「情念の深さが足りない。次回作に期待」劇場版モノノ怪 唐傘 yoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
情念の深さが足りない。次回作に期待
アニメをリアルタイムで見ていて好きでした。
今回は劇場版でどんなふうになるか楽しみでした。
所々事情はあって変わった部分もありましたが、映像・アクションは音響も相まってとても良かったです。
一方でアニメシリーズで感嘆した人間の情念の深さが物足りなかったと感じました。
映画シリーズの序章としてあえてジャブ程度に抑えたとしたら次回作に期待です。
アニメシリーズ心惹かれた構造はこんな感じ。
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表向きの整った体裁に対して、登場人物個々の視点と感情では様々情念が折り重なって舞台を成している。
それらの思惑によって、深く不条理にさらされた想いがモノノ怪となって溢れ出て怪異となる。
薬売りはそれを祓うという形で、異常事態の中、綻び始める体裁を徐々にあきらかにしていき、形・真・理を突き止めていく。
モノノ怪を祓う頃にはすべての人の本性、出来事はあきらかになり、視聴者はそれまでの過程でミステリーに興味し人の想いに心動かされる。
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実際の世の中もそういった側面はあると思う。
外から観測する世界と個人の内側の世界ではだいぶ違って、なんとか体裁を保っている
内観の世界、その深さ情念をこの構造の中でしっかり描いているから心を打つ物語になってる。
人の深さに心を寄せて感動することができる。
マンネリと言われようと、この構造は崩す必要はなくて
どういった人の想いがあるか、それがどう世の中にあって、さらにモノノ怪となる状態になるか、それをどう描くか、が肝であり、これだけで無数に物語が作れる。
ひと一人だけでも感情は無限うまれるのだから。だからこそ無数の妖怪がいる。
まさに「形・真・理」で、今作はその深みがアニメ版と比べると浅い。
大奥は伏魔殿、おわっと感嘆してしまうような真と理を期待したい。