「私塾に通っていることが前提の義務教育なんておかしいだろ」スーパー30 アーナンド先生の教室 @花/王様のねこさんの映画レビュー(感想・評価)
私塾に通っていることが前提の義務教育なんておかしいだろ
貧しくても知恵があれば工夫できる。
どんなことでも学びに繋がっている。
自分達で考えて行動するから、余分なものは無いし効率的に勉強が進む。
学びたい、知りたいと思う気持ちや熱意のある良い映画でした。
インド映画らしい踊りや歌での感情、情景表現もありホッコリしました。
キャラクター性も分かりやすく、丁寧に描かれているのでアーナンド先生や生徒達を応援したい気持ちが溢れました。本当にすごいのよ。知識って使い所だよなって思いました。
戦後の日本とか大正から昭和にかけての日本も学びたい、世界に肩を並べられる人材が沢山いたのに、昨今の教育現場は劇中の私塾システムそのもの。
本来なら国が義務教育で育てていかなければならない人材教育は今や民間に丸投げ。
親ガチャや貧富の差で塾にも行けない子どもは義務教育であるはずの学校の授業についていけない。
私塾に通っていることが前提の義務教育なんておかしいだろ。
教育に期待しなくなるとは人材に期待できなくなると言うこと。
それは、学ぶことへの意欲を低下させて機械のように働く人間を量産していくことに繋がる。
自分で考えられない人間は、自分で考える人間に使われるようになり、差別や貧富の差がどんどん開いていく。
この映画を観て、対岸の火事とは思えない。
少なくともインドの方が成長期にあり、学びへの関心が高いように感じる。
日本の教育は戦後から変わらない教育カリキュラムや無駄なものばかり踏襲して変革を嫌う馬鹿みたいな価値観が足を引っ張っている。
時代にあった学び方。
現代に生きる子ども達が何を知りたいのか。何を学びたいと欲しているのかが一番重要なのではないか?
これを知ってほしい、この知識を繋げてほしいと押し付けるのは教育のエゴだと思う。
知る自由とは自主的に行動して得られる知識のことで、需要するだけの学びは学びではなく、プログラミングと変わらない。そんなのは機械に任せておけば良い。
何が必要で
誰から学びたいのか
それをどうやって自分の生活に活かすのか
そもそも義務教育で教わることは、本当に社会生活に出てから必要な知識なのか?
連立方程式なんて、実生活で使った試しがない。
どうしていつまでも5教科全ての平均した知識が無いといけないのか?
得意不得意があるなら何かに特化している分野だけをとことん勉強した方が知識の理解が深まるんじゃないだろうか?
小学校でやったことに毛が生える程度の中学校の教育って高校受験への対策期間にされてはいないか?
覚えなきゃいけないことが多すぎないか?
いったいそんなに知識を詰め込ませて何になるんだ?何をさせたいんだ?
映画の終わりでも気になったのは大学進学のランニングコストを出すことができたのかとか、就職まで行けたのは何人くらいいたのだろうとか。そんなことばかり考えてしまった。
教育は人材の育成に欠かせないプロセスだとは思うが、学びの質が伴わなければ無駄金と時間を割くだけの愚策にしかならない。
他人の振り見て我が振り直せではないが、他人事とは思えない危機感を感じた作品だった。
是非、劇場でご覧ください。