「Dr.コトー ファンなら 見ないほうが良い映画」Dr.コトー診療所 kunntaさんの映画レビュー(感想・評価)
Dr.コトー ファンなら 見ないほうが良い映画
Dr・コトーのテレビドラマファンは多いと思うが テレビドラマでのファンであったなら この映画を見ると がっかりする 駄作としか言えない残念な映画だった。
テレビの制作時と同じく 配役人は良い役者をそろえて 豪華に見えるが とにかく脚本と演出が最低としか言いようがない。
志木那島という架空の島を与那国島という撮影地でテレビドラマと同じ景色を映画という劇場の大画面で見せてくれるところまでは醍醐味があった。
16年前と違い コトー先生が 電動アシスト自転車を使って島内を訪問診療する場面では時代の流れを感じさせてくれる。 あの志木那島(与那国島)の大自然をバックにしての映像までは映画作品としてのだいご味があった。
しかし・・・・
ドラマの佳境となる 台風に遭遇した島民たちのすったもんだは そのほとんどが 診療所の中とスタジオ撮影ばかりが見えてしまい 映画というより テレビドラマの演出から一歩も進歩がない。 監督がテレビ監督ということもあるのだろうが 映画の演出とはかなり低い映像つくりに見えてしまうところが悲しい。
ストーリー的にもかなりの無理や矛盾がある。
テレビ版から16年 コトーも50歳近いし 彩佳も40歳超えで高齢出産を迎えるという脚本なのだろうが かなり無理がある。
ふたりが結婚したのはおそらく10年近く前なのではと思われるが その後彩佳が30歳代で子供ができなかったという苦労も演出されていなければ 脚本上の表現も無い ただ 琉球装束での結婚式の様子が描かれているだけだ。
原剛洋役の富岡涼は俳優を引退していたが この映画撮影のために会社を休業して役者復帰しているのだが この役者だけは良い演技をしているのだが ストーリー的には無理がある。
父親の原剛利役の(時任三郎)に大けがをさせて それがきっかけで 息子の剛洋が島に帰ってくるのか思いきや 東京である刑事事件に巻き込まれての逃げるような帰郷のストーリーをここに織り込む意味が解らない。
コトー自身が白血病に侵されて その治療に立ち向かっていく そこに自分の子供と関連付けて 骨髄移植へ・・・というストーリーなら理解できるが 島に猛烈な台風が襲来して 島民たちが災害に巻き込まれてあたふたするというストーリはあまりにも安直すぎる。
しかも 925hpの猛烈な規模の台風なのに 島民たちは避難準備もいい加減で けがをして 自宅に帰ってしまう老婆さえいる。
和田(筧利夫)の奥さんになった 和田ミナ(仲依ミナ・ 蒼井優)は島民が混乱している中で診療所に応援に来るわけでもない。 自身が骨髄性白血病という重病に侵されながらも 「島民全員を絶対助けます・・・」と言って ふらふらしながら心臓の手術を強行するコト―の姿などありえない し スーパードクターでしかない。
過労の中で倒れても 誰も助けに行かない島民たち 軽傷と思われる手を怪我したおばさんの ヒステリックな治療の催促 切迫早産の危険性のある彩佳の症状などあまりにもストーリー的に脚本に詰め込みすぎで 現実味も無い演出・・・・。
テレビドラマならワンシーズンを作れそうなストーリーを 2時間の映画に詰め込もうとして完全に破綻している。
ラストシーンでは コトーと彩佳の子供が歩けるようになってコトーのそばに歩み寄るシーンが描かれているが 1年余りで 白血病という重病が 寛解したかのような演出はあまりにも・・・・
テレビドラマで 16年前に「Dr・コトー」を見た人にとっては 登場人物やそのなつかしさに感慨をを浮かべるかもしれないが 映画作品としては駄作なテレビ局が作った映画としか見えてこない。