「期待していただけにガッカリ」劇場版モノノ怪 唐傘 よよよさんの映画レビュー(感想・評価)
期待していただけにガッカリ
TVシリーズはもちろん、初代「化猫」からのファンでお気に入りのアニメということもあり、この映画のポスターをコンビニで見た時は衝撃を受けました。
すぐに今まで買ったことない前売り券を買い、心躍らせながら映画館へ足を運びました。
始まってすぐに違和感を感じました。
映像はキレイですが、TV版の背景美術はその時代を感じさせる図案であったり、そのシーンのそれぞれのキャラの心情などがうまく表現されていました。
しかし、今作は特に意味を感じられるものがなくモノノ怪っぽさを出すためだけに極彩色にしたように感じました。
また、他の方も言われていますがセリフの「間」が一切なくなっているので、モノノ怪の独特な怪しい雰囲気がなくなり、妖怪映画ということを忘れるくらいポップな普通のアニメになっています。
映画鑑賞後、監督のインタビューを読みましたが最近は1.5倍速で映画を観る人がいるという話を聞いて、だったら1.5倍風の作品にしようと思って場面切り替えを早くしたそうです。
切り替えを早めた関係で「間」がなくなり、シーンにおいても妖怪が襲い掛かっているシーンは全て位置関係などが意味不明になるくらいに早かったので、その分しっかり描写をしてほしかったです。
あと、往年のファンからクラファンして作ったファン向けムービーで、等倍でじっくり観たいファンを差し置いて、映画を1.5倍速で観る人向けに作るのはどうなんでしょうか。
ストーリーに関してもずっとモヤモヤしていました。
先にも書いたようにセリフの「間」がないので、腹に何か抱えてるなと思わせたり影を感じるシーンもほぼなく、出てくるキャラみんなが見たまんま、言うてるまんまなのでキャラの深みがないし、中盤まで仕事のできないカメちゃんと新人いびりが続き正直しんどかったです。
後半クライマックスになってからはよく分かりませんでした。
井戸の中に飛び込んだ三郎丸はなぜあんなに号泣してたの?
ってか、死体多くない?
それに一番腑に落ちないのは唐傘になった理由です。
今までだと、そんなことされたら妖怪になっても仕方ないよねという情念がありましたが、唐傘って、終始北山さんが独り相撲してませんか?
大奥に入る→できない同期の面倒をみる→だんだんイライラしてくる→実家に帰らせる→仕事がはかどる→あれ?あの子いなくなって張り合いがなくなったな→仕事にやる気がでなくなる→鬱になる→井戸に落ちる→唐傘になる→新しい子を見てるとあの頃の自分のよう→この子をいじめないで→殺害 みたいな感じです。
アサちゃんの「誰も恨んでいないと思います。」がすべてを物語っていると思います。
登場人物全員、殺された人たちですらほぼ北山さんと接点がないですから恨みようがないですよね。
ですので、印象としてはとばっちり感、北山さんの独りよがり感がすごく、全然共感できませんでした。
監督のインタビューに書かれていた思いを表現するためにこうしたのかもしれませんが、妖怪という人ならざる姿にまで身をやつして成し遂げたい理由にしてはあまりにも弱いと思います。
ほとんどストーリーに絡んでいない人物も数名いたのでこの人たちは必要なのかと思いましたが次章に続くそうで、そのためかと納得しました。嬉しいはずの次章発表が、まったくワクワクしませんでした。
臭い水を飲む理由や意味ありげな社なども次章以降に解き明かされるのか気になります。
しかし、エンドロールの紐の描写を観るにあと2,3話あるのかなと思いますが、正直、今作を観てTV版とは全くの別物という印象しかなかったので次作以降は映画館に足を運んでまで観ようとは思いませんでした。
10年以上の歳月を経て、またあの「モノノ怪」を観ることができると期待を膨らませすぎたのかもしれません。