グッドバイ、バッドマガジンズのレビュー・感想・評価
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少しだけの面白みを噛み締め続けた印象
劇場の音響のみ良さもあってか、たまに差し込まれるニューエイジ的なギター音楽が一番印象的でした。そこに挟まれる遠景も笑いの中にちょっとしたノスタルジー、といった印象で、それだけでも作品全体の印象を増していたように思います。
基本的にコメディー要素が強い作品だったという印象ですが、そこまで大笑いするところもなくて、終始ところどころクスクスしていたなという─。
主演の杏花さんが可愛くて、それでいて擦れきったような演技もしていて、率直にスゴイなーと思ってしまいました。
時代が変わって消えゆくものはあまたあるなぁという寂しさを感じると同時に、それに負けないくらいの新しいものも生まれているんだろうし、何とか世の中は回っていくんだろうなぁという希望でもないけど、何か楽観的な気持ちになれるような作品でした。
コンビニから消えたことさえ気付かれず散っていったエロ本雑誌たち... 時代の流れの中で役目を終えていく雑誌の裏で展開される歪な人間模様に新人女性が喝!!
2010年代にコンビニで販売された男性向け成人雑誌の編集者達をテーマにしているがゆえに業界の裏事情的な猥雑さと各キャラクターの濃さは多分に映画的というかマンガ的ながら、既にはるか昔に峠を過ぎたエロ雑誌が静かに潰えていく様を淡々とありのままに捉えた媚びの無い作風はまさに自主映画の面目躍如というところだと思います。
2010年代ともなるとDVDはもとより動画配信も既にバリバリな時期なので素人目にもエロ雑誌は下火な時期なのは察せられますが、冒頭から既に末期的です。
部数急落による採算悪化で慢性的な人手不足による徹夜常態化のオーバーワーク、作中での「DVDに雑誌が付いてる」という揶揄のセリフに象徴されるような付録有りきによるメーカーの絶対的優位化での不自由さ、営業経費削減による独自記事の削減とチープ化、やり甲斐の無さと薄給を背景とした他者移籍や引き抜きの日常化etc…といった感じで、他の業界でも各エッセンスを置き換えればそのまま通じるような末期的ブラック状態です。
となるとそんな社内に残っているのは相当な曲者か腹黒い人か、あるいは何もかも諦めてしまった世捨て人のような人たちばかりで、活気こそ無いものの爛々とした異様なムードは醸成されており、外から見世物根性的に覗くにはなんとも面白い世界ではあります。そこからして2010年代ともなるとDVDはもとより動画配信も既にバリバリな時期なので素人目にもエロ雑誌は下火な時期なのは察せられますが、冒頭から既に末期的です。
部数急落による採算悪化で慢性的な人手不足による徹夜常態化のオーバーワーク、作中での「DVDに雑誌が付いてる」という揶揄のセリフに象徴されるような付録有りきによるメーカーの絶対的優位化での不自由さ、営業経費削減による独自記事の削減とチープ化、やり甲斐の無さと薄給を背景とした他者移籍や引き抜きの日常化etc…といった感じで、他の業界でも各エッセンスを置き換えればそのまま通じるような末期的ブラック状態です。
となるとそんな社内に残っているのは相当な曲者か腹黒い人か、あるいは何もかも諦めてしまった世捨て人のような人たちばかりで、活気こそ無いものの爛々とした異様なムードは醸成されており、外から見世物根性的に覗くにはなんとも面白い世界ではあります。そこからして社内の人間模様の典型の標本のような感じもあって、それが作品全体のシニカルさにも繋がっていたのかとも思います。
なんで1週間限定?全国でロングラン求む!
満員御礼でした。
そしてマジ名作。
なぜ1週間限定公開???
東京五輪により外国人の目を気にして
政府が立てた“見た目だけ綺麗にしてね指示”
そしによりコンビニからエロ雑誌 が消えた。
そのエロ本編集部に(希望してないのに)やって来た
女の子の物語。
ほぼ実話。
雑誌自体売れない今、
堕ちてゆくのが自然な業界だからこその脆さと強さ。
ブラック企業なのにそれが当たり前だった時代を
生きてきた私としては(業界も近かった)
たまらん作品でした。
まず、杏花 さん筆頭に役者がみんな上手い。
そして監督の力量である構成が見事なので
無理なく心に染みる。
エロ雑誌、グラビア誌が
当たり前にあったあの頃を知ってる人は
みんなに観て欲しい。
面白い! 例えが悪いかもしれないが、仲間内でシモネタトークをしてい...
面白い!
例えが悪いかもしれないが、仲間内でシモネタトークをしている楽しさが近いかもしれない。出てくる人達みんなアクが強く楽しく見た。事務所の小道具もけっさくだ!
もしもオリンピックがなかったら
コンビニにエロ本は残ったか?
それは否だろう。遅かれ早かれ消えていく運命ではあった。さればとて、である。
いけいけドンドンとは逆の業界で搾りカスみたいになって働く皆さんに共感を持った。情熱がなければできないよなー
自主制作映画を1週間だけ上映。小学生でも保護者の助言・指導があれば観れます!
まあ、神楽坂あたりのエロ本業界の話だと思いますが、業界事情を知っている人たちがつくっているだけあって、なかなか面白く仕上がっています。
2018年にコンビニからエロ本が無くなったらしいですが、本来、コンビニにエロ本があること自体がおかしい訳で、それにより、なんとか生き長らえてきた業界なのではないかと思います。
しかし、5年前になんの当てもなく自主制作映画として企画して、脚本を3年かけて書いて、撮影して、日活に持ち込んで、テアトル新宿で1週間だけ上映とは、なんともすぱらしい。
お客さんはかなり入っているので、ロングランするといいですね。
主演の杏花さんもなかなかの熱演で見どころは十分です。
ただ、小学生は見ちゃいけないと思うけどなぁ…。
#176
成人雑誌の苦悩
成人雑誌ってこんなに色々なひとが関わっているということを初めてしりました。
編集、dvd制作、営業、雑誌社の苦悩などの人間模様の群像劇は見ごたえありです。
深夜上映だけですが、是非ともみて欲しい作品です。
作業では味気ない
成人雑誌がコンビニから姿を消した2018年に成人雑誌の編集局に配属された女性と局員達の話。
憧れだった女性誌の出版社に就職が決まったものの、いざ入ってみたら配送は成人誌だは、憧れの雑誌の廃刊が知らされるはという中で、何がエロいかも解らない主人公が成長していくストーリー。
編集長のエピソードを聞いての「うわーっ」というリアクションに、こちらこそ「うわーっ」と感じた最初だったけれど、いくらなんでも急成長!?w
コミカルな要素も織り込みつつの進行だし、取り扱っている内容はエロ雑誌だけど、映画としてはいたってマジメに衰退していく業界に身を投じることになったことや、自分が持ち合わせていない感性と向き合いぶつかっていく展開。
SEXシーンもあるけれどエロいという程の描写も映像もありません。
同じ業界で働いている人や、旧態依然の男職場で働く女性とかにはハマる部分も結構あるのかも知れないなとは思ったし、何も理解できない訳ではないけれど、オッサンにはこれといって刺さるものはなく、可もなく不可もなくだった。
ブラックが昇華して笑えるエロになった(でも真面目)
2022年10月28日(金)テアトル新宿にて初日舞台挨拶付上映を鑑賞。
前日には満席になっていた様です。
男女比は半々位、年齢層も様々で、若い女性も多かったです。
成人誌制作のリアルな裏側を性別年齢が様々な沢山の人達と一緒に観るというのは、不思議な体験ですがいいものですね。
性教育は必要だし、もっと明るく楽しくオープンに話せた方が健やかだと思っているので。
出版業界、成人誌を取り巻く環境の変化、ブラックな職場環境、夫婦関係、エロとは何か、何故セックスをするのか。
エロいけど笑えるし、色々考えさせられました。
監督やプロデューサーの経験が大いに反映されているとのこと。
ブラックな経験が、こんな良い作品に昇華されて良かったなと思いました。
メンタルやられちゃう人もそりゃいるでしょう。でも潰れないで、健全さを保って新しい何かを生み出した皆さんに乾杯です。
舞台挨拶での役者さん達のやり取りも和やかで良かったです。
労働環境、セクハラパワハラが問題になって久しい映画業界ですから、観ている方も救われる思いです。
主演の杏花さんは物事に真摯に向き合っている方なのだなぁと思いました。
姿勢がピンとしていて美しかったのは、バレエをやっていたからなのですね。
彼女はこの映画のどっしりとした柱になっている気がしました。
他の役者さん達も皆さん味があってどのシーンも楽しかった!
セットの作り込み、音楽も印象に残りました。
1週間の限定上映でしたが、上映館が広がればますます話題になることでしょう。
時代を記録する歴史的価値を持って長く観られる作品になるのでは。
滅び行く業界、衰退する会社
仕事を切り上げて観に行って良かったぁ。自分の意思とは別にエロ本の編集部で働く、杏花さん演じる主人公がいつの間にか社畜となってしまい、さまざまなトラブルに襲われながらも、逞しくなっていくという映画ですが、予想以上に面白かった。
夢に挫折することは誰にだってあるけど、問題はその後どうやって生きていけばいいのか——。主人公の詩織も望まない職場で働いていくうちに社畜となってしまいますが、同時に肝が据わって、思わぬ絶望のあとでも逞しく生きていく姿が見えます。
コンビニで売られるエロ本は、わずか数年で消滅したわけですが、滅び行く業界、衰退する会社のリアリティがこれでもかと描かれます。そのリアリティに衝撃を受けました。というのも、大学4年の時にわずか数カ月でしたが、エロ本の編集プロダクションでアルバイトで働いていたからです。
映画の職場は、コンビニで売られるエロ本の出版社でしたが、僕が働いていた編プロは、専門書店でしか買えない「18禁」エロ本が中心でした。僕がアルバイトで入った時でも、18禁エロ本は衰退しつつあるといわれていました。
当時は今ほどネットは普及していませんでしたが、それでも18禁エロ本は衰退していると編プロの皆さんが認識していました。アダルトビデオ(AV)の存在です。若い人はAVの方を好んでいて、18禁エロ本をあまり買わなくなっていたからです。
わずか数カ月のアルバイトでしたが、その時の状況と映画で描かれていた状況がそっくりだったので、映画を観ながら「あ〜どこかで実体験したなぁ」と思っていました。
映画で描かれていたことと僕の実体験がそっくりだと思った場面がもう一つあります。映画終盤で男性の老人が小さなコンビニで売られているエロ本を嬉しそうに買っていく場面です。
僕がバイトで働いているときも、読者の方が電話をかけてきて、「このエロ本、いいねぇ。こういうのが読みたかったんだよ」と言ってくれました。アルバイトという立場だったし、仕事として割り振られたことをやるだけだったので、読者という存在に気が付くことがなかったのです。
アルバイトという立場でしたが、自分たちが働いた結果を喜んでくれる読者がいるんだことに初めて気が付きました。映画の終盤で詩織が感じたであろうことと同じことを僕も感じたと思います。えぇ、18禁エロ本ですけど。
でも、僕の個人的な実体験を割り引いても、この映画は良くできた映画だと思います。ブラック企業で社畜にならざるを得なかった詩織が、人生で挫折を味わいながらも、しぶとく逞しく生きていく姿に清々しさを感じられるからです。
全般的に救いのない話(でも、エピソードは笑えます)ですが、この映画の救いは、春日井静奈さん演じる澤井の存在です。澤井の存在が詩織に生きていける自信を与えたと思います。
この映画で意外なオチが、岩井七世さん演じる、向井(ヤマダユウスケさん)の奥さんの存在です。あのストーリーがあることで映画自体がピリッとなりましたし、人間という存在の複雑さを改めて思い出させてくれます。架乃ゆらさん演じるハルの存在も当然大きいですが。
ちなみに、僕がバイトしていた編プロは、18禁エロ本以外の分野にも乗り出して、元気に営業しています。
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