「語り口と主人公の贖罪で変わった味付けをしただけのありきたりのバイオレンス映画」クリーン ある殺し屋の献身 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
語り口と主人公の贖罪で変わった味付けをしただけのありきたりのバイオレンス映画
エイドリアン・ブロディは「戦場のピアニスト」「シン・レッド・ライン」が有名だが、本作は「シン~」のスタイルを真似た、ある殺し屋の自責と贖罪、復帰を描いたバイオレンス映画である。
主人公はゴミ収集車で家庭のゴミを収集し、処分場に廃棄し、リサイクルできるものを修理して業業者に売却する一方、近所の黒人生徒をあれこれ面倒みたり、ひどい落書きをされた街の空き家にペンキを塗って日々を送っている。
それは殺し屋として残忍の限りを尽くしてきた過去の贖罪と、殺された自分の娘の追悼のためである。
ところが、その黒人娘が街の不良に性暴行されそうになり、彼らをコテンパンにしたところ、その一人が暴力団のボスの息子であったことから、贖罪男vs.暴力団組織の全面戦争に突入。
男は贖罪を止めて完全武装で身を固め、組織の壊滅に向かう、てないたって単純なお話である。
ストーリーは単純だが、語り口が前述のように「シン~」を真似ていて、なかなかユニーク。そのスタイルは、第一に説明を極力省略しイメージに語らせる方法、第二に意味ありげなモノローグだ。
ただ、こうした方法は「語るに語れない何ものか」を象徴や比喩で表現する分には効果的なのだが、本作はいくらでも言葉や平易な映像で説明できるものを置き換えただけなので、まったく深みがない。
それを抜きにすると後はただのアクション・シーンの連続で、はじめの贖罪などはどこかに吹き飛んでしまうのであるw
ま、語り口と主人公の贖罪が新味を感じさせるありきたりのバイオレンス映画というところだろう。
ちなみに邦題「クリーン ある殺し屋の献身」は、福山雅治「容疑者Xの献身」のパクリ以外の何ものでもないw いろいろとパクった作品ではある。