「歪んだ愛情表現=エゴイスト」エゴイスト アローさんの映画レビュー(感想・評価)
歪んだ愛情表現=エゴイスト
冒頭のシーン。逃げるように出てきた実家へ帰る浩輔(鈴木亮平)。オカマと言われていじめられた過去。亡くなった母親の香典返しのノートを紙ヒコーキにして捨てられた屈辱。いったい何をあげれば喜ばれたのか。少年期に母を失った悲しみとが入り混じり、浩輔のその後の人生に大きな影響を与えたと感じた。伏線でありタイトルの意味に繋がる気がした。前半と後半で大きく変わる作品。前半は浩輔が龍太(宮沢氷男)と出会いあっという間に恋に落ちる。BLの濡れ場シーンがこれほど激しいとは予想外ではあった。浩輔にとってこれ以上ない幸せが訪れたかに見えたが、後半では龍太の口から売りをやってることと別れを唐突に言われてから、浩輔の歪んだ愛情表現がのぞきはじめる。龍太をお金で援助して繋ぎ止める。また龍太の母にもお土産を欠かさない。それが人への愛し方なのだど疑わない。通帳の残高がみるみる減っていってもお構いなし。無償の愛ではなくただ相手から喜ばれたいという見返りを求めて心を満たす浩輔。龍太の突然死の後、歪んだ愛情は龍太の母親へ簡単に切り替わる。浩輔の亡くなった母親の代わりに愛情とお金を注いでいく。本当の親子のような関係になっていくが、病気に侵された龍太の母親との時間が浩輔にとって正しい人の愛し方とはを考えさせられたのだと思う。BLメインと思いきや、かなり深いヒューマ作品。ゲイの映画、ドラマは多々あれど鈴木亮平さんのゲイ役は相当凄いと思う。男とオネエのセリフの切り替えなど素晴らしい。また、ゲイ仲間の飲み会のシーンはモノホンじゃないか?と思うぐらい自然で、手振りや仕草、喋り方の演技が凄い(もしかしてモノホンかな)。鈴木亮平さんはカメレオン俳優と呼ばれているが、まさになんでもこなす名優だ❗️