「どゆこと?」劇場版モノノ怪 唐傘 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
どゆこと?
テレビアニメ「モノノ怪」の劇場版らしいですが、未視聴なので内容は知りません。とりあえず、劇場アニメはなんでも好きなので、公開初日に鑑賞してきました。率直な感想としては、絵はすばらしかったけど、話は難しかったという印象です。レビュータイトルは、前席の女子高生3人組の鑑賞後の第一声です。
ストーリーは、大奥に新人女中として入ったアサとカメが、そこでの儀式に違和感を覚えながらもお役目に精を出すが、何やら怪しげなものの存在がちらつき、続けざまに犠牲者が出る中、この事態を予見して待っていたかのような謎の薬売りが、モノノ怪に精通した知識と呪術で収拾していくというもの。
本作で最も印象的だったのは、その独特の世界観です。江戸時代が舞台とはいえ、ほとんど異世界としか思えない独創的なデザインとビビッドな色づかいに目を奪われます。しかも、それが和紙に描かれているような映像表現が、絶妙に効いています。これほど不思議な異空間なのに、その完成された世界観を前にして違和感が働かず、むしろこちらに染みてくるように、いつのまにか引き込まれます。
その中で、個性的なキャラがいきいきと魅力的に描かれています。中でも薬売りは、圧倒的なビジュアルとアクションで魅せ、背景の読めない怪しげな存在として、強烈なインパクトを放っています。細部まで緻密に作画された大奥を背景に、縦横無尽のカメラワークで魅せるアクションシーンは必見です。その一方で、完全に記号化された人物や表情を無機質に描き、今回の騒動の根底にある負の感情を演出しようとする意図も感じられます。
しかし、肝心のストーリーがイマイチよくわかりません。アサとカメが大切なものを捨てさせられ、お水様の生臭い水を飲まされたのは、“己を殺してお役目に生きる“という忠誠を誓わせる儀式なのだと思います。これに染まった者たちは、表情をなくし、画一化したコマのように描かれます。アサも時折そのような表情を見せ、水を臭く感じなくなったのは、そちら側の人間に近づいたということなのでしょうか。そんなアサの前に現れて“乾いてはいけない”と忠告するのが、かつて似たような境遇にあった北川です。生きる意味を大奥に吸い取られたような人生を歩んでしまった彼女の後悔が、そこにあったのでしょう。結果、アサはすんでのところで踏みとどまることができた、いやカメが踏みとどまらせたのかもしれません。初日に「捨てるような大切なものはない」と言ったアサですが、カメとの間に芽生え始めた友情は、捨てられない大切なものになったということでしょうか。と、こんな感じで物語を受け取ってみたのですが、果たして本当のところはどうなんでしょう。
なんとなく「蟲師」に共通するようなイメージを感じますが、薬売りの正体も意図も目的もわからず、もやもやします。所持している退魔の剣も、モノノ怪の根源的なものを把握することが使用条件になっているようで、このあたりの説明も特になかったのでよくわかりません。エンドロールも、塔のようなオブジェを延々と周回しながら見せられ、これが意味するところも全くわかりません。他にもいろいろとスッキリしないところが多い作品で、他の方のレビューが気になるところです。
キャストは、神谷浩史さん、黒沢ともよさん、悠木碧さん、小山茉美さん、戸松遥さん、花澤香菜さん、梶裕貴さん、福山潤さんらで、豪華声優陣が顔を並べます。
おじゃるさん、ご返信ありがとうございます。難解の作品でしたが、それを凌駕するビジュアルですよね。(私、アニメも多く観てますが、これほどまでの色彩豊かな映像は今まで見たことがありません。)
そうですよね。来週第二章が公開されるとのこと、これもまた注目です!
naoさん、共感&コメントありがとうございます。本作のレビューを上げておられないようなので、こちらに返信いたします。
なかなか難解な作品でしたが、ビジュアルは秀逸でしたね。
naoさんも同様の感想を抱かれたようで、私の受け止めも的外れではなかったのかと思い、安堵しています。
来春公開予定の第二章も楽しみです。
ストーリー展開、私も鑑賞してる間、非常に難解さを感じましたが、お伝えのご説明と私の感想も全く同じです。「こころ」という大切なものに気づき、これからの大奥を変えていこうというアサの姿に感動し、ちょっと涙も流してしまいました。
それにしても和紙をベースとた斬新なビジュアルに驚嘆し、アニメの世界に無限の可能性を再認識しました!
自分も物語のストーリーがいまひとつわかりにくかった…と言うよりも、どう解釈していいのやら。
でも映像表現は見事と言うほかありませんし、本職の声優が声を当てている作品は安心して見れますね。