「後半、ほぼ説明と説教」映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア) サブレさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0後半、ほぼ説明と説教

2023年3月12日
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鑑賞方法:映画館

誰もが完璧になれる理想郷を探して、のび太たちがたどり着いた先は空に浮かぶ理想郷パラダピアだった。そこで完璧小学生を目指すのび太たちだったが、実はパラダピアとは…という話。
パラダピアの正体が語られてからがひどい。のび太やソーニャはもちろん、黒幕でさえ自分の心情や理想を口頭で詳しく説明していたからだ。そして説教。いかに自分が世界から嫌われたか黒幕が説教し、いかにありのままの世界が大事か黒幕に説教し、いかに友情が尊いか友達同士で説教し…それを画で描いてもらえないですかね。
映画らしいところは大げさな身振り手振りだけで、豪華声優陣による朗読劇のようなものだった。ソーニャの声はちょっと滑舌が悪かったけど…ただ、声質はかなり良かったからいいか。

一方、パラダピアの正体が明かされるまでが面白いかというと、うーん…。未来科学の描写も持て余していたし、算数体育は一体何だったのか。
タイムツェッペリンで理想郷探しをしていた間はまだ面白かった。何かが始まるワクワク感だけはいつ観ても楽しいものだ。ただ始まったのがコレということだけが残念だ。

悪役も古い。我々ひとりひとりが完璧な人ばかりを望んでいる現代で、ただ一人の歪んだ悪の心の持ち主が黒幕というのはどうなんだ。黒幕の心の歪みが欠点を許さない善良な人々によって生まれたことにすれば、ストーリーに一貫性もあってよかったのだが。

映画のキャラクターが映画のどこに感動すべきか口で説明してくれる今作。ガイド付きの作品で涙を流したい人がいれば、是非。

サブレ