劇場版モノノ怪 唐傘のレビュー・感想・評価
全208件中、21~40件目を表示
映像美
異界のモノノ怪
題材が大奥だったので女同士の因縁や男女の違いで子どもを間引いたり、裏で暗躍する政治の汚い部分を描いたりするのかと期待していた。
蓋を開けてみれば、別に大奥が舞台でなくても良かった。
武家の家に奉公に来た娘2人でも話は成立する。
本作で肝となる人物がモノノ怪になったいきさつのインパクトも薄かった。
今までの自分を捨てるって話なら、現代でも女性なら結婚をするときに生まれた時の名前を捨てて結婚するひとがほとんどだし、自分のアイデンティティなんて昔の人からしたら押し殺して生きていくのが常識だったし美徳だ思うからそれが根底ですって言われても共感できなかった。
薬売りの声優さんが不倫騒動で櫻井孝宏さんから神谷さんに変わって、それは仕方ないことだと思うけどやっぱり薬売りは声が命だったんだなぁと。
櫻井さん版薬売りはなんかこう、モノノ怪になってしまった経緯を知って「許せよ。」と哀れみを持って退魔の剣を抜いている気がした。
神谷さん版の薬売りはどちらかと言うと生きる物のために退魔の剣を抜いているような気がした。
退魔の剣が64本あると本作で語られたので少なくともあと62人は薬売りがいるのかぁ。
本作もきっとあと2作は作られるでしょ?
映画が売れたらアニメ復活するかな?
そしたら毎話ごと薬売りの声優さんを変えてみたら面白いよね。最終話だけ、櫻井孝宏さんカムバックで化猫にちなんだ話にするの。
と、徒然に語りましたが要は櫻井孝宏さん版の薬売りで観てみたかったと言う感想でした。
疑問が残る
どうやったら製作陣に届くのかを考え、このレビューを書くためだけにアカウントを作成しました。アニメ版が好きで、楽しみにしていたものです。見てもらえたらいいのですが。
全体的に、製作陣が見せたい相手と、この作品を楽しみにしていた層との乖離を感じる内容でした。
製作陣はもしかすると初見・海外を意識しているのではと感じたのですが、そのためかアニメ作品そのもののファンがモノノ怪の醍醐味と感じている部分をないがしろにしている印象です。
私自身は映画は映画の中だけで完結するべきという意見を持っているため、希望として能動的にインタビューなどの他媒体から情報を得たくはありません。この感想の答えがたとえ他媒体にあったとしても、映画そのものでは納得・理解できなかったこととして記載します。
以下よかったところと納得できないところを箇条書きにし、その理由を述べます。簡略のため丁寧な語尾は省きます。
良かった点
・声優さん
特にアサ役黒沢さんの最後の掛け声、薬売り役神谷さんのアニメ版薬売りをリスペクトしてくださったであろう話し方
・主題歌
彼女の声質がモノノ怪の雰囲気とよく合っていると思うし、楽しみにしていた「女性の力強さ」のようなものを感じた
納得できない点
・舞台が大奥である必要性が感じられない
この内容であるならば、舞台を大奥にする必要はないのではないか。なんなら薬売りさん役の続投も可能だったのではと思う。
最初から決まっていたのがこの内容ならば、せっかくアニメ終盤、「化猫」で時代の移り変わり(鉄道開通から大正と推測)を感じさせる内容だったのだから、場所を現代に移してOLを主人公にしたらよかったのでは?
現代は人間の数が増えた分、妖を顕現させないためにより過干渉にせざるを得ない…みたいな解説をつければ、後述の薬売りさんの点についても、納得はできなくても理解はできたかもしれない。
不祥事が発覚した時に、声優さんの変更より前にストーリーの変更をして、声優さんが変わってからもストーリーは戻さなかったのか?と思うほど、大奥である必要を感じない内容だった。
また、入ってすぐの新人がそんなすぐに出世するか?という、当たり前の疑問が映画全体を通してずっと残った。
・カメに対するアサの執着が理解できない
あんなに執着する理由は描かれていたか?ただの同僚、ただの同期、舞台が大奥なら蹴落とす相手なのでは?手伝う理由もわからないし、庇う理由もわからない。前々からカメを一方的に知っていて、追いかけて入ってきたのならまだわかるが、たとえ同世代、同性だとしても、出会ってすぐの相手にそこまでするか?というのが率直な感想。
また、カメ本人も同情が得られにくいキャラクターなので、余計に意味がわからなかった。
・薬売りさんが干渉しすぎて、アニメ版の薬売りさんにあった良さが死んでいる
第三者として、登場人物の話を静かに聞くことによってストーリーが進んでいたアニメ版に比べ、直接的に関与しすぎ。
誰かに頼まれたわけでもないのに男子禁制の場に勝手にずかずか上がり込んでいるのも気になる。
どこかのインタビューで別人格とは言っていたが、アニメ版の非当事者感が気に入っている人からすれば完全に別人で、これを薬売りさんと言うには無理があると思う。それなら外見も少し若め・やんちゃめに変更するなど、別人であることをはっきりと表現した方が視聴者に親切だと感じた。薬売りさんは魅力的なキャラクターであるが故に、このズレはとても残念だった。
薬売りさんをここまで別人にするなら、なぜクラファンをしたのか、という点も大いに疑問。
・理と真が適当すぎる、形が唐傘である意味も薄い
これに関しては他の方のレビューにも散見されるため割愛。
・画面がうるさすぎる
和紙風のテクスチャはこの作品の特徴的な部分だが、流石に貼りすぎだし、全体的な色彩がうるさすぎ(彩度が高すぎ)て肝心の和紙っぽさが減っている。色彩が明るすぎる分、じゃかじゃかした質感のテクスチャを上から貼っているのか、そのじゃかじゃかのかけら?繊維のような影が場面に合わせて全然動かなかったのも気になった。カメラ側に貼ってあるような感じ。
全てに柄を入れると確かに華やかで美しい印象を与えることができるけれど、本当に見せたいメッセージが他にあったとしても読み取りづらくなる。
アニメ版では襖や障子に描かれた絵柄も含めて物語全体を構成していたが、映画ではたとえそのメッセージがあったとしても、他の雑多な柄と混ざってすぐにはわからなくなっていた。少なくとも私には、柄からメッセージは読み取れなかった。
着物のように柄合わせや色合わせで意味を見出せる人ならなにか読み取れたのかもしれないが、私には何の情報もなく、ただ和風柄と和風柄をぶつけただけなのでは?と感じた。
色彩の感じ方が日本人と欧米人で違うため、欧米を意識したものかもしれないが、どうして海外と国内で色調を調整したものを2つ準備できなかったのか。
・ずっと動ばかりで静の時間が全くなく、間が死んでいる
先述の画面がうるさいにも通ずるものがあるが、ストーリー、画面両方の観点から、ずっと忙しなく動く描写が続きすぎる。襖の演出も転を表すとても「モノノ怪らしい」演出ではあるが、連続して使うことによって無駄に脳の容量を使ってしまい、良さが半減していたと感じた。
私の感じる(アニメ版)モノノ怪のいいところとして、静の時間が比較的多めに取ってあることによって、視聴者の理解が追いつけるところ、それによって和ホラーらしいおどろおどろしさや、登場人物と一緒に不穏な空気を味わうことができる点があったが、本作ではそのような間は一切設けられず、時間内にやりたいことやいれたいことを詰められるだけ詰めろ!といった勝手さすら感じた。
色彩の件と合わせて、この映画を作った人は、本当に映画館でこれを通しで見てみたのか疑問。見た上でいけると思ったのならなおさらとても不思議に思う。
感想総括
製作陣が見せたい相手がアニメ版ファンでないなら、クラウドファンディングはあまり良い手ではなかったのではないか。
クラファンするなら、どうしたって参加者は前作のファンになる。参加者も、参加していないアニメ版モノノ怪ファンも、クラファンのニュースを見たらアニメ版を尊重したストーリー展開、キャラクター構成を期待してしまうと思う。
逆にアニメ版を知らず、この映画が初見なら、珍しい美麗な和風アニメーションとしてシンプルに受け入れられるだろう。
映像美、2回目
TV版は大好きなんですが…
薬売りがイケメン。
クオリティの高さと独自性はあるが、見てて疲れる。
『夏目友人帳』といい、『〈物語〉シリーズ』といい、神谷浩史は何かと怪異に縁があるなあ、、。
それはさておき、本作は豊かな色彩感覚と和紙のような画面設計によって、一目見ただけでその作品性が窺える作りとなっていて、それにケレン味のあるアクションが加わり、より視覚的快楽の満たされる1本であった。
ただ、問題点としては、カット割りが速すぎて一つ一つのシーンの全体像がつかみにくい+セリフが多すぎて結局どんなストーリーなのかよく分からない、という2点があり、見ていて非常に疲れてしまい、正直1時間半の上映時間でも長すぎるように感じた。
個人的には好きです
さまざまな意見や、TVシリーズとの比較等あるとは思いますが。
色合いや話の進行のテンポ、キャラデザの変更は、これはこれでありだと感じました。旧来とは異なっていても踏襲されているところはある、といったところでしょうか。
登場人物に共感するというよりは少し離れたところから全体を眺めているような感じがすること、何回か観ることが前提になっていることから、好みや評価が分かれるとは思います。
くっきりとした彩度は海外の方の色の見え方を意識したとのことだそうです。
絵作りも旧来のトガりが抑えめでやや平易になっているのはそれもあるのかなと。
劇場版自体は独立した作りですが、TV版のオマージュもアップデートを加えた上で散りばめられています。
立体音響にはかなり力が入っており、音のめぐり、迫力はぜひ映画館で体験して頂きたいですね。
続編2作を見ないとまだ何とも言えないところですが、それぞれ単体でも楽しめるようになっているとのことなので、今後に期待したいところです。
旧作のファンでもなく劇場予告の華やかな画面に惹かれつつようやく鑑賞...
旧作のファンでもなく劇場予告の華やかな画面に惹かれつつようやく鑑賞。
予習も何もなく観ると何が何やら。展開もカラワークも早くて色彩の波に翻弄されて物語について行けなく理解する前に終わってしまった。EDは少し酔った。
ただここから、理解しようと情報集めるか一回で充分、と放るかだけどこれは情報を集めて考察など見、再度鑑賞するに至った。監督のインタビューなど踏まえて複数回の鑑賞を経ると解像度が上がっていく作品。鑑賞回数2桁いってしまい、現時点でかなりハマっている。色彩も劇伴音楽もかなり好み。
ただ初回ではさっぱり理解できない作品。噛めば噛むほど味が出るけど、初回はいきなりデカいスルメを口の中に放り込まれた感じでただビックリ。今は星4.2くらいの気持ちだけど、考察必須、公式のインタビューなどで補足しないといけない。映像の中で語られない形なので好みは分かれると思う。
今回でこの作品の楽しみ方がわかったので第二章・第三章と楽しみに待つ。
良質な映像美と音楽
特典要員として奥さんに駆り出され視聴
昔にTVでやっていたのは知っているが未視聴の為予備知識はほぼ無く鑑賞した
目まぐるしい展開と演出に圧倒されながらも
雰囲気で設定を飲み込みながらなんとか置いて行かれること無く視聴した
内容としてはミステリーチックな話で
大奥に巣食うモノノ怪唐傘や大奥に渦巻く情念を解き明かすという内容
アサとカメという新人女中が物語の中心となり話は進んでいく
大奥に仕える女中は大奥に入る際に禊として
己が大事にしてきたものを井戸に投げ込むのだが
これはすなわち神(将軍)に仕える為人間性を捨て去る為の儀式であるのだと解釈
感情を表に出さないアサ
感情を表に出すカメ
大事な物を井戸に捨てないアサ
大事な物を井戸に捨てるカメ
仕事が出来るアサ
仕事が出来ないカメ
井戸の水を飲み下せる様になるアサ
井戸の水を飲み下さず捨てるカメ
大奥に残るアサ
大奥を去るカメ
対比関係である両者なのだがこれは二人で1つの人間というものを形作っているのだと解釈
更には後に唐傘となる女中北川との対比関係があり
北川にもアサにおけるカメの様な人物がおりアサにも北川の様に唐傘になる運命もあり得たと示唆しているのだが
井戸に大事な物を捨てなかった為
人間性を捨て去らずにいれたアサと
井戸に大事な物を捨ててしまったが故に
人間性を捨ててしまった北川
人が人である為に必要な物は思い(井戸に捨ててしまった物)であり思いを捨て去ってしまえば人はモノノ怪になり得るのであるということが読み取れた
最後のシーンではアサとカメはお互いの簪(思い)を交換(=2人で1つの人間ではなくここでそれぞれがアサとカメというそれぞれが人間性を獲得することが出来た)
互いに別々の道に進むがお互いの思いを交換しているのでそれぞれが人としてこれからも生きていく事が出来るのである
良質な映像はさすがの中村健治監督
Cやガッチャマンクラウズ等好きな作品が多くこの作品も楽しめた
また和風の作品の劇伴をやらせたら右に出る者はいない岩崎琢の最高の音楽で上質な映像体験を感じる事が出来た
連れてきてくれた奥さんに感謝感謝だ
あとクラファンの財布を解き放ったレイナ?さんのおかげかな(めちゃくちゃ頭に残ってしまった)
モノノ怪
モダン・アートの寄せ鍋
TVバージョンのファンなので、見に行った。TV版と同様、アニメ映画と云うよりも、モダン・アートのインストレーションを観ている様な感じは、TV版と同じ。薬売りの華麗で流麗なアクションは、映画版の方が手が込んでいる感じでGood。ストーリーも、人の情念を中心に予想の付かない展開で良かった。只、薬売りがスーパーヒーローに変身する際の音楽が、男性のボーカルか何かが入っていて余り好きではなくて、映画館の大音響が又、凄く邪魔だった。この時フッと、この作品に限っては、TVで観たほうが良いんじゃないかと思った。作品によっては、ああ云う場面の大音響は観客の興奮に繫がるけど、これの場合、自分が見る環境をコントロールしたいと思った。それは、自分がこの作品のアートワークが好きで、まるで自分が好きな画家の画集を独り占めにしたいのと似てるんじゃないかな?
映像美に酔いしれる作品
「凄くて迷ってしまう」
前情報一切無しで鑑賞しました
作品の存在は知ってましたが全く内容を知らない状態で鑑賞しました。
別作品ですが蟲師のような道行き薬を売りながら妖怪と関わり合っていく作品だと思っていましたが、全く違う内容でした。
色々細かいところや設定を知らなくても、そう云うものなんだと気にしなければ楽しめる作品だと思います。
映像は綺麗ですが、色んな世界観を取り入れているためごちゃごちゃした感じです。
戦闘シーンでの音響も大分大きいので、高い音が苦手な人はイヤホンをするのをおすすめします。
話のストーリーが難しかったり、また映像の移り変わりが激しくて見ていて少し疲れるところもありました。
主人公の薬売り師(?)の見た目や言動をみていると、この作品が長く愛されている意味が少しわかりました。
ただ、この映画を見て面白かったらアニメや漫画をみようと思っていましたが、そこまで強く惹かれるものはなかったので、見るのは先になりそうです。
ストーリーは分からなかったが、
テンポがよく、終盤に向かって盛り上がっていくので観ていて飽きなかった。90分とは思えないボリュームを感じた。
現代風の絵が好みに合っていたので、最初から引き込まれた。声優さんがみんな上手く、特にアサの迫力がとても良かった。
ストーリーについては説明が少なく、登場人物それぞれの立ち位置も掴みづらい。クライマックスでも全てが明らかになった感じではないのでよく分からなかったが、TVシリーズでも理解しきれてなかったので諦めることにした。
TVシリーズ観ていない人は全く意味が分からないだろうから、予習は必要。
映像がすごい
◎映像○物語・・・ただ難点も。
場面転換を多用しているためにスピード感はありますが、つぎはぎになった話を頭で再構築しながら観ないといけないので、他の方の意見にもある様に、必死について行かないと置いて行かれてしまう点が作り方として不親切に感じました。アニメ版では真(まこと:事のありさま)と理(ことわり:心のありさま)を推理しながら楽しめたのですが、映画版にその隙というか遊びの部分は無かったかの様に思います。また、真については補則説明で語られるのですが、理についてはモヤがかかった状態で刀が抜けてしまったので、私自身は「うーん、良く分からんけどいってまえー」というラストでした。終盤に向けて観る手の想像力に頼る所も多い故に、つぎはぎを直しながら補完もしないといけない状態。結論からすれば、人生で初めて映画の公開日に観に行くほど楽しみにしていた作品で、その想いには十分に応えてくれた作品でしたが、もう少し観る手に考える時間を与えて欲しかったです。次回作も楽しみにしております。
全208件中、21~40件目を表示