エゴイストのレビュー・感想・評価
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タイトル
エゴイストという言葉から受けるイメージから、どんな激しい映画かと思っていたが、実際のストーリーはかけ離れていた。
ひたすら恋人を愛おしむ主人公、浩輔を鈴木亮平が演じる。恋人、龍太も素直で一所懸命な若者。恋愛そのものは純愛と言ってもいいほど、まっすぐでひたむきだ。
だからなのか、激しいといえばセックスシーン、これはBL的なサービスシーンなのか?
……と思うほど、前半はそうした描写が多い。
たしかに、そこにいきなりの恋人の死が来れば、衝撃は大きいだろうが……。
後半はガラリと雰囲気が変わって、恋人の母親を巡る物語になる。
俳優の肩先に据えたのかと思うような「近いカメラワーク」は、視野の狭さ、情報の無さをもたらす。
原作を読んでいないので、主人公のこれまでの人生も断片的なことしか分からない。ハイブランドのファッションが鎧だと主人公は独白するが、肝心のファッションがあまり出てこず、分かるのは衣装持ちらしいことだけ。
ものを食べるシーンが多いのは、前半の性欲と対比させるためか。
恋人の母親への援助も、母親の生活がどういうものなのか分からないのでモヤる。そもそも息子が、(いくら風俗を止めたとはいえ)なぜ昼も夜も働いて稼がなければならないような状態だったのか?
ラストは感動的だが、疑問が解決されないので、気持ちはあまり上がらなかった。
同性婚の制度も進まない、この国。だが、そうした問題意識は、あまり感じられない。
あるいは、同性同士の恋愛と思いきや、「母」への思慕の物語だったのか……? 見終わって数日、そんなことも考えている。
エゴイスト
映画の予告編を目にした瞬間から下心だけを持って映画館に向かいました。
目の動き、手の動き、呼吸 首の角度 血管
言葉にならない感情の表現がまさに今目の前で起きているドキュメントを見ているようでした。
温かい眼差しや気持ちが滲み出ていて
相手の思いを汲み取る場面がたくさんあり
今の自分にとても必要な気付きでした。
好きなシーンをひとつご紹介させてください。
ニヤニヤしっぱなしで観劇中、玄関のシーンで氷魚さんを見送った後、亮平さんが照れながらニコってするシーン。私もずっと同じ顔してたとハッとしました。映画を観ている途中でふと我に返り自分と重なったのは、あまりにもリアルで現実と錯覚したから。あの場に立ち合って照れた感情が溢れたのです素敵なシーンでした。
とても深い映画で心に温もりがじんわり浸透し目にはじわじわと涙が溢れじんわりたっぷり潤いエンドロールが流れた瞬間に今まであたためていた感情とあたたかい心が沁みて涙が滲み出るような包まれるような愛がありました。
人と出逢い、心を通わせて自分が救われていく。とてもあたたかい気持ちで満たされました。舞台挨拶での監督の
「映像にない部分を想像して受け取って欲しい」と語られた言葉が今、味が濃くなって
鑑賞後、会う人に映画の話ばかりしています。公開後3回は映画館に足を運べそうです。
大画面で観るからこそ分かる表情
大音量で聴くからこそ分かる呼吸
映画館で映画を観て自分と対話する時間とっても大事な時間だと思いました。
あたたかい映画をありがとうございました。
愛情とエゴを真正面から描く
11月1日東京国際映画祭にて鑑賞。
何度も何度も涙が溢れてしまう心の深いところを抉ってくる凄まじい作品だった。
この作品は前半と後半で全く色を変えており、一度に2本の映画を観たような感覚を抱いた。
前半は鈴木亮平と宮沢氷魚のゲイカップルが愛を育てる姿を丁寧に丁寧に描いていて観る人を2人に寄り添わせ、一喜一憂する王道の恋愛映画の要素を含んでいて、
後半は主人公が恋人の母の登場による母子の愛に物語がシフトしていき、話の展開が素晴らしく、目が離せなかった。
鈴木亮平の演技は言うまでもなく素晴らしく、コウスケが抱く一つ一つの感情の機微も繊細に捉えていた。特にリュウタを見る愛おしさそのものの瞳は美しかった。
また本作で強烈なインパクトを残した宮沢氷魚の演技も凄まじかった。無邪気で健気だがどこか儚い青年リュウタが持つ愛情から心の闇まで余すことなく表現していた。
リュウタの母を演じた阿川佐和子も素晴らしかった。リュウタを通してコウスケと交流し、じっくり深い関係を築きコウスケを受け入れる姿に涙が止まらなくなった。
本作で特に印象的だったのはコウスケとリュウタの母の金銭のシビアなやり取りだった。自分の愛、エゴを貫くコウスケの気持ちを素直には受け取れないリュウタの母どちらの気持ちも痛いほどわかってしまい、観ているだけで切なくなってしまった。
観終わった後、自分の感情がぐちゃぐちゃになるほど揺さぶられた。恋愛面での愛情、親子間の愛情そのどれもが個人から相手へ伝わるものだからエゴになり得るという難しいテーマを正々堂々描き切った作品だと思った。
今年観た中で1番良かった。
来年2月もう1度鑑賞したい。
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