「泊まったり待ったり止まったり」夜、鳥たちが啼く Don-chanさんの映画レビュー(感想・評価)
泊まったり待ったり止まったり
特徴のない地方都市、登場人物も少なめで、細かい設定は謎です。
佐藤泰志氏の短編小説(短編集「大きなハードルと小さなハードル」に収録)を山田裕貴さん主演で実写映画化。
本編115分。
Netflixで字幕を付けて観ました。
本作の舞台は函館に拘っていないため、訛りや方言を使っていません。いつの時代なのかも定かではありません。
原作の初出が平成元年、日本の景気が絶頂期だった頃です。
景気が絶好調といっても、資産を持つ者と持たざる者の間の経済的格差が広がっていたため、物価や地価の上昇により、日々の生活費や住居費の負担が増加し、悪影響を受けた人々も多く存在したようです。
主人公の慎一(山田裕貴)は、おそらく鳴かず飛ばずの作家で、文子(中村ゆり子)と結婚できず同棲という形をとっていましたが、お互い未熟だったのでしょう、別れてしまいました。
アキラくんとシングルマザーの裕子(松本まりか)が、もともと慎一と文子が同棲していたアパートに住むことになり、早い話が、敷地内のプレハブで生活している慎一と裕子が寝ちゃったりアキラも一緒にお泊りごっこしたりする物語です。
鳥が啼くのように夜になると本能的に(?)発情する人もいれば、鳥が啼くように夜になると自分の中のものを出して作品を残したくなる慎一のような人もいます。アキラくんのように夜中に2回、目覚める人もいます。
ラスト、「だるまさんがころんだ」のように、裕子が夜な夜な誘っていたら慎一の執筆活動が止まっちゃいます。慎一の小説が完成するまで待ってみてもいいかもしれないな等と裕子は思ったのかもしれません。いつか家族になりそうな3人でした。
