「映像美と音楽に圧倒された・・・が・・・・。」劇場版モノノ怪 唐傘 ☆空を歩くヒト☆さんの映画レビュー(感想・評価)
映像美と音楽に圧倒された・・・が・・・・。
TVシリーズ視聴済。あの独特の世界にすっかり「沼落ち」したひとりです。
なので「モノノ怪」の色鮮やかな美術や、他に類を見ないあの圧倒的な映像美はよく知っているつもりだった。それが劇場版ではパワーアップしていて、さらに音楽の凄まじさに押しつぶされ飲み込まれるようであり、映画が始まって一瞬で「ああもう逃げられない・・・!!」となってしまった。
人物像の描き方もTV版の演出をもっとエスカレートさせたような目まぐるしさ。これはあの世界を知らない人が見たらきっとびっくりして違和感を覚えるのでは。そんな心配までしてしまった。
大奥の世界は、ちょうど今大河ドラマ「篤姫」の再放送を見ているので雰囲気は少し理解していたつもりだったが、モノノ怪版大奥は、上下関係から役職、お務めの内容までこれもまためまぐるしく展開するので「ちょっと何やってるのかわからない」状態。
そしてふたりのおしゃべりな男、三郎丸と平基。さらに金髪の男性はいったい誰?なんの役職なの?これは後で調べるとして。このひとたちの存在意味がよくわからなかった。
坂下さんはTVシリーズの小田島さんみたい。悪い人ではないがよく薬売りさんにからかわれる役回り。
そして、退魔に必要な「形」と「真」そして「理」を明かしていくシーンがもう怒涛のように展開し、はっきりいって「わけがわからない」。大奥ならばまず、公方様に寵愛されるご中臈様への妬み、自分より下っ端なのに出世していく中居への妬みが渦巻いているはず。北川様はどうして殺されたのか、それが本当に謎。映像と音楽が凄すぎて内容が頭に入ってこない、まさにそんな風であった。
主要人物のアサはともかく、カメが煩すぎる割に物語の核心にさっぱり入りこまず、この子はいったい何だったの?と思ってしまう(自分の見方が浅いのかもしれないが)。
「海坊主」の加世ちゃんも賑やかだったけど彼女のほうが見ていて楽しかったぞ。
女(と男)の情念が渦巻く場ならば大奥よりいっそ、吉原を舞台にしたら良かったのではなどと思ってしまった。
もう一度よく内容を噛み締めて、登場人物の心情をよく思い返してからまた観たいと思った。
そしてそして・・・!!!!
一番の「推し」薬売りさん。TVシリーズのビジュアルが大好きだったが、劇場版のポップな感じの彼も悪くなかった。神谷さんの声も違和感なし。
でも、TV版では人間の愚かさや情念をおかしんだり愛おしんだり、関わる登場人物をからかって楽しんでいたり、そんな姿の彼があったように思う。そのあたりがあまり描かれず残念。そして・・・残念すぎたのは「ハイパー」(解き放たれた退魔バージョン)さんのビジュアル!!
あれはマジでいただけない。TV版と同じにしてほしかった。(←あくまで個人的趣味)
まあ色々あるけれどこの作品が稀有で素晴らしいことには変わりない。何度か観に行って、次回作も楽しみにすることにしよう。