から鱗の作品を期待すると少々インパクトに欠ける。
話も展開も要素も結構ベタだ。
事件の背後に工場や国の隠蔽絡む。
もしこれだけだったら、物足りなかった。散々見た事ある展開や話の焼き直し。
ちょっと新味ある展開。隠蔽に加担していたのは、他にもいた…。
町にとって工場はなくてはならい要だった。
大勢がそこで働き、恩恵を受けていた。
工場が町を支え、住人たちは町を心から愛していた。
町を守っていく。
そんな工場から環境汚染。汚染された土を貨物船で運んでいた。
それが知れたら工場は廃業。町も衰退する。
それだけは絶対にあってはならない。
町の為に…。町民たちも工場の皆も貨物船船長も、この隠蔽に加担していたのだ…。
その郷土愛は尊いが、それがかえって判断を誤ってしまった。
工場はすでに“病”に冒されていた。町も病んでいた。住人たちもその病に…。
町や工場が危うくなるくらいなら、治療など要らない。
本当にそうか…?
町を本当に愛するなら、今こそ治療する時。
事件は発端であり、町民たちの欲する本心でもあった…。
沈没事故の真相は…
汚染土で貨物船の乗員は体調不良を起こし、航路を外れ、イージス艦と衝突。
そのイージス艦には極秘で防衛大臣も乗り込み、ある国家機密に関与。それが知れたら…。
双方知られてならない秘密を乗せ、事故に。
これは不運か、それとも招いた自業自得か…?
真実を掘り起こす事で失われるもの、悲しいものもあれば、救いになるもの、新たに開けるものもある。
それに向き合い、判決を下さらなければならない裁判官。
時に酷でもあり、道しるべに…。
だらだら長くて眠くなる
自分はドラマ版を見て多少なりとも興味があり最後まで見ましたがそれでも眠くなりました。瀬戸内の風景が綺麗なのは良かったです。職権発動の流れがないのでドラマ版の様なスカッと感はありません。後半の裁判、言うなれば町民全員クズなのにメソメソ泣いて一体何の茶番なんだって感じでした。ラストの主題歌流して泣くシーンはベタベタ過ぎないですか。法律のそれっぽいことを言って上辺をなぞっていますが人の真というか本質に迫れていないので中身がスカスカで感想という感想も浮かばない内容でした。
不完全な法律とオリジナリティーある裁判官
原作の漫画がモーニングと言う雑誌に連載されていたこと
テレビドラマを放送していたことを
知らなく初めて映画を観ました。
ありがちな展開、不自然な捜査
入間みちおの人間味あるキャラクターを
活かした法廷と人間ドラマを描いたストーリーをイメージして見ましたが、期待外れでした。
黒木華の弁護士にも感情移入出来なかったです。
斎藤工さん演じる弁護士、月本が妹を亡くしたつらい過去と向き合って、法廷で
戦い抜く姿が見たかったので、途中で亡くなった設定にしない方が話に深みが出たかなと
思いました。
安直な人の死、終わり方も見応えや
余韻、面白さをあまり感じなかったです。
こちらの作品を好きな方には
批判になってしまいすみません。
途中までは面白く見たのですが‥
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい)
この映画は主に大きくは以下の3つの事件から成り立っていると思われます。
1.海上自衛隊のイージス艦と民間貨物船の衝突事故と、貨物船船長の妻の傷害事件
2.シキハマ(株)日尾美工場での工業排水による汚染問題
3.シキハマ(株)日尾美工場のトラック荷物と後続自動車との事故→工場内の汚染土壌の運び出し事件
ところで私はこの映画を途中まで面白く見たのですが、それは坂間千鶴弁護士(黒木華さん)が月本信吾弁護士(斎藤工さん)と出会い、2のシキハマ(株)日尾美工場での工業排水による汚染問題を解明する場面が中心でした。
この2のシキハマ(株)の日尾美工場での工業排水汚染を解明する場面は、後に月本信吾弁護士がシキハマ(株)日尾美工場の木島昌弘工場長(平山祐介さん)から金を受け取り、坂間千鶴弁護士を裏切った時も、坂間千鶴弁護士と月本信吾弁護士との間にドラマがあり、面白さがあったと思われます。
坂間千鶴弁護士の方に観客としての共感を強く持ちながらも、月本信吾弁護士の弁護士の理想だけでは人は救えないとの想いも、過去に弁護の失敗で妹を死なせてしまった彼の経験からも説得力がありました。
つまり、この映画の面白さの根幹には、司法(弁護士)の理想を追求する坂間千鶴弁護士と、現実に生きる月本信吾弁護士との、本質的な対立があったと思われます。
ところが何者かに月本信吾弁護士が殺されてから後は、坂間千鶴弁護士との月本信吾弁護士との対立のドラマ性が無くなり、急速に映画の面白さを失っていったように思われました。
後に、シキハマ(株)日尾美工場での工業排水汚染を隠すために、3の、日尾美工場がある日尾美町の人達が町ぐるみで工場内の土壌を入れ替えていたことが判明します。
ところが、坂間千鶴弁護士と日尾美町の人達とは、最後の法廷でこの町ぐるみの真相が明らかにされるまで対立はありませんでした。
つまり唐突に日尾美町の人達による土壌入れ替えの犯行が浮かび上がり、最後は小早川悦子医師(吉田羊さん)らの日尾美町の人達の法廷での涙の告白があるのです。
しかし残念ながら、この日尾美町の人達の法廷での告白は、田舎の町が工場とともにあり汚染を除去する理想では町の生活が立ち行かなくなるという本質的な話をしていながらも、それまでそれに関する(例えば坂間千鶴弁護士との)対立を映画では描いてこなかったため、唐突に浅いその場での告白に思えました。
仮に、日尾美町の人達+日尾美工場の想いも深く映画で描きたかったのであれば、映画の初めから日尾美町の人達と坂間千鶴弁護士の対立を(露骨でなくても)描いておく必要があったと思われます。
この最後に唐突に法廷で明らかにされる日尾美町の人達の告白は、映画にとってはかなり取って付けたような印象は否めませんでした。
1の海上自衛隊のイージス艦と民間貨物船の衝突事故に至っては、鵜城英二防衛大臣(向井理さん)が、入間みちお裁判官(竹野内豊さん)を、亡くなった民間貨物船の島谷秀彰船長(津田健次郎さん)の妻の島谷加奈子(田中みな実さん)による傷害事件の裁判担当から外すぐらいしか対立がありませんでした。
映画が終わってみれば、1の海上自衛隊のイージス艦の事故は、映画の事件の本質である2のシキハマ(株)日尾美工場の工場排水汚染や、3の日尾美工場からの日尾美町の町ぐるみの汚染土壌運び出し事件とは、直接の関係性はありませんでした。
1の海上自衛隊のイージス艦の事故やまつわる傷害事件は、こちらも入間みちお裁判官との対立は思わせぶりで、映画にとってはやはり取って付けた印象は否めませんでした。
この『映画 イチケイのカラス』の途中までの面白さと終盤の失速は、坂間千鶴弁護士(あるいは入間みちお裁判官)との映画でのしっかりとした対立を月本信吾弁護士とでしか描けていなかったのが問題の理由だと思われました。
最悪、1の海上自衛隊のイージス艦の事故の方は思わせぶりなフェイクの対立だったとしても、3の日尾美町の町の人達との対立は映画の初めから月本信吾弁護士との対立と合わせて描いておく必要があったと思われました。
それがなかったためにこの映画は途中から面白さが失速してしまったと思われました。
2時間ドラマであれば後半の取って付けた解決もあり得るかもですが、映画としてはこれは頂けないと正直思われました。
映画で描かれている題材は(賛否はあっても)面白さのある題材だっただけに、演技の出来る豪華な俳優の人達が揃っていただけに、僭越ながら残念には思われました。
全61件中、1~20件目を表示